大正×対称アリスepisode1 感想

  • 2015.03.10 Tuesday
  • 19:27
大正×対称アリスepisode1 通常版


全年齢乙女、夢見るおとぎ話アドベンチャー。
タイトルにある「大正」はまったく関係しないので、1巻の時点では忘れましょう。

主人公は有栖百合花、がっつり個性があります。いいですか、がっつり個性があります。
彼女は名実ともに「ヒロイン」なのですがいわゆる完璧超人主人公です。
料理上手で家事万能なお嬢さま、明るく積極的な攻め属性で、なかなかファンキーな少女。
彼女は自分の魅力を知っていて、頭の回転が速くてユーモアも愛嬌もあるかわいい子です。
察しも悪くありませんし、素直で見た目も愛らしい。
なにより特徴的なのは、「Perfect!」「That's right!」など、
口調にちょいちょい英語が混ざるところでしょうか。
攻め属性なので自分から愛情表現もしてくれるのがうれしいです。

そして、こちらは鏡の国の「お姫さま」である百合花ちゃんが
悩める「王子さま」を救う話です。


百合花ちゃんのいいところはカマトトぶったり難聴になったりせず、
好きだと思ったらぐいぐい押していく姿勢でしょう。かわいい。

背景もキレイで立ち絵も美しく、スチルも良いです。
音楽も豪華。特に「Let's pretend」がお気に入り。
デフォルト名だと攻略対象が名前を呼んでくれます。

攻略対象は堅物な赤ずきんと、尊大なシンデレラ。
このうちシンデレラルートで他の巻の攻略対象が出ますので
ある程度はそれぞれのキャラをつかむことができます。

シナリオはモチーフをうまく取り入れ、ひとひねりしながら
二転三転する展開が飽きさせません。
敢えて難を言えば、やや理屈っぽい。

本作では、プレイ前にネタバレは見ないことをオススメします。

以下、盛大なネタバレ感想。
有栖 百合花
『大正×対称アリス』応援中!

百合の花言葉は「純粋」「純潔」「威厳」の他に、
「あなたは私を偽れない」というものがあります。

鏡の国はすべてがあべこべになる世界。

百合花ちゃんは序章では「さ迷う記憶喪失のアリス」だったものが、
鏡の国に入ることで「すべてを知る者」になるのですね。

序章でわざわざ主人公=「あなた」とされているので、これは感情移入しろよ!という
お許しが出たかと思ったのですが、鏡の国に迷い込んだ百合花ちゃんが
攻略対象を選択した後から、彼女は生き生きと個性を発揮し始めます。

彼女が「鏡の国のお姫様」として、攻略対象を選んだその瞬間から、
主人公=「さ迷うアリス」「あなた」 ではなく、
主人公=「王子さまを救うお姫さま」「有栖百合花」になるのです。
名前が苗字になっているところが象徴的です。

だから舞台は日本のはずなのに街並みはどう見ても西洋、
日本に住みながらなぜか「ミスありす」などと西洋での女性への敬称で呼ばれ、
百合花ちゃんは会話でいきなり英語を使います。
加えてお金持ちのお嬢さまなのに家事は万能、漁師がなぜかエリート職。
それは、すべてがあべこべになるからです。鏡の国の世界の「日本」だからです。

この辺りはプレイして理解はできましたが、ちょっと説明が不親切かなと思いました。
序章で闇/夢の世界をさ迷っていた二人のアリスが鏡の国に迷い込むのは
分かりますが、鏡の国=あべこべになる をプレイヤーに
もっとはっきり提示したほうが良かったと思います。
鏡の国=あべこべって世界共通常識ってわけでもないと思いますし
プレイヤーが物語を理解しやすいかなと。
でもこのライターさんですから、意図的にそうされたのかもしれません。

ということで、我々プレイヤーはようやく主人公になれるかと思いきや
いきなりお株を奪われ、ヒロインのはずなのにヒーローとして
王子さまを救うお姫さまの役割を背負った有栖百合花ちゃんを導いていくわけです。



アリス
『大正×対称アリス』応援中!

