赤い砂堕ちる月

  • 2013.05.13 Monday
  • 21:45
『赤い砂堕ちる月』応援中!

全年齢、女性向け恋愛アドベンチャーゲーム。
同人ゲームとは思えない美麗な絵の数々が印象的です。
ミニキャラや戦闘用キャラ、美しい背景の数々が
世界観を構築しています。

本作の大きな特徴としては、
・主人公の属性(=性格)選択ができる
・主人公は符術士のため戦闘が挿入される
以上の二点。

主人公の属性によってルートごとにかなり印象が変わるのは
大きな楽しみのひとつでした。
また、選んだ属性ごとに戦闘BGMが変化するのも、細かいけど嬉しい仕様です。

立ち絵を始めとしたグラフィックは非常に美しく、
モブキャラにまでちゃんと絵が用意されているこだわりよう。
くるくる変わるモブキャラには複数の絵師が関わっており、
見ているだけでも楽しいです。

ロゴ、立ち絵、スチル、戦闘キャラ、ミニキャラ、背景、地図、小物……

同人ゲームでこれだけの絵師に作業をお願いするのは
大変なことだったと思います。

金銭のやり取りが発生したのであればかなりの額でしょうし、
そうであっても、そうでなかったとしても、これだけのスタッフを抱えて
完成まで無事にこぎつけたのは企画者の人徳あってのことのはず。
そのおかげで、「赤い砂堕ちる月」は商業作品に劣らぬグラフィックに恵まれています。

音楽は中華ファンタジー風で美しく、システムもさくさくと快適です。
オートコマンドはありませんが、戦闘やクイックセーブ・ロードなど
必要な機能はあらかた搭載していてストレスなくプレイできました。
特に回想機能から主人公の属性を選べるのは嬉しい。

ストーリーは中華ファンタジー。
主人公は一人前の符術士になるために一生を捧げる主を探さなければならない。
符術士は主以外に顔を見せてはならず、一度契約を交わせば主には絶対服従。
その過程で攻略対象のそれぞれの事情に触れ……という流れです。

攻略対象は
穏やかな王太子:汪明、
クールな裏組織首領:洛泉、
ツンツンな侠客:翔狭、
熱血系武官:胡白、
ドジっ子腹黒師匠:永祥、
ツンデレな親友:杏紅の六名。

狂言回しとして謎の妖怪ハバリ。
主人公の属性選択があるので、通常時の会話では
基本的にハバリがナビ役になります。

以下ネタバレ感想。
プレイ順は胡白、汪明、洛泉、翔侠、永祥、杏紅の順でした。

シナリオは、良く言えば行き届いていて親切です。
攻略対象は「俺はあの時こう思った、だからお前を意識した、好きになった」と
過去から現在、細部に渡るまでかなり詳細に説明してくれます。
こちらのやることは「そうでしたか、ご丁寧にどうも」と受け取ることだけ。
想像を膨らませる余地がないともいえます。

悪く言うと、全体として説明的で、ご都合展開が目立ちます。
プロットに合わせてキャラクターが動いている感が非常に強いです。
そのため、物語上必要になるといきなりそれまでの主義主張を翻して
キャラクターの物分かりが良くなってしまうのが気になりました。

恋愛的にも大したイベントもないままに
攻略対象がいきなりべらべらと思いの丈を喋りまくってくれるのは
親切だともいえますが、ちょっとしらけてしまいます。
もうちょっと、余韻とか、行間とか、心理描写を大切にして欲しかったです。
わんこそばのように重要な設定だけ積み重ねられても……

どうしようもないことなのかもしれませんが、
たくさんの属性を選べる分、シナリオに整合性をもたせるため
主人公の内面描写がどうしても表面的にならざるを得ず、結果として
却って没個性的になってしまったような印象を受けました。

あと符術士として仕えるべき主が〜忠誠が〜とか言う割にごく当然のように
主候補とさらっと恋愛関係になってしまうのが……
えっと、符術士的には普通なことなのかな?

