物語は、その名を轟かせていたマフィアグループの幹部4人が芋づる式に逮捕されるという、前代未聞のスキャンダルから幕が開ける。
主人公はというと、刑務所の中。
同じグループに属するマフィアの一味、訳あって刑務所暮らしをしているが、一構成員でしかない主人公は、幹部が捕まっても、特に興味もなくのんびりと過ごしていた。
そんな時に、突如、チャンスは落ちてきた。
一構成員である主人公が、マフィアのボスになれるという、人生最大のチャンス。
そのチャンスを活かすか、逃がすか。
それは『LUCKY DOG』と呼ばれる主人公の運次第。 18禁BLADV。由良さん作画です。
同人ゲームなのですが、非常にクォリティが高くて度肝を抜かれました。
まず、各キャラクターが非常に魅力的です。捨てキャラはおらず、シナリオもデザインも文句なし。ちょっとした会話のやり取りも楽しい。
また、由良さんの美しいイラストも健在。立ち絵で魅せてくれます。
本作は先に述べた通り、キャラデザも非常に素敵です。イタリアンマフィアを題材にしているのですが、伊達男代表のルキーノや参謀役のベルナルドのスーツはいかにも仕立てが良さそうで上品ですし、かと思えばイヴァンやジュリオは性格が出ている服装と徹底しています。ジャンのユルそうなスーツもキャラの特性が出てて素敵。色合いも華やかです。色彩心理学的に注意を喚起する効果があるとされる黄色と黒を主人公のジャンに着せている辺り、ゆるぎねえな、と思わせてくれます。
立ち絵の表情も豊かですのでCGがなくても飽きません。自分はスーツ萌えなので非常に萌えました。ごちそうさまです。
そしてシナリオも見事です。本作は男性ライターさんが二人で書かれているようですが、時代背景や文化などをかなり調べていらっしゃるようで世界観にどっぷり浸かることが出来ました。マフィアが題材なだけあってみんなが本当にマフィアやっているのも好印象。「なんちゃってマフィア」はどこにもおりません。
イヴァンの口が本当に悪いのもいいですね。放送禁止用語がバンバン出てもOKなのも18禁同人ゲームの良さだと思います。スラングやベルナルドとジャンの言葉遊びのようなやり取りも楽しい。
ここ最近のBLの一番のヒットです。男の書く男の恋愛劇、いいですね! 本作は同人BLゲームの新たな可能性を示してくれたように思います。恋愛描写も丁寧です。男性ライターさんに学ぶところは多いですね。
個人的には第一印象からルキーノ、次点でベルナルドに決めていたのですが、ジュリオとイヴァンもかなり良かったです。特にイヴァン、実を言うと見た目から性格までまったく好みじゃありませんでした。
平たく言うと、
うぜえな、って思ってました。
だってジュリオはジャンに懐いて可愛いのにイヴァンはやたら絡んでくるし口は悪いし見た目も好みじゃないしぎゃふんと言えばいいのに、って思ってたんですよ。
甘かった。イヴァンの第一印象があまりにも悪くてプレイを放棄している過去の私をぶん殴ってやりたい気分です。
すげー萌えました。何でさっさとプレイしなかったのか頭抱えちゃったよ。イヴァンはいい奴です。ごめんよイヴァン。人は見た目じゃないっておばあちゃんは言ってました。今度から人を見た目で判断しないようにします。
もちろん他のキャラも素敵です。ルキーノは重いシナリオだったけど痺れるくらいカッコイイし、ベルナルドは男の脆い感じが出てて恋愛描写も秀逸だったし、ジュリオはちょっと引いたけど「しょうがねーなと」可愛くなってきゅんきゅんしました。
由良さんの感性と二人のライターさんのセンスが絶妙に融合した良作です。また、声優さんもいい仕事しています。
音楽も迫力があり、システム面も不足はありませんでした。クイックセーブ&ロードが便利。背景も綺麗です。「ラッキードッグ1」なので続編があるかと思いますが、そちらも楽しみです。
以下、ネタバレキャラ別感想。