忘れちゃいけないもう一人のアリス。彼は百合花ちゃんが鏡の役割を果たせないときに
代わりに鏡となる、まさに対の存在です。
恐らく彼が「大正」になんらかの関わりがあるものと推察されます。

ところで、気になったのは彼の「偏屈で皮肉屋」な表現。

まずいちいち台詞が長いので話がなかなか進まず、ちょっと退屈に感じました。
しかも細かいところに突っかかってくるだけでさして意味はないのでテンポが悪い。
また、このライターさんの持ち味でもある、ユーザーをおちょくる癖が
悪い方向に出たように感じられました。

やや唐突に吐かれた複数の暴言が、しかも物語上
その表現でなければならないわけでもなく、なんの意味も感じられず
とても残念でした。見てて和むわけでもなく、不快なだけです。
アリスの皮肉屋な表現は、他の言い方でもできたはず。
皮肉を言うキャラにしろ、購買層も考えるなら
ある程度の自制やコントロールをしてほしかったです。

ライターさんがすでにあらゆる意味でカタをつけているのか
自虐も込めたのか分かりませんが、自分がその問題を乗り越えたからといって
今現在、その問題の渦中にいて悩んでる人を嘲笑っていい免罪符にはなりません。

あと、世間的に見て「社会的に嘲笑っていい人」カテゴリにいる人たちを
本当になんの脈絡もなく安易にネタにして馬鹿にするところも、
アリスというキャラをライターさんの主張をするための駒にしているように見えて
アリスが可哀想に感じましたし、正直がっかりしました。
自分の常識を少し疑ってみたほうが良いと思います。
これはペルソナ4にも感じたことですが。

とかいってこれが後々重要な伏線になったらすごいな、と思います。
でも例えそうでも、やっぱり他の表現があったんじゃないだろうか。残念です。

とはいえ良いところもあります。特にシンデレラルートの終盤のやり取りは
その会話をそのままシンデレラの自問自答に置き換えることもできて
良かったですし、本当に相手が落ち込んでいるときはなにも言わない
アリスの思いやりや、シンデレラへの激励は素直に良かったです。

赤ずきん
『大正×対称アリス』応援中!

オリジナルの「赤ずきん」は表面的な部分しか見られない純粋で世間知らずな赤ずきんが
「本質」を見ることで隠されていた真実に気づく物語です。

その通り、罪悪感によって目を曇らせていた赤ずきんが状況を
正しく見つめ直すことで成長していくルートで、とても良かったです。

よく出来てるなと思ったのは、<ヒーロー>としての役割に自覚的な
百合花ちゃんの思惑を知らなくても、百合花ちゃんが赤ずきんに恋をして、
赤ずきんが百合花ちゃんに惹かれていく過程が丁寧に描かれているので
恋に落ちるというただ一点において感情移入ができるようになっていること。

百合花ちゃんが真実を知っていて動いていることをプレイヤーが知らなくても
ちゃんとお互いに惹かれていく展開を楽しめるのですね。

まさかの叙述トリックは楽しかったです。
百合花ちゃんが序盤からやけに余裕があることなど、
伏線は張り巡らせてありましたし、過剰ともいえる対応、
警察手帳を出さなかったことなど勘の良い人は気づけるようにはなっていました。

この作品では攻略対象がそれこそ鏡写しのように、
主人公である百合花ちゃんを通して自分自身を見るしかけになっています。
自分の姿を百合花に投影することで、客観的視点を得て、
実際に起こったショッキングな出来事を他人事のように見つめることで、
気づきを促しているのです。

「愛されたい」と願うことは、果たして罪深いのか、と。
仲良くなりたいと一生懸命になる百合花ちゃんを見て赤ずきんが受けた印象、
心に芽生えたもの、それこそが、
赤ずきんの周りにいた人たちの抱えていた気持ちであること。

「傷ひとつつくことがないよう、厳重な警護をするよう上からは言われています」
例えばこの台詞など、赤ずきんの自己防衛本能と取れます。
「類は友を呼ぶ」なんて言葉があるように、人は自分自身を映す「鏡」とも呼べます。

赤ずきんの過去は悲しくも、彼の心情が手に取るように分かってしまって切なかった。
喜んで欲しくておばあちゃんに花を贈り、喜んでもらえてはしゃぐ過去の赤ずきんと、
赤ずきんに喜んで欲しくてフライパンケーキを作ってはしゃぐありす。

自分の姿をまざまざと見せられ、赤ずきんは徐々に心動かされていく。

喜色満面で赤ずきんに話しかけただろうオオカミがスルーされたときの衝撃たるや
オオカミの心情を思うとそりゃ一生懸命にもなるだろうと思いました。

ところで、赤ずきんさんのときめきもへったくれもない動揺ぶりや
道端に捨てられたエロ本にときめく中学生さながらの反応は可愛かったです。
選択肢もなかなかかっ飛ばしてて楽しい。ラリアットとかチョップってなんだよ!

オオカミとの友情や、百合花のストレートな好意を受けてからかわれ、
さすがに鈍感な赤ずきんも好意に気づいてしどろもどろになるところなど
ニヤニヤが止まりません。まさにヒロイン。実にカワイイ。萌えます。
百合花ちゃんグッジョブ。攻めな女の子主人公いいですねいいですね。

赤ずきんの愛らしさが輝いていて、とても楽しいルートでした。


シンデレラ
『大正×対称アリス』応援中!