符術士にとっての主人とは何なのか。
あっさり伴侶になってしまうので、忠誠の重みが感じられないのが残念でした。
結ばれた後も何の弊害もなく、誰にも反対されないというのがまた……
主が言えば何でもOKってことでいいんでしょうか。
なんつーか、女の符術士はイケメン捕まえてとっとと結婚するが勝ちですね……。
特に女の場合は、主の伴侶になったら力関係とか立場とかも変わるし、
世継ぎとか生まれたらどうなるのかとか、身重なときは符術士として役に立たないし、
かなり繊細な問題だと思うのですが、本作ではそんな細かいところはスルーされます。

主に仕えて、許可が下りれば他の男とサブで付き合うのは良いんでしょうか?
その場合の顔出しはどうなるのか? というか永祥は普通に顔さらしてるし……
符術士の掟が何のために定められているのか、必要性がよく分からなかったです。
罰則もあるようなのですが、誰が罰するのでしょうか? 皇帝でしょうか?
何の権限で? 法律で定められてるんでしょうか?
永祥さんの符術士育成は国家として命じてることなんですか?
なら符術士って役職なの? 国での立ち位置がまったく分からない。
隣国との軋轢、資源の奪い合い、それに伴うお家騒動を軸にしてる割には
政治とか法律とか掟とかの難しい話に及ぶと、途端にふわっとしてしまいます。
厳しい掟と自由過ぎる部分がちぐはぐな印象を受けました。

胡白
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父親と妖怪との因縁は良かったです。
妖怪専門武官とか持ち上げられ、みんなにいいように使われてて不憫でした。
冷静沈着な水属性主人公でプレイしたのですが、
お互いに良い影響を与えられてお似合いだと思います。


汪明
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冷静沈着、水属性主人公でプレイしました。
淡々としてる主人公が汪明との触れ合いを通して
感情を少しずつ見せていくのが可愛かったです。
基本的に王道なシナリオで、王子様然とした汪明さんが頼もしい。
性格が良く、とても健やかな精神を持っていて努力家な人なので
プレイしていて汪明さんには好感が持てました。
王には汪明さんが相応しいと思います。
この人、ほんとミラクル良い人なのでルートによっては割を食ってて不憫でした。
符術士を最も必要としている人で、仕えるならこの人だろうと感じました。
恋愛と信念の間で揺れ動く様にキュンとします。


洛泉
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スイーツ脳、風主人公でプレイ。
風主人公ちゃんは「素敵な恋がしたい♪」と最初から潔くて可愛いです。

作品全体で符術士が厳しい掟に縛られてる割には
従者から主の女になることへの抵抗感、葛藤、戸惑いなどが
ゼロなのですが、その点において風主人公ちゃんは違和感がなかったです。
彼女は最初から目的が実にはっきりしています。

何というか、洛泉って非常にナイーブかつ潔癖なお坊ちゃんで、
よくこれで荒くれ者をまとめる裏組織の首領になれたなあと感心しました。
洛泉は終始自分の復讐のことしか考えていないので、信念らしきものが見えず
符術士として仕えるべき主に選ぶのには大きな不安を感じます。
プレイしている間ずっと頭の中で「硝子の少年」が流れてました。
硝子の少年時代の〜破片が胸へと突き刺さる〜♪

「なぜこんなものを連れている。お前がこれが何か、分かっているのか?」
彼はハバリの正体に薄々気付いていながら、
ハバリが符術士守ってるのを見て何も考えなかったのかと小一時間問い詰めたい。
仮にも国守ってる獅子捕まえて「これ」「こんなもの」呼ばわりっすか……
自分だって世話になってるくせに、まるで母に悪口を言う反抗期の少年のようです。

役人が腐っていて、治安が悪いから侠客をまとめる裏組織、砂蜥蜴が台頭。
洛泉はわずか16歳で首領の座を手にする、と登場人物紹介に記載されています。
シナリオにはなかったような気がするのですが……

