AMNESIA(アムネシア)
全年齢、女性向け乙女ADV。パッケージを見て分かる通り、線が細く美麗なグラフィックもさることながら、乙女ゲームのセオリーとは一味違う着眼点のシナリオが話題を呼んだ意欲作です。
本作は、主人公が記憶喪失です。
主人公が目を開けた先にいたのは、彼氏と思しき男性。ただ、主人公には精霊オリオンとの接触事故により、彼を始め日常に関する記憶が一切ありません。
果たしてこの人物は記憶喪失を打ち明けられるぐらい信頼に足る人物なのか?
記憶を取り戻すためには病院に入れられるわけにはいかず、また、うかつなことを言うと相手に事実とは異なる記憶を植えつけられる恐れもあります。そこで主人公は精霊オリオンと共に相手を慎重に見極めようとすることに、という感じで始まります。
記憶喪失のため、主人公は基本的に無個性であり、選択肢以外はほとんど言葉を発しません。主人公の代わりに精霊オリオンがナビ役としてツッコミを入れてくれたりアドバイスをくれたりします。そのため地の文はなく、会話劇で話が進んでいきます。
サスペンス調で重い雰囲気が続く中、精霊がプレイヤーの声を代弁した冴え渡るツッコミをしてくれるので楽しい。主人公は彼氏らしき攻略対象との思い出や記憶をすべて失くしているのでプレイヤーとシンクロした状態なので感情移入しやすかったです。
ひとまず相手を信頼できると確信できるまで記憶喪失を隠して様子を見ることにするのですが、攻略対象はそれぞれ何故か不審な行動を取りまくります。
まだ全攻略していませんが、シナリオが練りに練られている印象で、骨格がしっかりとしています。また、攻略対象を始めとした心理描写が非常に丁寧です。皆が知恵を使って行動するのでプレイしていて爽快感があり、シナリオライターさんの実力を感じました。
舞台は平行世界のひとつを選ぶので、攻略対象ごとにまったく違う物語が繰り広げられ、人間関係も違ってきますので飽きません。共通ルートはほぼなく、プレイするたびに新鮮な気持ちで楽しめます。
グラフィックは線が細く、非常に美麗です。言葉を尽くすよりも見たほうが早いと思います。キャラクターはトランプをモチーフとしたヴィジュアル系なデザインの服装で印象的です。服だけでなくゲーム全体の雰囲気が統一されており、全体的におしゃれ。メッセージウィンドウもふきだし風と凝っています。背景は基本的に色がついておりませんが、手抜き感はなく、むしろ落ち着いた印象を与えます。
まだプレイ途中ですが、各キャラの攻略がおよそ3〜4時間といったところだと思います。
以下
ネタバレ感想。