18禁乙女、大正ロマンADV。アロマリエ入魂の三作目。
舞台は大正七年の帝都東京。野宮子爵家では一人娘である百合子のために誕生日パーティーを開催する。だがそれはあちこちから借財を重ねた上でようやく開催された宴だった。
由緒ある華族の野宮子爵家だったが財政危機に陥っており、一人娘の百合子が財力のある伴侶を得る必要がある。
この誕生日パーティーは百合子のお披露目会兼婚約者探しの意味があるのだが、百合子は園丁の真島にほのかな想いを寄せており、パーティーにはいまいち気乗りしないままだった――という感じでストーリーは始まります。
攻略対象は肉食系な成金、草食系お兄様、癒し系な園丁、無口系なハーフの執事、ツンデレ眼鏡幼馴染の五名。濡れ場はシナリオもシステムも気合が入っており、効果音のオンオフが設定できます。
シナリオ回想やCG回想、エンディングリストなど必要な機能もひと通り揃っていてシステム面は快適。
また、グラフィックも非常に美麗で、特にキャラクターの表情がいいです。
グラフィックからキャラの感情がダイレクトに伝わってきます。
シナリオ全体からそこはかとなく色気が立ち上り、耽美な雰囲気に包まれています。
時代設定に沿ったキャラクター設定がなされているのもポイント。
設定が活かされていて、キャラの生い立ち、顔立ち、口調、性格、性癖すべてにひもづけられている点が魅力的です。
例えば、華族であるお兄様はゆったりとした口調で喋りますが成金の実業家である斯波はせかせかと早口です。声とシナリオがうまい具合に相乗効果を生み出し、こういった些細な点がキャラクターをイキイキとさせています。
何気ない描写も丁寧で、選択肢にもセンスが光ります。大正ロマンの世界に思い切り浸れるはず。本作はハッピーエンドも用意されていますが、
主にバッドエンドでその真骨頂を発揮します。情念、という単語がこれほど似合う作品もそうないかと。フルボイスですが、主人公の声はありません。
ビターな乙女ゲーを味わってみたい、乙女ゲー玄人さんにぜひおすすめしたい作品。
以下ネタバレ感想。