蝶の毒 華の鎖 幻想夜話

  • 2013.06.12 Wednesday
  • 05:58

クリアしました。
シナリオ自体は短いものの、内容がすごく濃いので大満足。
気になるエンディングのその後が見られました。
本当に大好きです、「蝶の毒華の鎖」。

スチルもかなり豊富です。シナリオが短い分、ワンシーンに贅沢に使っています。
あと、声優さんの熱演も見どころのひとつ。
シナリオが良いと演技にも力が入るのか、どの方も非常に素晴らしいです。

一つのテーマをハッピーエンドとバッドエンドの両側面から描いてることで
対比がわかりやすく、とても良かったです。

クリア特典とおまけが相変わらずひどすぎる……!

以下ネタバレ感想。
藤田
aromarie

いやあ、藤田ルートはプレイ中にこにこしてしまいますね!(・∀・)
ものすごい笑顔でプレイした気がします。
BADエンド後の「うわさ」は、予想を上回る内容でした。

だって藤田ってば、お尻をぶたれて一番最初に考えるのが
「姫様は久しぶりに私に触れられた」なんですよ。

目覚めてしまった姫様がノリノリで藤田を虐めているのに大興奮。
絡み合う構図も始めて見るもので、ついしげしげと眺めてしまいました。
やってることは相当アレなんですが、絵が美しいと迫力が違いますね。

「姫様と二人きりのこの空間がまるで楽園のよう」とまで言ってしまう藤田。
こんな関係性になってしまうのは、藤田に潜在的に罰を与えられて満たされる
ドM根性があるからですよね。
そしてまっさらだった百合子を加虐的な性質に変えたのは、やっぱり藤田なんですよ。
BADエンドは藤田が子ども返りしてしまい
百合子に母親を求める子さながらすがりつく話で、
いやあ、実に気色悪いですね!
にっこにこですよほんと。最高です。

抑え込んでいた母への思慕と嫉妬と百合子への恋情と
何もかもでぐっちゃぐちゃの藤田が大変おいしかったです。
エンディングも不穏でいいですね。

で、ハッピーエンド後の「執事の一生」では、
嫌がらせに藤田との思い出を模倣するお兄さまにしびれました。
後で藤田もお兄さまに逆に百合子との情事を見せつけたりと、
水面下で行われる陰険な見せ合いっこが面白かったです。

イライラして煙草を吸う藤田に「男」を感じる百合子というシーンも良かった。



秀雄
aromarie

バッドエンド後の「くるくる、くるくる」では
姫様のふてぶてしさに、すっかりたくましくなられて、と感慨深かったです。
泥沼の不倫で、秀雄だけがいつまでも初心な百合子に恋した男のまま。
その百合子はもう以前の百合子ではないのに、縋ってしまう秀雄の哀れで滑稽な有様を
心ゆくまで堪能できたルートでした。
幼い恋はとっくに終わってるのに気付けず執着する秀雄。

「全てを捨てて君と共に生きるなどと……
 彼女は最も望んでいないことだよ」


斯波の一言一言が重く、そしてまあ、真理だよなーと思ってしまいました。
身体を完璧に戻したところから見ても、百合子は秀雄の前ではいつでも女でいたい。
父親であり家族である斯波と、
永遠にサイドディッシュ、スイーツ、恋人以上にはなれない秀雄。
この対比が良かったです。

斯波役の声優さんの「君は本当に子どもだな!」には
実にしびれました。苛立ち、憤り、そして嫉妬――この激情を表す演技が素晴らしかった。
斯波さんにもこうしたキラキラ光る純粋性があるからこそ、イライラするんですよね。
ただ斯波さんは秀雄と違って汚いものを散々見て、ある程度は許容できる器がある。

財力のある伴侶と、時々自分が異性からの欲望の対象として現役である、
価値があると確認するための道具である若い愛人。
この二つを持つ百合子は満たされている。
自分に縋って泣く秀雄を百合子が憐れむでしょうか?
哀れむよりも、この関係の都合の良さに百合子は酔いしれているはず。

安定していて幸福な結婚生活と、刺激的でいつまでも終わらない恋愛。
この二つがあるほうが望ましい、という男女の業を、
性の欲望と醜さをごまかさずに描いているのはさすがの蝶毒です。
サイドディッシュとしての恋愛は悲劇的であるほうが美しいんですよね。

