死神と少女 桐島七葵&千代ルート感想

  • 2014.05.11 Sunday
  • 02:08
死神と少女


桐島先輩&千代ルート感想です。

これを書いている時点で十夜兄さんの黒の章までクリアしてしまったので
記憶が薄れないうちにとっとと書こうと思います。

以下ネタバレ感想。
物語がすべて後半の真相を暗に示唆するような構成には舌を巻きます。

そうして「王子様」を夢見る女の子は「理想の王子様」は存在しないと知って、嘘を拒絶し、
桐島先輩&千代ルートでようやく「恋」を知る。

桐島 七葵
死神と少女 応援中!

桐島先輩、格好良いですね。桐島先輩の愛し方ってすごく共感できました。
ぶっきらぼうだけど嘘を言わない、誠実でまっすぐな人。

桐島先輩は幻想を必要としていないのに、幻想の中で生きることを
生まれながらに強要された人です。

桐島先輩の見ている世界までは知覚できなくとも、
紗夜ちゃんは同じように「千代」という存在を認識できる仲間となります。

桐島先輩の言葉は限定されています。
相手のためになることを言おうとして、けれどその場しのぎの言葉で
ごまかすことを良しとせず、結果的に物言いが厳しくなります。
何故なら本当のことしか言わないから。真実は大抵が耳に痛いものです。
でもそれは、心から相手を想っているがゆえに言うのですよね。
もしくは、自分を偽ることを良しとしないからこそ。
彼はずっと幻想の中に生きているから、なにが「実在」で、なにが「幻想」かを
見極めて生きなければならなかった。だから「正しさ」にこだわる。
いついかなるときも現実を見据えながら、
やさしい嘘で相手を包み込み、夢を与える日生先輩とは真逆ですね。

そんな桐島先輩との恋は、紗夜ちゃんを見ていて、
「ああ、この子は恋をしてるんだな」と素直に感じられました。
高校生らしい爽やかで初々しい恋で良かったです。
「俺は淋しそうな奴に弱いんだ」にはキュンとしました。

物語の軸は千代なので甘いイベントはそんなになかったのですが、
桐島先輩が紗夜を気にしているのは伝わってきました。

生まれたときから人とは違う幻想の中に生きていた桐島先輩は、
紗夜ちゃんを自分と同じ目にあわせまいとして、千代と衝突するのですね。
千代がうたかたの存在で、いずれは消え逝くのが「正しい」と理解している。

「最大多数の最大幸福」
桐島先輩は千代に助けられて、たった一人の友達が千代で、
なのに桐島先輩は心のどこかで、
自分の存在こそが千代をこの世に留めてしまっているのではないかと苦しんでいる。
千代と離れたくないけど、自分こそが千代の未練となっていると気づいている。
だから突き放すんですね。

すでに十年ともにいる。この時点で、これだけ辛い。
ならばさらに二十年、三十年、四十年、
やがて桐島先輩が死んだときに千代はどうなってしまうのか?
ただでさえ寂しがり屋で孤独に弱い千代に、どれだけの苦しみを与えることになるのか。

それを想うと、桐島先輩はたとえ冗談でも、
千代に「死ぬまでずっと一緒にいて欲しい」なんて言えなかったんだろうなと思うと
もう……! もう……!! 桐島先輩……!!(´;ω;`)ウッ…

「本当に好きなら、大事にしたいと思うのなら、相手の幸せを考えるべきだろう」
まさに桐島先輩そのものを象徴するような、
紗夜に想いを寄せる千代に投げつけなければならなかったこの言葉は、
桐島先輩がずっとずっと自分に言い聞かせてきた言葉でもあります。
好きで言ってるわけじゃない。だけど、千代と紗夜のために敢えて言うのです。
そういう覚悟が潔くて、とても格好良かったです。

たとえこの別れが桐島先輩にとって身を切られるほどに辛くても、
千代のために別れを選択するのですね。
「千代」という名前をつけた由来を聞いた時点で号泣でした。
なんて深い想いを込めた名前なんだろう。桐島先輩の想いと友情が見えてぐっと来ました。

千代が消えるのが嫌で泣いて縋る紗夜ちゃんの気持ちもよく分かるんです。だから辛い。
桐島先輩には考える時間が十年あった。十年かけて、桐島先輩は覚悟を決めたわけです。
会ったばかりで、まさにこれからだった紗夜ちゃんが取り乱すのは心情的にはよく分かる。