とにかく、若くしてそこまで上り詰めるにはかなりの野心と根性とカリスマ性が
必要だと思われるのですが、その凄みを部下の指詰めるシーンだけで
済ませてしまったのはちょっといただけなかった。
部下も指詰められるんなら、もっと激しく抵抗してもいいのでは。
若くて、おまけに洛泉は優男。他の荒くれ者にナメられて当然だと思いますが
それを補って余りあるような包容力も感じられず、別にそれほど部下思いでもなく。
であれば厳格にルールを定めて恐怖政治だと思うのですが、その割には
まったく凄みが感じられず……先見の明もなく、統率力も弱い……。
清濁併せ呑めるようなところも、裏組織の首領なのにまったくなく、
硝子のような潔癖性なので将来が心配です。
カリスマ性が、規則に厳しいはずなのに殺人犯を咎めもせずに
仲間に迎え入れることだったり、
侠客に盲目的に慕われる描写だけなのはちょっとな……と思います。

部下が妖怪に襲われて立ち往生してるのを「自分で何とかしろ」と突き放し、
にも関わらず主人公が符術士として助けに行こうとすると、
「お前がどんなに優秀でも太刀打ちできない程
 厄介な妖怪が、手ぐすねをひいているかもしれないんだぞ」

あなたの命令で薬を取りに行ったあなたの部下はその妖怪に
今にも殺されそうなんですが……あれ、見捨てるつもりだったの?
すごく微妙な気持ちになりました。助けてやれよ。

その後に洛泉が主人公を気遣ったことから部下の侠客が
「お前もようやくお頭の魅力を理解したんだな!」とか言うのも
更に微妙な気持ちです。こんなの絶対おかしいよ!

誘拐された皇后が直前まで食事を拒否してたのに
ちょっと言われたぐらいでいきなり罪悪感に駆られて食事を摂ったりとか……
王族としての誇りとか、テロには屈しないとか、そういうものはないんですか……
そうですか……
なんかこういう部分が随所に散見され、全体的にご都合主義的展開が目立ちます。

ともあれ、風主人公におちょくられる洛泉さんは面白かったです。

他にも金吾衛に入ってきた侵入者を将軍さんが何故かスルーしたり、
本当にツッコミどころが多いのですが多すぎてツッコミきれないので
このへんにしておきます。

にしても、指を落とす現場を見て
「結構厳しいところなんだな……」で済ます風主人公ちゃんは強い。

「その場の感情に左右されていては、
 いつか身を滅ぼすことになるぞ」

すごいブーメランですね。

皇后を攫ったくらいで国を盗れると思ってたなんて、ハハこやつめ(・∀・)

「もし(主人公の身に)何かあった場合は俺の腕をやろう」
いらねえよ。
主人公が死んだ後にお前の腕もらったってしょうがないだろ。
どうしろっていうんでしょうか。そりゃあなたは不便でしょうけど、
ハバリには関係ないですし……食べればいいの? それとも飾ればいいんですか?
まあ、きっと皇帝の放った間諜かもと疑ったんでしょうけど、だとしたら
主人公と接触してる状況で皇后誘拐を決行したのが本当にもう……浅はかとしか……

で、いつの間にか好かれてハッピーエンド。
汪明さんが割りを食ってて、ただひたすら可哀想でした。王籍まで剥奪か……
並の人間だったら絶対に耐えられないような屈辱的処遇だと思います。
汪明さんが菩薩のような心を持ってるから許容できるだけで、
これじゃ敬意もクソもない、ただの飼い殺しじゃん……
いえ、わざとやってるんならいいんですよ。悪意があるならね。
問題は、これをキャラ全員が慈悲深い処遇だと思ってることです。

洛泉は一度しか会話したことのない兄貴を随分と深く恨んでますが、
逆恨みにも程があるような。もともと仲良かったわけでもないのに……
精神年齢が城を追われたときで止まったままなのが気になりました。
もし洛泉さんの年齢があと五歳若く、首領じゃなければまだ理解できるかもしれません。

しかもエンディングでは荒くれ者をいきなり武官にしちゃうのか……そうか……
庶民なのに正規の手続きを経て、厳しい試験を通ってやっとのことで
武官になった胡白マジ涙目。立場がないだろ。
そういうことは考えないし、きっとどうでもいいんだろうなあと思うと、
洛泉には施政者としての素質がないとしか思えません。
大人しく医方やってるほうが向いてると思うよ……

