Ib

  • 2013.03.13 Wednesday
  • 21:10


美術館探索ホラーアドベンチャーゲーム。RPGツクール製。
遅まきながらプレイしました。
かなり有名なフリーゲームなのでニコニコ動画で実況を見たり
Pixivで二次創作を見たことがある人も多いと思いますが、
演出やゲーム内の仕掛けが素晴らしいので、
本作はぜひ自分で操作してゲームをやって欲しい作品です。

作りこみは相当凝っていて、ディテールに至るまで作者さんのセンスが輝きます。
無駄が一切なく、細かなところまで作品の中で意味を持っています。

物語は主人公の少女イヴが美術館の奇妙な絵に迷い込み、
脱出するために謎を解くというシンプルなストーリー。

謎解きは初心者にも優しい親切設計で、ドット絵で描かれた芸術作品や
全体の雰囲気など、世界観が不気味でありながらも美しい。
BGMも雰囲気にぴったりでした。エンディングテーマが好きです。
また、キャラクターも良いです。
明るく天真爛漫なメアリーと怖がりのオネエなギャリー。
彼らの素顔がまた人間味があって、物語に深みを与えてくれます。

出来ればネタバレなしにプレイしてほしい作品です。

以下ネタバレ感想。
全クリしてからトップ絵を見ると泣く(´;ω;`)

「忘れられた肖像」が哀しくも美しいエンディングで泣いた。
切ないけど一番好きなエンディングです。
「再会の約束」はこのエンディングがあってこそ深みが出ます。

大の怖がりなのにイヴを思いやるギャリーの優しさが心に痛い。
トップ絵は屈指の名シーンです。
それが、ギャリーとの出逢いでイヴが薔薇を取り戻してくれたからとか、
ギャリーも怖いし気持ち悪いと思ってるのに「イヴも頑張ってるんだから」
精一杯自分を奮い立たせようとするのが胸を打ちます。

ギャリー編で人形の部屋からの脱出に失敗すると、
イヴが頬を張ってギャリーを目覚めさせるところとか
メアリーに襲われかけたところでギャリーに抱きついたりとか
イヴは無口なんだけど、ギャリーを慕っているのが伺えて良かったです。
だからこそギャリーが「ホラ、大事にしなさいよ」
薔薇を渡してくれるシーンが胸に迫る。
ここの三択はどれを選んでもギャリーが優しすぎて泣きたくなりました。
「やっと借りを返せた」と言うギャリーは、イヴに命を救われたことを
ずっと感謝してたんだなあと思うと更にやるせない。

「ひとりぼっちのイヴ」は、ギャリーが迎えに来たVerだと
付いて行っても仕方ないと思うし、哀愁があって好きです。
ところで、あれは誰なんでしょうか?
美術館に生きている他の作品(=メアリーの言う「みんな」)?

この作品で、「精神崩壊しても本人は自覚できない」と言ってるところがあり、
案外怖がったり尻餅ついたりギャーギャー大騒ぎしてたギャリーは
ギリギリ自分を保ってて、精神がヤバイ段階まで崩壊しかかってるのはイヴだと感じました。
恐怖のあまり感情が麻痺しかかってるというか。

あの青人形部屋で脱出失敗し、散々気味悪がってた青人形相手に
キャッキャウフフできるようになったギャリーを見ると、
ギャリーは精神崩壊したから不気味だった青人形が可愛い兎に見えるようになって、
雑談できるぐらいにまでなったんじゃないかなと。

ギャリーがオネエ口調なのは、作品から性的な匂いを消したかったからだろうと感じました。
ギャリーの優しさは邪念のない純粋なものだったと印象付けられたし
怖がる様子にこちらまでほっとしてしまって、却って魅力的になったと思います。

「Ib」の仕掛けのうまい部分ってたくさんありますが、一番は
薔薇交換のシーンはギャリー死亡ルートで、
当然ギャリーの死亡フラグを立てていかないといけないところですよね。
そうなると、青人形の部屋からの脱出失敗の確率がかなり上がる。
あそこでイヴに助けられて、ギャリーは合計二回イヴに命を救われることから
あのシーンに繋がっていくのがすごくうまいし、
ギャリーの心情に説得力が生まれたなと思いました。

「子どもを見捨てて自分だけ助かる大人」という倫理的な抵抗感だけでなく、
「イヴに二度命を救われて借りがあるから」こそあのシーンのギャリーが光る。
他のやり方もできなくはないけど、普通に進めたらそうなるはず。

そして、ギャリー死亡フラグを立てない場合はメアリーに殺されかけたところで
ギャリーが助けに来てくれて、お互いに相手によって命を救われることになって、
ギャリーの「借りがある」という感覚が対等なものになっていく。
イヴがギャリーに抱きつくのがまた可愛いんですよ。

ところで、ギャリーのオネエ口調の理由って、
ちまたでは大体下記の四種類のどれかですよね。

(1)恋愛対象は女性、オネエ口調はファッション感覚で中身は男性
(2)恋愛対象は男性、中身も女性の真性オネエ
(3)恋愛対象は男性、中身は男性でゲイ、女嫌い
(4)恋愛対象は女性、モテすぎて面倒になったので女避けにオネエ口調

個人的には(2)か(3)かなーと思いました。
まあ些細な問題なのですが、(2)の場合はイヴを娘のように思ってたら萌える。
(3)の場合は、イヴは女というか子どもカテゴリに属するので気にならず、
そこからベストエンディングで生還して友人付き合いするうちに
恋が芽生えても芽生えなくてもどっちでもおいしい。
まあどれでも萌えるのですが。

ライター持ってたから喫煙者なんだけどイヴの前だから遠慮してたのも萌えますが
あのライターは別れたか死んだかなんかした恋人のもので
ギャリー本人は吸わないけど持ってたとかでもおいしいです。
ギャリーなら何でも萌える……

メアリーは無垢であるがゆえの残酷さが良いですね。
花占いのところはゾッとしたし、「ずっと一緒」エンドで
ギャリーにまつわるものをすべて取り上げてしまうのも
イヴ(=自由)への執念のように見えて背筋が寒くなりました。

ギャリーがメアリーの正体に気付いたときの
「邪魔だなあ邪魔だなあ邪魔だなあ」はビビった。
でも、メアリーにとっては入れ替わり要員だったギャリーだけど
真っ先にメアリーを誘ってくれるのはギャリーだったんですよ(´Д⊂グスン

ようやく入ってきた人間を決して逃がすまいとするメアリー。
本当は友達が欲しいだけだったのに、あの必死さに
彼女の孤独と痛烈なまでの寂しさを感じて愛おしくなります。
花占いのシーンは衝撃だったけど、彼女が占ってるのは他でもないイヴの気持ち……
イヴがギャリーを慕うからこそメアリーはギャリーが憎らしくなる。
美術館相手にやんちゃするとギャリーの死亡率が上がることから、
メアリーにとって人形や美術館を否定されることは
自分自身を否定されるようなもので、それが死亡率に繋がってるのかなと思いました。

良いゲームにめぐり逢えたと思います。
シンプルながらもよくまとまっていて、とても味わい深い作品です。
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