普通、こうした役回りって男側が担うんですけど秀雄を間男にすることで
余すところなくストレートに女の性を描いてるのにおののきました。
乙女ゲームなんすよこれ。でもこういう純情さって、男性らしいよなとも思います。
逆にこの、恋愛に流されずに打算的に現実を見つめて最良の選択をしてしまう
百合子の女らしさと来たら……

「俺と共に逃げよう」なんて本気で言ってしまう
秀雄の純情が、ただただ虚しく、もの悲しい話でした。

さてハッピーエンド後の「あなたとワルツを」では
ダンスに誘う百合子をにべもなく断る秀雄に思わず( ゚д゚)ポカーン……

おいおいお前、あれだけ切実に求めてたくせに
いざ手に入れてみたらじゃじゃ馬だのなんだの。
求めているものを手に入れるとこうまで傲慢になるかお前。
所詮は手に入らない恋だからあんなふうにみっともなく縋れるんですよねえ。

「どうせお前も心の底では格下の家に嫁いだことを後悔しているんだろう?」
いやこれほんと最低ですよね。
両親が殺害され、家が没落して路頭に迷う直前だった百合子に、このセリフ。
百合子の一途な愛を踏みにじる行為ですよ。
最低というほかない。この一言のせいで愛が冷めて離婚してもおかしくなかったと思う。

ここまで調子に乗れるものかと、良くも悪くも秀雄の純粋性を表から裏まで描いてくれた話で
大満足でした。
純粋性が一途方面に傾くのが不倫で、慢心方面に傾くのが結婚というのがまた……
後で、藤田を百合子のために引き抜こうとするのも、秀雄らしいなと思います。
藤田が百合子に恋心を抱いてる可能性をまったく考えずに信じられるのが……
でも藤田の場合は、逆にそれぐらい信頼したほうが裏切らないから効果的です。


瑞人
aromarie

瑞人お兄さまは相変わらず陰湿で陰険でいらして、最高でした。
この声優さんの冷たくて嘲るような声ってなかなか聞けないので楽しかったです。

「そんなだらしない性器ぶら下げて何様のつもりなの?」ヒィイイイ

あまりの暴言に失神しちゃう秀雄さん。
ゾクゾクしました、屈指の名言だと思います。言ってみてえこんなセリフ。

バッドエンド後の話「開花」は、真島とお姫さんの色っぽいやり取りにドキドキしました。
男を手玉に取る百合子のために贄となる瑞人さん。
血はつながってなくとも兄妹で肉の悦びに堕ちていく二人。
そして近親相姦を見せつけられる真島、というとんでもない構図に止まらない胸のときめき。

真島は快楽に流されて近親相姦にふけることへの生理的嫌悪感だけでなく、
求めて止まなかった愛する妹に「お前の復讐なんてどうでもいい」
言われちゃうんですよ。
真島が人生賭けて執着していた復讐、それを理性と本能の狭間で
死ぬほど苦しみながらも愛していた妹にさくっと否定されてしまうわけです。
しかも近親相姦に耽りながら。その時の真島の心境たるや……
恐らく自分の存在すべてを否定されたに等しいダメージを負ったんじゃないかと思います。
真島の最もやわらかく弱い部分をここまで的確に突くとは、さすがお姫さん……恐ろしい子!

対してハッピーエンド後の話では
「動物のように、欲望を覚えれば
 すぐに組み敷くというようなことを、したいわけじゃない……」

思わず笑ってしまいました。何言ってんだおまえ。
でも散々流されてきた瑞人さんが百合子のために踏ん張るから
ハッピーエンドなんですよね。あと斯波さん、かわいそうです。


斯波
aromarie

天国と地獄。
多分テーマは「目隠し」だったと思うのですが、
まさにこの対比に相応しい話でした。

バッドエンド後の「鬼火」の悲惨さ、惨さと
まるで夢の中にいるかのような「散る桜、満ちる月」。

私、あの丸木さんともあろう御方が「桜にさらわれるかと……」という
古典的テンプレ展開をご存知なかったとはとても思えないんですよ。
絶対に意図的に入れた展開だと思います。
この、思わず失笑しそうな、冗談のような幸福感を描きたかったんだろうなと思いました。
でもこの幸福の裏側にあった可能性が「鬼火」。天国と地獄の分かれ目だったんですよね。

