大正メビウスライン 千家 感想

  • 2014.02.15 Saturday
  • 17:48
大正メビウスライン
大正メビウスライン
posted with amazlet at 14.02.06
LoveDelivery (2012-12-21)


2/9に拍手してくださった方、ありがとうございます!
温かなお言葉の数々、胸に染み入りました。嬉しかったです。
これからもどうぞよろしくお願いします!



ここからは千家ルートの感想です。

以下ネタバレ感想。
千家 伊織

妖怪ドS気取り

千家さんに個人的な萌えは一切ないのですが、シナリオがおもしろかった。
ちょっと予想とは違いましたが、読み応えがありますし、
京一郎さんも甘さも控えめにならざるを得ないこと、
とにかく地獄に真っ逆さまに転がり落ちるお二人を温かく見つめられました。
その意味で、今までのルートでは千家ルートが一番好きかもしれません。

伯父の紹介で千家さんとばったり出くわしてから、徐々に絡め取られていく
京一郎さんが、少しずつ千家さんに情を感じていく姿に説得力がありました。
しかし千家さん、一夜明けてまさかの腕枕っすか……お優しいっすね……

千家さんの言い分自体は、はっきり言って詭弁に過ぎないのですが
弁士でもないおのぼりさんの京一郎がうまく言い返せないのはよく理解できます。
中二病(笑)と生ぬるく見守られてる千家さんですが、
当時の帝国陸軍軍部の脳筋ぶりと人命軽視ぶりを鑑みるに
千家さんの死霊兵を用いる作戦が一部から熱狂的に歓迎される風潮も
分からなくもない。「外交」という考え方自体が比較的新しいものですし。

術式作戦への反論は館林さんが自分のルートでちゃんとやってくれたし、
その通りだと思うのですが、他の論述であの時の千家さんに反論するとしたら、
「国際世論に攻め入る大義名分を与え、
神国日本への侮辱、現人神を荒神、祟り神へと貶めるだけでなく、
臣民を後戻りできない道に引きずり込んでしまう」
かなあ。
死霊兵は他国の生理的嫌悪感と憎悪をこれ以上ないくらい煽ってしまうから、
術式作戦は日本が世界征服する以外の道がなくなる、非常に危うい策なんですよね。
倫理感を抜きにして策だけ見たとしても正直、愚策だと思う。
死霊兵だけ用いて水際で他国を追い払うってことも難しいだろうし。
あとこの世界って、核ないですよね?核あったら死霊兵って意味ないと思うの。

まあ京一郎さんもハズレ選択肢で「日本も餓狼になってしまう」って
言ってくれるのですが、京一郎さんは過去、死霊を見て死ぬほどビビったわけだから、
その辺りの恐怖を忘れないで欲しかった気がします。
その方面で千家さんに反論できるのは、京一郎だけなんだから。
今度は世の臣民がトラウマレベルの恐怖を毎日味わいながら生きることになるんだぞ……

で、この後は「男娼」呼ばわりに女子のごとくぷりぷりする京一郎さんと
詫びの印に指持ってきちゃった★なおちゃめな千家さんが見どころ。
千家さんはともかく、京一郎さんはもうちょっとこう……
なんでそんな、みんなに良く思われたいんだよ……と納得いかない気持ちになりました。
なんと言われようと気にしない、ということが出来ないのは、
京一郎さんに軸となる芯がないからですよね。
これまでにそれが出来なかったのは、なにも考えないで生きてきたからでは……と
思ってしまった。良くも悪くも守られて生きてきたからショックで、
それを思えば仕方ないのかもしれないけど……、
もう少し「こなくそ」という根性を見たかったです。

初回はミサキと時雨の作戦がうまくいって平和な毎日へ。
バッドエンドだけど、尊いエンディングだなあと思いました。

で、京一郎さんがぐだぐだ迷っているうちに、持ち前の甘さで
とっさに千家を守ってしまい、後戻りできなくなるのがうまい。
説得力がありました。

目の前で誰かが死ぬのを見たくない、その逃げの姿勢のせいで
より多くの生命が失われていく。
あの時の京一郎さんって、多分、
ただ単に死を見たくなかっただけなんじゃないかと思いました。
千家さんに大義があるとか憂国とかそんな高尚な理由じゃなくて、
知り合いが目の前で死ぬのって寝覚めが悪いから。
けれど、一瞬でもつまらない情をかけたその甘さが五本刀の破滅を招く。

