クリムゾン・エンパイア ミハエル感想

  • 2014.07.19 Saturday
  • 01:54
クリムゾン・エンパイア
クリムゾン・エンパイア (通常版)

ミハエルの感想です。

以下ネタバレ感想。
ジャスティンDEADENDも回収しましたのでそちらを先に。
後継争いに敗れたエドワルドは、あっさりと義兄ジャスティンのために死を選び、
処刑される流れはエドワルドDEADENDと一緒。

「あなたはいつも、私を救ってくれる」
自殺する間際のシエラのこの一言がね……行く道を照らしてくれるエドワルド。
彼はシエラに終わりまで提供してくれました。まるで誘蛾灯のように。

シエラにとって、生きることは真っ暗なトンネルをふらふら歩くことと同義です。
彼女は幼少期のトラウマにがっつり苛まれてるせいで、自分の力で道を選び、
暗闇を歩いていけるほどの強さがありません。だから、明かりを求めてさまよう。
そこで現れたのがエドワルドです。エドワルドはシエラの価値を認め、
どうすればいいかいちいち指示を出し、生き方を定義し、死に方まで教えてくれます。
シエラはなにも考えずにエドワルドに付いていけばいい。それが=救いなのです。

たとえ飛んで火に入る夏の虫よろしく、シエラが誘蛾灯に誘われて
そのまま焼け死んだとしても本望なんです。
もう得られもしない希望(=母の愛、迎えに来てくれる母)を求めて
ふらふらさ迷わなくていいわけだから……

で、シエラにとっては、主の後を追うのはそりゃそうだろうなと思えますが、
このエンドでは直前でジャスティンに助けられて、うっかり死に損なってしまいます。
どうやらシエラ自身も、死の間際に愛する人であるジャスティンを思い出したせいで
手元が狂ったっぽいことが描写されます。
このエンディングの、ジャスティン役の声優である平川さんの演技が素晴らしかったです。

特に抑揚のある演技ではなく、どっちかといえば呆然としてるんですけど、
なんか虚無を感じるんですよ。ジャスティンの中の深い深い絶望が見える演技でした。
そりゃ、直前までウキウキとシエラとの未来を夢見ていたジャスティンにとって、
まさかエドワルドが敗れたからって速攻で処刑になるとは思ってなかっただろうし、
恋人であるシエラがなんのためらいも、相談もなくエドワルドの後を追うなんて
思ってなかったのがありありと見えて、ジャスティンが可哀想でした。

というのも、ジャスティンはシエラの忠誠を甘く見てたんですね。
シエラが文字通り、本当にすべてをエドワルドに捧げられるとは考えてなかった。
それは、ジャスティンが自分のすべてを捧げられるほどの人がいなかったから……
というよりも、多分、ジャスティンは健全すぎたのだろうなと思いました。
だって彼は自分を愛することができる人だから。

ジャスティンはシエラのために命を賭けて戦って、成長してくれる男だから
シエラと地獄に落ちることはしないんですよ。恐らくそうなる前に手を打っちゃう。
でもシエラは、一緒に地獄に落ちる相手を(無自覚に)探してるのです。
だからこその断絶が切ない。

エドワルドならどうだったかというと、エドワルドはね、恐らく
自殺するシエラを止めたりしない。絶対にしないと思う。
自殺されたら彼なりに絶望するかもしれないけど、その場面に出くわしても
シエラの気持ちを汲んで、放っておいてくれるはず。
同志であるエドワルドとシエラ。

その、決して二人の間に割り込めないジャスティンが良かったです。
しかも、彼が二人のようになれないのは彼の心根が清廉としてるからなんですよ……
なんてこったい……(`;ω;´)
絶望するくせに命を助けちゃうのもね……シエラを喪うよりは憎まれて生きることを
望むって、それって義兄ジャスティンを喪うよりは憎まれて生きることを選んだ
どこかのエドワルドさんと同じ道じゃないですか……。・゚・(ノ∀`)・゚・。
シエラへの愛のために、無意識に弟と同じ歪んだ役割を果たすことになるジャスティン。

こう見ると、シエラは男を堕落させる悪魔と言ってもいいかもしれません。
ジャスティン、あんなに輝いてたのに、シエラに惚れたばっかりに……


すみません、ミハエルの感想でした。語りすぎた。

最初から不思議だったんですが、ミハエルってミカエルのドイツ語読みですよね。
ファウストは悪魔メフィストフェレスと契約して困ったことになっちゃう人の名前から
取ってるんだと思いますが、ミカエルは大天使ミカエルですよね。
ジャンヌ・ダルクに啓示を与えたりしてる天使。

なんで敢えて天使の名前を悪魔につけたのか、ただの偶然かなと思ってたのですが、
クリアしてから、ミハエルはシエラにとって紛れもなく啓示を与えてくれる
救いの天使に他ならなかったのだと実感しました。

……で、もし私の考えが間違っていなければ、ミハエル=メフィストフェレスではなく
何故かミハエル=ファウストにしたのは、ミハエルにとってシエラは
甘言を弄して堕落させる悪魔メフィストフェレスだから……というからくりかな、と思いました。