赤く咲く桜に、斯波の瞳にいつしか燃えるようになった鬼火。
スチルの表情がとても良かったですし、声優さんの熱演も素晴らしかったです。
こんなに美しい情景なのに、置かれている状況は地獄そのもの。

ハッピーエンド後は相手の姿が見えなくても信頼し、
愛情を見せられ家族となっていくのに対し
「鬼火」では百合子のおかげで「もう鬼にはならない」と固く決意し、
百合子を狂おしく求めていた斯波さんの心が折れて、
最終的に「鬼」になってしまう……哀しかったです。

一体何のためにこれまで百合子を追いかけていたのか、これまでの努力は何だったのか。
斯波が初恋を大事に大事にしていたのは、約束の通り、
「鬼」にならぬよう踏ん張るためだった。
斯波さんの生きる指針だったんですよね。「鬼にならない」というのが。
でもどうしようもない誤解によって求めて止まなかった百合子に憎悪され、
斯波さんの恋情は妄執になり、ついに鬼になってしまう。
斯波さんのそれまでの生きる目的こそが、目標としていたその人を不幸にし、
愛が呪いに変わり……そうして斯波さんが鬼に堕ちてしまう姿は痛々しかったです。


真島
aromarie

真島がここまで苦しいのは、
もちろん近親相姦が社会的に禁忌であるからだけでありません。
近親相姦によって生まれた命だから育ての両親を殺害され、殺されかけたからです。
自分の存在をこれ以上ない形で穢され、否定されたわけです。
この一連の不幸には意味がなかったことを、認め、肯定しなければならない。

真島は絶対に近親相姦を受け入れることはできません。
だって受け入れたら、「育ての両親が死んだのは何だったのか?」となります。

育ての両親の死には、自分の不幸には意味がなかった。

これ、真島には耐えられないし、絶対にそんな風には思えないはず。
だからここまで百合子との恋愛を忌まわしいものと思ってしまうんですね。
育ての両親の死、真島のそれまでの苦悩すべてと直結するものだから。

近親相姦によって生まれたから、近親相姦だったから――
真島の不幸の原因はすべて近親相姦にある(と真島が思っている)。

それはひいては、「これまでの人生すべての苦悩には意味がなかった」
真島の過去や生き方のすべてを否定することにつながってしまうのです。
自身の存在、本能を肯定するとそれまでの生き様を否定することになる、という
とんでもないジレンマに陥っているのですね、彼は。実に難儀な男です。

百合子が仮に、近親相姦の事実を知った上で真島を求めればどうなるか?

それは真島にとって、
死ぬほど憎んでいた自分自身の不幸の元凶である両親を肯定する、ということになってしまいます。

そのためには真島自身が、「俺は生まれて良かった、ひとつの命として価値がある」
心から思わなくちゃいけないんですよ。
「生きとし生けるものは皆同じ、生命に貴賎なし」とね。
これ、もう、悟りの領域ですよね。神の愛の領域です。
つまり、ブッダ並に悟んないと真島って心置きなく幸せになることは出来ないんですよ。
ちょっと一般人には難易度高すぎると思います。
まあブッダ並に悟ると百合子への愛も執着ってことになってしまうんですが。
うわ、なんだこれ……どうしたらいいんだこの男は。もう記憶失くしちまえよ。

「うるせーな俺のせいじゃないやい、もう生まれたんだからいいじゃん」と開き直れず
自分を責めることを止められない生真面目さこそが、真島の不幸です。

だから百合子に真実は何も見せないし何も聞かせない。
独りよがりではあるものの、紛れもない真島の愛でもあるのです。

真島が近親相姦でありながら憂いなく幸福を享受するためには、
「育ての両親が殺されたのは仕方のないことだった」と受け入れ、
「実の両親が兄妹でありながら恋に落ちたのもまた愛」と肯定し、
「自分の存在は禁忌の交わりによる穢れたもの」という
思い込みを払拭する必要があるのですね。

無理ですよね。

真島を救うの、ちょっと百合子には荷が重すぎます。誰かブッダ呼んできて!