で、その後に京一郎さんは千家さんと「死にそうになったら殺すね」契約を
交わすわけですが、ここ、京一郎さんが陰と陽の話を聞いて納得したっつーか、
元々千家を庇って時雨を見殺しにした時点で後戻りはできなくなってたわけで
感情的にその現実をどう受け入れるかという問題だった。

で、千家が京一郎を望んだ理由がそれなりに筋の通ったものだったので
「千家を殺すから」という理由を得て、感情にケリをつけた。
罪悪感もない上に大義名分も得て一石二鳥です。

で、家に帰るルート。

雄真に襲われるのですが、声優さんの演技も明確に変化して非常に興味深かったです。

雄真に時雨殺しを詰られた京一郎さんの内面が詳細に描かれるのですが
びっくりするぐらい「憂国」も「家族」も
まっったく出てこねえ……

ほんと1ミクロンも出てこなくて、ああ、京一郎さんにとって
ノブレス・オブリージュだの憂国だの家族だのは
御託に過ぎなかったんだと確信しました。

罪と宿命を背負ったまま一人になるのが嫌だ。

京一郎さんはこの期に及んで「私のせいじゃない」って言いたいわけですね。
この後、別のシーンでみずから足を踏み入れたんだ、ってちゃんとモノローグで出ますけど
でも業を背負って自分だけ落ちることが納得いかないわけですよね。
お前が巻き込んだから責任取れよと。死ぬなら私がお前を殺してからにしろと。

ここで「雄真」が千家さんを殺すのはダメで、
「京一郎さん」が千家さんを殺さなくちゃいけないって、
是非はともかく京一郎さんらしいなと思いました。
京一郎さんは「正しく」ありたいんですね。

すべての元凶となった千家さんを「京一郎が殺さないと」、
時雨殺しと五本刀壊滅を背負った京一郎さんの罪と帳尻が合わない。
雄真が殺してしまうと、京一郎さんの時雨&五本刀殺しの罪(止めもせずに見守った罪)が
昇華されない。
誰も殺したくないという卑怯さゆえに招いた悲劇が
ずっと死ぬまで京一郎さんについてまわる。
だって京一郎さんの甘さのせいで招いた事態だから。
その事実が耐えられなくて、直視できなくて、
京一郎さんは結局、居直ることにした。

だってのうのうと生きてるのが申し訳ないだけなら
雄真が千家を殺した後に自主的に死んだらいいじゃないですか。
でも死ぬのは嫌だ。けど苦しい。罪が重たくて苦しい。
だからこその、このモノローグですよ。

千家は共犯者だ。
そして地獄への道連れだ。
血を分かち合った京一郎だけの。


「時雨殺しの罪を共有」
大事なのはこれで、一人で背負いたくないから「あなたのせいで背負った」と思いたい。
判断を間違ったのが原因なんだけど、罪を誰かのせいにしたいという気持ちは
とても人間らしいものでもあり、理解できました。

でー、ここからのー、千家さんが平岡を使って京一郎さんに
嫉妬させようとしたり、愛のあるセックスじゃなきゃヤダヤダしたり
ゲロ甘な展開が続きます。

館林さんはやっと貴族らしい働きを見せたものの最後まで受身でした。
部下を殺されてからじゃないと動けないのかよ……
自分のルートで最初からやれよ……

つまり死んで利用されるのが自分の部下でない限りは、
よその兵士が死霊兵として利用されても仕方ないと思ってたんだろうな……
ああうん……やっぱり嫌いです……
メビウスラインはどいつもこいつも、ものすごく個人的な人間ばかりですよね……
恋愛ってそういうものですけど、帝國のこれからにまつわる話なのになあ……

おせんべい買ってミサキと話してから戻ったときの
忠犬ハチ公のごとく待ってた千家さんはちょっとかわいかった。

この後のバッドエンドはどれも楽しかったです。
ミサキさんの京一郎さんへの想いが良かった。
誰を差し置いても京一郎だけは、という気持ちが見えて、
腕とっかえエンドでのミサキさんが不憫でした。
京一郎さんの腕を律儀に持っていくところにキュンとした。

