すベてがFになる (講談社文庫)

  • 2013.02.20 Wednesday
  • 05:29
すベてがFになる (講談社文庫)


面白かった。
別に大して書くこともないのですが、思いっきりネタバレで
どこに書けばいいのか分からなかったのでここで。
ただの感想なので、違う意見があると思いますが
自分はこう思いました、というだけです。

ひょっとしたらどこかにきちんとした考察があるかもしれません。

そんなわけで以下ネタバレ感想。
犯人の動機が理解できないと言う意見が多くて驚きました。
「所詮天才の思考は一般人には分からない」とかなってて、
その天才がゆえの絶対的な孤独の寂しさを描いてる作品なのに……
何だかその感想はあまりにも哀しい。

犯人が第一の被害者を殺したのはあくまでも不可抗力、想定外の事態だった。
犯人は虚無主義者のような考え方をする人で、死は安らぎである。
七年かけて温めた計画だからこそ、現状維持はありえない。
この機を逃したら二度と外には出られないため、殺害は苦渋の決断だった。

第一の被害者と話し合ったのかどうかは分からないが
あそこで犯人が愛する人の手にかかって死ねないのなら
犯人自ら第一の被害者に安息を与えて、自由を手に入れたかった。
第二の被害者も(1)計画のため(2)安息を与えるために殺害。
第三の被害者は計画の頓挫を防ぐための殺害。

犯人にとって死は安らぎだから酷いことをしたとはそもそも思っていない。
被害者は一足先に楽になれて良かったとすら思っている。

で、みんな、犯人の言葉を真に受けすぎだと思うの。

最後に犀川を引っかけてみせた犯人の茶目っ気から見ても、
あれは動機ごと引っかけたと見るべきではないだろうか。
引っかけたって言い方がおかしいかもしれないけど。

そりゃ確かに犯人の目的は、最終的な穏やかな「死」なんだろうが、
犯人はこうも言っている。「他の方に殺されたい」
自分の人生を他人に干渉してもらいたい、それこそが愛。
しかも、この台詞をうっとりしながら言う。あの犯人が。
誰かに手間暇かけてもらって死ぬのにあこがれている。

そしてこの論法から行くと、わざわざ手間暇かけて殺した三人を
犯人は心底愛してた
ってことになる。(最後の人はイレギュラーだけど)

だって、ここで犯人が自分から捕まって死刑になるように誘導したら
それって間接的な自殺じゃないですか。犯人、なんも面白くないよ。
そもそも、後になってそんなことするなら逃げる意味ない。
「自首したら死刑にならないかも」と犯人も語っている。

犀川や萌絵が予測できない言動すると、犯人は喜ぶ。
だからこそわざわざ犀川に会いに来て質問に応えてくれる。
そして、わかりきった質問をするとつまらなそうにする。
気が利かないとか言われちゃう。

犯人は予想外の言葉、反応、展開に飢えている。

これってつまり、
「自分の予測を超える形で、他者の干渉によって死にたい」のでは……。
そんで、まあ端的に言えば、無理じゃね?という話になる。

なぜなら、今のところ犯人を超える天才は世にいない。
ひょっとしたらどこかにいるかもしれないけど、とりあえずエンディング時点ではいない。
「しかも、なんというセキュリティの強さ……」というモノローグ。

犯人は自分の予測を超える形で破滅したい=それまでは自由を謳歌する
結局は死に至る生をとりあえず生きるよ、ということでは?

犯人は死を自由へのイニシエーション、つまり儀式だといった。
儀式、である。
だからこそ最初の予定通りに死ねれば満足だった。
でも第一の被害者は計画を拒んだから、代わりに自分が実行して自由を得た。

もうここまで来たら、この後、生半可な死に方じゃ犯人納得いかないと思うの。
でも犯人は天才だから、大抵のことは予測がついてしまう。
不慮の事故とか災害とかでもない限り死ねないと思います。
むしろその死に至る生を、死を想ってわくわくしながら生きるのが犯人なりの儀式なのかも。
あと破滅欲動自体はフロイトとかが提示してるようにそれほど珍しい思想でもない。

その時に迎えに来たのは渡りをつけてたNASAの人だったりしてね。
これはただの妄想です。

それにしても十五年も窓のない部屋で引きこもってるから
虚無主義的な考えに支配されてしまうんだと思うよ。
そりゃ天才なのかもしれないが、人生経験が足りない感じがする。
つまり何が言いたいかというと日光って大事ですね。
お日さまに当たらないと人間、鬱気味になっちゃうよ!

賛否両論あるとは思いますが自分なりの感想でした。
お付き合いありがとうございました。
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