庶民の憧れ、花形職業を荒くれ者集団にあっさり渡したら、
大多数の一般庶民からは反発しかないと思いますし、治安も悪くなるのでは。
元侠客がもとからいる役人とうまくやってけるとは思えないですし、
裏社会でしか生きられないような人もいると思うのですが……
だってやのつく人をいきなりお巡りさんにするっていう所業ですよね?これ。
しかもこの時代の役人ってお巡りさんよりもかなり強い権力持ってますよね……
まあ乙女ゲームですからどうだっていいことですね。

あと、バッドエンドの美学をもうちょっと感じて欲しいなって思いました。
洛泉との敵対エンドなんて萌えたぎりそうなエンディングなのに、あっさり。
まあこれは好みです。


翔侠
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翔侠相手には互角に言い返せる闇っ子ちゃんが相応しい。
ケンカップルからの初恋、幼馴染設定はベタだけど萌えました。

それにしても幼少期に符術士である主人公に命を救われたにも関わらず
成長してもなお良い符術士と悪い符術士がいるっていう分別がつけられなかったか……
そうか……

酔って主人公に絡むところは切なかったです。
シナリオは見応えがあったと思います。大団円で、すっきりしました。


永祥
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熱血、炎主人公でプレイ。
えーと、つまり、彼は一目惚れなんですよね?
それとも同じ種族だと問答無用で好きになるってことでしょうか?

「君がこんなに魅力的じゃなければ……」
ええと……彼はロリコンだったのかな?
主人公の成長過程で魅力的なところをいっぱい見たということでしょうか?
杏紅ちゃんとの具体的な差はどこにあったのかさっぱり分かりませんでした。
やっぱりネックは種族でしょうか。まさか、物語の主人公だからではないですよね……?

で、主人公は恩返しがしたいから、これまで義父であり師匠だった人を
男の人として見てみることになります。

光源氏計画ってすごい威力ですね。
光源氏が養女だった若紫を、成長した後に紫の上として妻に据えちゃうのは
光源氏が義母への恋慕を振りきれず、紫の上を代わりにしようとするからですが
永祥さんはそこらへんどうなんでしょうか。
気が合わない、合うの基準がすんげーふわっとしててまったくわかりませんでした。
とにかくさらーっと恋愛に発展していきます。

長く生きているだけに、永祥さんの愛は愛欲ではなく
もっと大きいものだとは察せられましたが、仮にも親だと思ってた人を
いきなり異性として見られる主人公にまったく共感できませんでした。
正直ちょっと気持ち悪い。
恩返しをしたいという気持ちが主軸にあるなら尚更。
永祥さんは主人公が抱く親への情や慕う気持ちを利用したようにしか見えない。
「いいの?」って聞けばいいということではありません。

若紫は初恋が光源氏なので、同じように主人公も
せめて初恋は師匠だったの♪的描写があれば分かるのですが
そのお株は翔侠さんに取られています。
そのため、ますます理解できない。

あと赤い砂=砂漠、主人公だとして「堕ちる月」って何だったんでしょうか。
主人公に惚れちゃった傍観者(=月)の永祥さんってことでファイナルアンサー?


杏紅
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良い子ちゃんな光属性主人公でプレイ。
この子とのルートは百合百合しくて可愛かったです。
すごく不憫な子で、杏紅ちゃんが初対面の主人公を苦々しく思うのは
当然だと思いました。必要とされることで自分を保っているいじらしさがたまらない。
エンディングも微笑ましく見ていられました。かわいいかわいい。
コメント
管理者の承認待ちコメントです。
  • -
  • 2013/05/14 11:17 PM
流音さん、こんにちは!

美しいグラフィックと性格が選択できる主人公は
夢が広がりまくりでしたよね……!
期待感が高まりすぎたっていうのはありそうです。
中華ファンタジーでわくわくが止まらなかったのですが……

おすすめありがとうございます!
プリンセスアーサーは各所で評判が良いみたいですね。
ガーネット・クレイドルのライターさんなので
恋愛過程はすごく良いだろうなとは思ってました。
共感できる主人公を描くのが本当にうまいですよね。
ちょっとチェックしてみますね!!

コメントありがとうございました!
またぜひいらしてくださいませ〜!
  • 大樹@管理人
  • 2013/05/15 11:41 PM
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