陰陽の完全になってスーパー京一郎になったエンドは
スチルの違和感にちょっと笑ってしまったけど、
千家さんに成り代わり、千家さんとして生きるのが
心地良くもあったんだろうなと思いました。
そうすれば「柊京一郎」の罪は忘れられるわけだから。

お次は双子に殺された京一郎を反魂で蘇らせるエンド。
速攻で反魂する千家さんは分かりやすくていいですね。
行動するときに一切の迷いがないところが好ましくはあります。
やっていることはあれだけど。
蘇ったときの千家さんの優しい声と、べたべたに甘やかしてる姿が
良かったです。京一郎さんはようやく千家さんの「もの」になった。

で、戻って大人しくしてるルートへ。

雄真のジト目に対してこの期に及んで雄真に良く思われようとしてる京一郎さん……
時雨を殺して五本刀を全滅させたのを止めなかった時点で
なにもかもが手遅れだし、誤解もくそもないと思うのですが
雄真を殺さないからぐだぐだ覚悟が決まりません。

で、館林さんに会いに行った後に昴后の命令で館林隊討伐。
館林の死を受け止める覚悟を見せたら部下に斬られるっていうのも皮肉な話ですね。
館林隊を逃がすために根の道に行ったらみんな全滅してしまいます。
で、なんやかんやあって千家さんが口裏合わせてくれて
無事に戻るのですが、ここで正直に打ち明けたとき、
京一郎さんを殺さなきゃいけなくなり、手にかけた千家さんの
「私がお前にいつ真実を求めた」が良かったです。
千家さんは望む結果を得られるなら手段は問わない人で、
それが徹底されてて好印象でした。

で、この後。
根の道で館林隊を全滅に追いやったのは昴后の手の者、と訊いて
真っ青になっちゃう千家さんが言った一言こそ、
千家さんというキャラクターを表すのに象徴的なセリフだと思います。

「すめらぎの弥栄は、我が一族の犠牲の上にある。
 そうだとも、引き返せん。
 大日本帝國は必ず世界の覇者たらねばならんのだ――!」


あとこれ。

「天命でなければ、すべて無為の死となってしまう……」

人の生命をなんとも思ってなさそうなのに
家族の死に関しては人並みの執着を見せる千家さん。
人としてのその情、あるいは甘さが、
さらに人の道に反する死霊兵を用いることへ
千家を追い立てるという、ものすごい皮肉が利いてて良かったです。

千家さんはもともとタカ派な軍人だと思うのですが、
その千家さんのカウンセリングをする方向にいかなくてほっとしました。

トゥルーエンドと思われる、千家さんが覇道を成し遂げるも
落日に錦旗を飾る、というどこか象徴的なエンディングは良かったです。
落ちるところまでどこまでも落ちていく、先行き長くなさそうな二人が
物悲しくも清々しい。
地獄にともに落ちる相手がいるのは、きっととても幸福なことだ。
千家さんは求めるものを全部手に入れたのに、
幸せな感じがまったくしないのが良いですね。
京一郎さんも良い感じにスレてきてて好感が持てました。
敵兵の死霊兵を前線に置こうという趣味の悪さも良い。それでこそ千家さん。

もうひとつのエンディングは、京一郎を置いて逝こうとする千家さんが
いじらしかったし、潔くて良かったです。
自分のやってきたことは天命ではなく、蛇に踊らされていたことから
悲願としていた術式作戦を捨てて歪みを正しに行く。
ここで京一郎さんのモノローグに「贖罪と報国」という言葉が出てきます。
つまり、このエンディングの千家さんは、「術式作戦は誤っていた」と
認めたということでいいのかなこれ。
術式作戦は歪みによって導かれた信念で、千家さんのものではなかった。
――と、千家さんが結論づけたエンディングです。
こちらは館林自害エンドと明らかに対になっています。
京一郎さんが速攻で千家さんを追いかけられたのは、
千家さんの心が自分にあると確信できたから。
京一郎さんは相手のために死ぬなら心が欲しいんですね。
タダじゃ嫌だと。
分からなくもないけど、こういうところ、すごく女性的だなー。
夢見る大学生さんなら御国の礎となるための自己犠牲に
妙なロマン感じてもおかしくないのにー。
男性ってそういうの好きそうなイメージがあります。
で、根の道で永遠に共闘エンド。
疲れそうだけどこれはこれで安らかなんじゃないかと思いました。
ずっと京一郎と一緒にいられて、もう二度と迷わなくて済むわけだし。