というのも、ミハエルがシエラに惚れたのは、その魂が「醜い、汚い」=「大嫌い」
だからなのですが、ここまで散々描かれてきた通り、
シエラの魂は「生きたいと願い、愛を求めて泣く、希望を抱いた魂」のはずなんです。
彼女は母に捨てられたときに、泣いて絶望して現実を受け入れ、気分を切り替えるという
プロセスを経ていません。それどころか泣くのを我慢しちゃう。
何故か? それはシエラが希望を失ってないからです。
シエラが大人になってなお少女趣味な髪型にこだわるのは、心のどこかで、
自分を捨てた母が迎えに来てくれる希望を抱いていて、それを捨てられない。

悪魔が美味しそうだと感じるのは、カーティス=ナイルやマイセンみたいな人らしいので。
マイセンは恐らく絶望とか苦しみとか妹への恋慕にのたうち回ってるから
「おいしい」ってことになると思うのですが、カーティスは「おいしそうだけど食えない」
らしいので、多分カーティスが抱えるのは闇とか虚無っていうよりって感じなんだろうな。

話を戻すと、ミハエルはあれこれ文句をつけながらシエラにこだわります。
悪魔なのに契約をせず、口約束でずっと見守り続けます。

シエラは捨てられてからずっと見守ってくれた悪魔ミハエルに、
保護者の愛、つまり無償の愛を与えられているわけです。
悪魔なので「大嫌い、汚い、醜い」と繰り返されるのですが、
それはシエラが望む言葉でもあります。これらの言葉を聞くとシエラは安心する。

このルートでは、シエラが同志であるエドワルドにも、
眩しい光であるジャスティンにもついに言わなかった
「私を捨てない人がいい」という言葉が聞けて感無量でした。

シエラはミハエルの前でだけ泣き、みっともなく追い縋る。
捨てられる恐怖を捨てきれないシエラに、ミハエルは救いをもたらします。
「僕は悪魔なんだから、くだらない人間の母親なんかと一緒にするなよ。
 そのとき(=シエラの最期)が来たら、必ず迎えに来る」


この一言のおかげで、ベストエンディング後のシエラは髪を解けたのだと思います。
彼女は相変わらず迎えを待ち続けてるわけですが、母ではなくミハエルに
完全にシフトしたんですね。だから母の結ってくれた髪型にこだわらなくなる。
必要がないからです。

生きているシエラをついに綺麗だと言ってしまうミハエル。
生きろ、幸せになれ、死後は不幸になるからと発破をかけるミハエルの
振る舞いは、シエラにとって祝福を与える天使と相違ありません。

このエンディング、後でエドワルド様が拗ねて意地悪言うのもポイント高いです。
死んでも悲しくねーし、なんもしてやんねーし、墓も作らないし、とか
髪を引っ張りながら言っちゃうエドワルド。シエラはそれがエドワルドなりに、
「死後こんなひどい目にあわせるぞ! だから死なないで!」
泣き言を言ってる、と見破るのが良いですね。主従の絆を感じました。

シエラにとっての祝福の天使である、悪魔ミハエルの気配を感じながら
大成するために生きるエンディング。
シエラはもう迎えを待つことにこだわらなくなるだろうと思えて、
希望がいっぱいで個人的にとても好きなエンドです。


続いて、ミハエルDEADEND。同じくエドワルドが工作に失敗して
後継争いに敗れて処刑され、シエラはエドワルドの後を追います。

ここで、ついにミハエルが迎えに来ます。
シエラにとって、捨てられた自分を誰かが迎えに来てくれるのは
ずっとずっとずっとずっと、心の奥底で願っていたことでした。
これまで、捨てられた恐怖と向き合うことができなかったシエラ。
でもこのエンディングでようやく、待ち望んでいた「迎え」が来ます。
シエラはここで、悪魔であるミハエルによって魂の救いを得るのです。
ミハエルと穏やかに地獄に下るシーンは感慨深いものがありました。

でもなにより、ここで、エドワルドさんがね!!
エドワルドが同じ地獄に落ちると知り、エドワルド自身も覚悟して
それを望んでいたにも関わらず、シエラは最初で最期の裏切りをします……、
すなわち、エドワルドの魂を救うのです。
ミハエルに「エドワルドなんて嫌いだから同じ地獄にいたくない」と嘘を吐いて。
ミハエルは地獄行きだったエドワルドの魂を天国行きの魂に混ぜてしまうのですね。

エドワルドの魂を思いがけずここでシエラが救ってあげるのに
ぐっと来ました……(´;ω;`)ブワッ
完全にエドワルドさん空気だと思ってた……
生きている間、ずっとシエラの行く道を照らす灯りであったエドワルド。
エドワルドはシエラを迎えに来てくれる人ではなかったけど、居場所を提供して、
生きる意味と存在する価値という名の救いを与え続けていました。
シエラの忠誠心がぶれず、最期に恩返しをするのが良かったです。

エドワルドは思いがけず天国行きになってしまい、
シエラはミハエルと手を取り合って地獄に落ちるエンド。
非常に美しく終わったエンディングだと思いました。

DEADENDは分かりやすいハッピーエンドでしたけど、
ベストエンドも好きです。シエラにとってミハエルは天使そのものだと伺えるから。
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