Phantom

  • 2013.01.24 Thursday
  • 22:45
Phantom PHANTOM OF INFERNO ファントム ファントム オブ インフェルノ(通常版)


ハードボイルドADV。プレイしたのはPC版のPhantom Integrationのほうで、
絵柄も昔のものだったのですが表情豊かで好きでした。
シナリオライター虚淵玄氏のテキストが素晴らしく簡潔かつ分かりやすい表現で、
非常に読みやすかったです。文章は洗練されています。
また、銃や車への愛が察せられてわくわくして一気に読み進めました。

日本人旅行者だった主人公がアメリカンマフィアに拉致洗脳されて
暗殺者にされてしまい、マフィア同士の抗争に巻き込まれていく物語。

気になった方はプレイして損はない名作です。
暗殺者として生きる羽目になった主人公と彼を取り巻く四人の女の物語。
ユーザーに媚びない硬派な物語なのであまり恋愛色はないのですが、
淡々とした描写の中でもお互いへの想いが感じられて切なかったです。
情が入り混じる中で襲い来る過酷な現実に翻弄されつつも
登場人物達と生き残りを賭けて精一杯あがく姿が胸を打ちました。

BGMも良かったです。エンディングリストがないのに
銃鑑賞モードがあって、思う存分銃萌えしました。

以下ネタバレ感想。
ツヴァイ(玲二)
洗脳された後も人間性を捨てきれず、
でもやるときゃやる主人公で好感が持てました。
アインに任務中、諸事情で抱きつかれた時に
「違う!絞め落とされるわけじゃない!」とか
パニックになってたのに吹いた。そらそうだ。

アイン(エレン)ルート
エンディングの彼女の笑顔に救われたルートでした。
サイス=マスターとの対決でアインは本当に強くなったと感じられた。
演技と割り切っていた部分もまた、エレンの側面のひとつだと思いたい。
キャルルート、美緒ルートでも一途に玲二を慕う姿には涙。
特にキャルルートの最後はぐっと来ました。
恋も、存在理由も知ることがなかったエレンが、
名付け親のために破滅的に尽くす姿は痛々しかったけど、
自分も人間らしく、少女のような恋をしていたことが
エレンの最後の救いになったのがまた切ない。
故郷を見つけた後は玲二とのびのびと暮らしていて欲しいです。
「あなたはツヴァイ。もう一人の私」
「あなたは私の夢だった」

虚無に生きていたアインが玲二に自分の生きる意味を託し、
一途に憧れてそれでも殺しあわねければならない姿はあまりに悲痛で
胃が痛かったけど、だからこそ自分の生きる意味を
見つけ出していく展開は燃えました。
キャルとの対決も良かったです。

キャル(ドライ)ルート
玲二と過ごした幸福を知っているからこそ、
自分以外の女と逃げた事実に激しい憎悪を抱くのが
心情的によく分かりました。
そしてその憎悪をサイス=マスターが煽ってたのもある。
キャルは紛れもなく素の玲二に触れていて、
自分のすべてを捧げるつもりでいただけに
裏切りが悲しくて辛くて、それを憎悪に変換することで
どうにか自分を保っていた。
洗脳がなかったのは僥倖だったのかもしれないけど
自分一人だけで憎しみを抱えなきゃいけなかったのは
辛いことでもあったんじゃないかと思います。
そのキャルが、美緒とリズィ、そして玲二を見るにつれ
少しずつ封じ込めていた自分自身の本当の気持ちを
見つけていくのが良かったです。
オルゴール付きの懐中時計を使った勝負が格好良い。
エンディングは幸福そうでほっとしました。
成長した後はびっくりするようないい女になってて、
それが玲二に抱かれたキャルと抱かれていないアインの
対比にもなってて面白かったです。
復讐を果たした後、虚しさの中でアインによって
安らぎを得るラストも好き。

美緒ルート
玲二にとって安らぎと日常の象徴である美緒。
玲二に惹かれるのに、自分は決して同じ世界の住人になれないと
悟ってしまう頭の良さが彼女の悲哀でもあります。
いっそ恋心に酔っていれば、それこそすべてを投げ出して
玲二と生きられたかもしれないのに、でもそれは美緒には
耐えられない。
そして、玲二は美緒が陽のあたる場所にいる人だからこそ
好きになったんだよなあと。
玲二も志賀さんも、美緒には何も知らない場所で
微笑んでいて欲しいと願っていて、
そこに痛烈な寂しさと疎外感を覚えてもそういう生き方しか出来ない現実。
エンディングはこれからを感じさせて良かったです。
美緒が玲二の世界に来ないのもいいです。

クロウディアルート
野心によって花火のように燃え尽きていく二人、
とても好きなルートです。
クロウディアは女であることの二面性を象徴的に表していたキャラクターで
母性を発揮して優しく男を包み込むことも、
女であることを利用して打算的に男を操ることもできる人でありながら
どちらにもなりきれない少女のような弱さが透けてみえるのが魅力的でした。
クロウディアは、
モンスターのような車であるフェラーリを嬉々として駆る姿と、
「愛されるのが一番辛い」と泣いていた姿、
どちらも等しく彼女の本質なのだと思う。
そういう矛盾した気質を抱えているから破滅に向かって突っ込んでいく。
力がないからこそ、持っているものを差し出すしかなくて
そうして身体を投げ出して欲しいものを掴む、
すごく自滅的な方法でしか生きられない姿は痛々しかった。

そうでなければ何も得られないから、
クロウディアの抱えていた高みへの執念と羨望が感じられて
それが最後まで徹底されてて良かったです。
だからこそ裏切って裏切って裏切って、
野心を叶えようとすれば愛のためには決して生きられない
クロウディアという女の業と悲哀が好きです。
そして、騙されていたと分かってもクロウディアの
優しさは本物だったからと覚悟を決める玲二が
最高に男らしくて格好良かった。
男を破滅に導くことしか出来ない女の物語は
どちらの結末もクロウディアの側面を表していて好きです。
野心によって高みに上り続けて男を手玉に取る姿も、
愛によって喜びと共に死んでいく哀しい姿も、
どちらも物悲しくも美しいルートでした。
クロウディアほどの女であれば、玲二がわざと撃たれたことに
絶対に気付いたはず。ファントム相手に奇襲が成功すると
クロウディア自身信じていなかったのかもしれない。
でも生きたくて、そしてクロウディアにとって生きるとは
高みを目指すことに他ならなくて、それが彼女を破滅へと導くのが
悲しかったです。クロウディアを殺して本懐を遂げる玲二も良かった。

この作品の良心であるリズィに、
「そこまでして何が欲しいんだ!? 金か!? 力か!?」
罵倒されていましたが、クロウディア自身も何が欲しいのか分からないのかもしれない。
でも、クロウディアはただ乾いていて、高みを目指さずにはいられない。
クロウディアが真に目指すものは、誰にも搾取されず使われずに
全てを乗り越えて頂点に立つこと。ただ上へ、上へと向かったその先、
あるいは死によってようやく愛する人とただ生きるクロウディアに戻れるのです。
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