千家さんの安寧は、死ぬことでしか得られない。
そんな結論が出た千家ルートでしたが、長々書いた通り楽しかったです。
あと声優さんもよく合っていました。お疲れ様でした。
コメント
またまた遊びに来てしまいました(笑)、一之瀬です。毎度楽しませて頂いております。ありがとうございます。


千家ルートプレイ&レビューお疲れ様でした。千家ルートの4エンディングの徹底した破滅っぷりに刮目したのを、レビューを拝見して思い出しました。ただじゃ死ねない系☆男子と言うべきか、まともに死ねない系☆男子と言うべきか(^_^;)

アッ、ご感想で書かれていたもののうち、私なりに感じたこと考えてみたことを以下に書き連ねさせてもらいました。


>なんでそんな、みんなに良く思われたいんだよ……と納得いかない気持ちになりました。

→京一郎さん、名主の息子だからでしょうか。平民とはいえ将来的に人より少し上の立場から人々の生活を助け、守っていかなくてはならない人で、やはりそういう教育を受けたんだと思います。名主の息子ってことで同世代にも一線引かれていたらしいので、ガチンコなケンカとかはしたことなさそうです。自分がどんなめに遭っても守りたい他人ってものを作ったことがない人って、京一郎さんのような感じに育つんですかね……。誰かの味方をするってことはつまり、敵を作ってしまうことですから。


>京一郎さんは相手のために死ぬなら心が欲しいんですね。タダじゃ嫌だと。分からなくもないけど、こういうところ、すごく女性的だなー。
夢見る大学生さんなら御国の礎となるための自己犠牲に妙なロマン感じてもおかしくないのにー。

仰る通りすぎて千家さん並みの頭痛が私を襲いました(アッ)
BLでここまで女性的な面が出てるのも珍しいですよね。攻略キャラとは恋愛関係になる前または結局恋愛関係にならずにお国のため死す!みたいなエンドあっても良かったですね。そういえば京一郎さんはまっさらなおのぼりさんで、そういえばメビウスラインはBLでした。

館林さん、自ルートでは放たなかった必殺技をなさって、この人マジ追い詰められないとダメなタイプだ……と悲しくなります(笑)京一郎さんとの情事もまさかのマグロでしたから、もう、何も言うまい……。

千家さんが速攻で「あぼぉー!!」したのは私も好きです!エッなにこの人ゾッコンだね……とシリアスの中に萌えを感じました。


またも長々コメント失礼しました。今後も楽しみにしております!
  • 一之瀬
  • 2014/02/16 7:04 PM
一之瀬さん、こんばんは!!いらっしゃいませ〜!
千家ルートは見事に全部、破滅エンドでしたね。

>自分がどんなめに遭っても守りたい他人ってものを作ったことがない人って、京一郎さんのような感じに育つんですかね……。誰かの味方をするってことはつまり、敵を作ってしまうことですから。

一之瀬さんの意見でこの辺り、「なるほどー!」って思いました。
確かに敵作ったことなさそうな感じしますね。
それでみんなにそこそこ慕われるような振る舞いを
しなくちゃいけない、みたいな気持ちが強いなら
あの言動は分かる気がします。
名主の息子だからこそ、村で嫌われたら死活問題でしたね。
そうやって考えるとあの言動は納得いきました。

でも京一郎は本当に、すごい女性的ですよね!
仰るとおり、プレイ前は御国のために死すエンドがあるもんだと思ってました。
そうなんですよ、BLなんですよね……。
思わず確認しちゃいますよね……。

館林さんの会心の一撃にはびっくりしましたね。
でもほんと、いつだって受身です……。

千家さんの呆然とした様子から瞬時に味方を犠牲にして
反魂したのは、想いの強さが見えて良かったですね。
速かったですほんと。

次はミサキさんですが、またお付き合いいただけますと
嬉しいです〜!
コメントありがとうございました!
  • 大樹@管理人
  • 2014/02/17 1:24 AM
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