さて、真島です。理性と本能がいつだって逆方向に動いている真島です。
「世界を駆けて」「波打ち際を歩きながら」で、真島は百合子が誘拐されたときに
ほっと安堵するんですよね。これ、理性が安堵しているんですよ。
だって心のままに生きられなくて苦しいから。
百合子を手放すことを一瞬でも考えてしまうぐらい、理性が苦しんでるんですよね。

だけどその後、涙があふれてあふれて、子どものように泣きじゃくってしまう。
これは真島の本能、心、感情ですよね。心では百合子を求めて止まない――
なのに自分に正直に、心のままに生きられない。禁忌の交わりだから。
愛する人にさえ心を全て見せられず、偽り続けなければならない。
ああ、これが真島の不幸なんだなあと思いました。

誰もいない夜の海岸に母の胎内を連想し、ようやく安らぎを覚える真島。
それは、真島と百合子を否定する人間、社会を思わせるものがないからです。
辛いなあ。人間、正直に生きるのが一番だっつっても、やっぱり苦しいです。
ブッダ並に悟れてないので、真島の苦悩にどうしても共感して、哀しくなってしまいます。

でもそこまで苦しんででも百合子を手元に置きたい、守りたい心があり、
理性と心が軋んで苦しみながらも、百合子が傍にいることだけで幸福を覚える。
そんな不器用な生き方しか出来ない真島を愛でる話でした。
いつか真島が、愛に良いも悪いもないと気付く日は来るのでしょうか。

さて、「壺中天」は実に淫靡でぞくぞくしました。
いいですね、いいですね。
「上海愛玩人形」はとても美しく妄想が捗るエンディングだったのですごく楽しかったです。
ハッピーエンド後の違いは二人が言葉によって理解し合って
想いを交わしていないところにあると思いますが、何よりも可能性の排除ですよね。
「壺中天」の百合子は、もう真島を見ることも声を聞くこともできない。

「けれど、あなたは目も耳もなくしてくれた……ねえ、俺のためなんでしょう?
 そうなんでしょう……?」


真島の罪の告白、ここでやっと「どうでもいいですよ、血だの呪いだの」という一言が飛び出す。
それは生涯、百合子が兄妹であるという事実を知ることがなく、大陸にいるから。

真島は百合子の眼も恐ろしかったんだなあと思いました。
近親相姦を肯定されても辛く、否定されれば地獄の苦しみですよね。
真島は近親相姦によって生まれた子だからこそ。
どこまでもどうしようもない男です。
だからこそ障害を負った百合子を大切に大切にする。

「天下は破れば破れよ、国は滅びれば滅びよ、我が身さえ富貴ならば……」
「すべてを呪い、己の幸福のみに生きる」という象徴的な話でした。

「世界を駆けて」では己の幸福のみではなく、
百合子と己の幸福のために生きるのが、自分以外の他者がいるのが大きな違いです。

それと、占いの館で「はい、俺の自慢の妹ですよ」という
セリフが飛び出したのには吹き出しました。絶対言わなそうなことを言わせてるのがいい。

あと、鏡子様はFDでも非常に良い味出してました。

鏡子様
aromarie

気持ち悪いぐらい語ってしまいましたがこの辺で。
おまけの猫耳執事喫茶も相当ひどかったです。みんなにゃんにゃん言い過ぎww
絶対ありえなそうなスチルも良かった!

総じて、すごく楽しかったです!
コメント
乙女ゲーは「ヒロインに自分を重ねてモテ気分を味わってね!」というコンセプトですが、その投影が上手くいかないと「自分の目の前で
知らない女がモテているのを見せつけられている」状態になると、尊敬するサイト様が喝破しておられました。激しく同意します。ですがこの作品は濡れ場のアングルがよく計算されていて「おいてけぼり感」を感じません。真島に対する考察に赤ベコの如く首を縦に振りました。彼を救うのは「聖おにいさん」のタッグでも厳しいんじゃ・・・。シナリオの深さに唸りました。
  • nobara
  • 2014/02/25 10:23 AM
確かに、主人公の投影がうまくいかないか、
主人公を好きになれないと感情移入しづらいですよね。
この作品はシナリオもさることながらグラフィックが
素晴らしいですよね!見たことない構図にうなりました。
確かに「聖おにいさん」のタッグでもかなり大変そうですね(笑)
あの二人に振り回される真島を想像すると面白いので
それがいいんじゃないかと思えてきました。
  • 大樹@管理人
  • 2014/02/26 2:17 AM
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