特に、桐島先輩が千代を認識できなくなってしまうシーンは辛かった。
胸が痛かったです。最後まで見えないままというのも、また辛い。
でも公園で、千代が二人の仲を取り持とうとするのも、かわいいけど切なかったです。

最後、千代のありったけの祝福も胸に迫りました。
コスモスの丘で呆然と佇む桐島先輩。
彼の深い深い悲しみがうかがえました。きっと心が虚ろになっているのだろうな。
代わりに泣きじゃくる紗夜ちゃんが桐島先輩に寄り添って、という情景が胸に来ました。

エンディングも号泣ものでした。家族になって、コスモスの丘に来て。
ああ、幸福になれて良かったなあと素直に祝福できました。

名前を呼ばれて照れる桐島先輩には萌えました。ああもうかわいい……!
こう、ちょっとしたシーンでお互いに想い合っているのが感じられてもだもだします。
桐島先輩、本当に格好良いですね。好きです。


千代
死神と少女 応援中!

秋桜が恋焦がれるのは、春の桜。
この物語がとても幻想的で、美しかったです。

千代の優しさは、桐島先輩とも日生先輩ともまた違う。
とても分かりやすい優しさです。
千代に接した人が、「ああ、自分は今やさしくされている」とすぐに理解できるような。
寄り添って、にこにこ笑ってともに歩いてくれる。そういう優しさ。
千代は「自分は身勝手で、優しさとは違う」と言っていたけど、
「相手を理解したい」という気持ちだって温かさには変わりないと思います。

千代は人間ではない、と真実を告げる桐島先輩と
紗夜ちゃんが衝突するところは、どっちの気持ちも分かるからハラハラしました。

幻想の中にいても踏みとどまっていられた桐島先輩は幻想と共存できたかもしれない。
だけど紗夜ちゃんは違います。あまりに弱すぎて、幻想に飲み込まれてしまう。
現実から遊離してしまう。だから桐島先輩は千代を止めて、警告するのです。
桐島先輩は幻想と生きることがどういうことなのか身に沁みて分かるから。
桐島先輩の厳しい優しさと、それでも想い合う千代と紗夜ちゃんが切なかったです。

決して会えぬ春の桜。
幻想への恋。

自分が何者なのか分かってしまえば、ここにはいられない。
「自分は何者で、なにをなすべきなのか」という自己同一性が
あいまいであれば、ただたゆたっていられたのでしょう。

けれど自分がなにをなすべきなのか、真実を得ることで定義が変われば
どうしても本来の姿に戻ることを意識せざるを得なくなります。
千代はあくまでも幽霊(=幻想)で、依って立つものがなにもない。
そこに強力な自己認識が加われば、抗うことはできなくなる。
千代が幻想で、存在の定義があいまいであるからこそ。肉体がないからこそ。
千代を最も強く「個」として認識していた桐島先輩が認識できなくなれば尚更。

「自分」という認識は不確かなものです。
生きていれば肉体があって、他人であっても誰かが自分に気づいてくれるかもしれない。
でも千代はそうじゃない。九割の人にとって千代は「存在しないもの」。
だからこそ、桐島先輩も見えなくなれば、千代も
「自分の正体」という自己認識に引きずられて今の形を保つことは難しい。
残ったところで紗夜ちゃんを幸福にはできないと理解しているため、
彼は敢えて消えることを選択します。
この恋は、紗夜ちゃんを無駄に苦しませるだけだと分かったから。

コスモスの丘での別れのシーンは美しくて幻想的でした。
エピローグのシーンもどこか示唆的で好きです。

心象風景ともいえるし、幻想の中で二人の想いが結ばれたともいえるし、
あるいはまったく別のよく似た誰かが、千代の想いに共鳴したようにも思える。
それか、千代は人間であったか、人間に生まれ変わって想いを遂げるのかもしれない。
この辺りはプレイヤーの解釈次第でしょうね。

初々しい桐島先輩ルートも、幻想的で儚い千代ルートもどちらも実に良かったです。
余韻にしばらく浸ってしまいました。

さて、このまま十夜ルートの感想にいきます。
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