オリジナルの「シンデレラ」は奴隷さながらこき使われていたシンデレラ(灰かぶり)が
王子さまに見初められたことで、「自尊心」を取り戻す物語でした。

シンデレラのミソは美人大勝利、王子に見初められてやったぜ玉の輿!ではないのです。
不当な扱いを受けていたシンデレラが王子さまに好かれることによって、
自分の価値を知り、自信回復して人間としての尊厳と誇りを取り戻し、
自由を勝ち得る話なのです。

ところで、悪口=自己紹介の法則があります。
何故なら悪口を言うとその人の価値判断基準が明らかになってしまうから。
シンデレラの「貧乏人」「あいつらはオレの金だけが目当て」という言葉は
作中で示されていた通り、金銭問題で死にそうなぐらいの重圧にあえいでいた
シンデレラの心に秘めている苦しみの表れでもあります。

あまりのプレッシャーとストレス、さらにそれを隠し通して見栄を張るため
彼は異常なくらいの買い物をして気を紛らわせようとする。
借金は事業資金の借金で、もう個人の節約なんかではどうにもならない額なので
開き直って残された法外な利息の事業資金を使ってまた買い物をしてしまい
借金ばかりが増えていくという悪循環の中にいるわけです。

シンデレラが見栄を張るのは、本当の自分に価値がないと思っているからです。
本当の自分にはお金なんかなくて借金だらけで、夢も最初から諦めている。
自分の心を殺しながら生きているシンデレラのはけ口が買い物です。
本人が言っていたように、心の虚無を物で埋めようとする姿が痛々しかった。
しかも、本当は別に欲しいわけじゃないからまったく満たされない。
満たされないからまた空白を埋めようと物を買う。以下無限ループ。
お金=「魔法」というところが皮肉が利いていて良かったです。

シンデレラがいくら意地悪をしてもめげない、明るくてユーモアのある百合花ちゃんに
惚れていく展開は説得力がありました。
つーか百合花ちゃんが出来過ぎです。まさにパーフェクトな白馬の王子さまです。

シンデレラルートの肝はお互いに惹かれ合い、冗談のように幸福なひと時を過ごして
馬鹿みたいな夢を語り、いざ百合花ちゃんの実家に乗り込んで嘘みたいに
都合の良い援助の手が差し伸べられた瞬間に、シンデレラが本当の望みに
気づいて、百合花に別れを告げるところですね。すごい。とても良かったです。

百合花の実家におんぶにだっこでは、
シンデレラの失われた自尊心の回復にはなりません。
彼が何度も言っていたように、「自分が情けなくなる」からです。

いいんだぜ。百合花の実家のお金を利用して金も女も手に入れて
狡猾に立ちまわったっていいんだぜ、にんげんだもの。
どのみち有栖家だって弱みを握った便利な婿養子ゲットできるわけだし
うまく立ちまわっちゃえよ、と思ってしまったのですが、
それじゃシンデレラの本質的な立場はなにも変わっていないし、
シンデレラは百合花ちゃんを本気で愛してるのでそんなことはしません。

普通に考えて親父が高飛びした以上、返済能力のないシンデレラは
自己破産し債務整理して借金をなくしたものと思われます。
職人に弟子入りしてコツコツと努力する生真面目さが好きです。
ガラスの靴が二人の心を結ぶ演出も憎い。

ところで、終盤になって最初は魔法使いに願いをかけなかったら、
その魔法使いに「君は奇跡を信じていない」と言われたのが、
ぐさっと突き刺さりました。
まるでそれこそシンデレラへの言葉のようで胸が痛かったです。

シンデレラの誇りを尊重し、彼が胸を張れる形でやや強引にでも
ハッピーエンドにもっていった百合花ちゃんに拍手。

あと、序盤の「貧乏人」呼ばわりを百合花ちゃんが気にしなかったことに
感心したとかシンデレラが言ってましたが、それは百合花ちゃんが
金持ちだからこそ気にならなかっただけであって……
的外れな悪口言っても相手にダメージを与えられないのは当然なような。

だんだんシンデレラが百合花ちゃんに気を許すようになり、
やさしくなっていく過程にはニヤニヤしました。
かぐや相手の嫉妬もおいしい。


いろいろ言いましたが、とても楽しかったです。
続きが楽しみ。今回はシンデレラも赤ずきんも根は素直ですが
次はかぐやとグレーテルという、どちらも一癖ありそうな人たちなので
わくわくが今から止まりません。
コメント
このゲーム気になってました!
レビューを読んでいるととても面白そうですね(*´ω`*)
あと、主人公がとても可愛くて落ち着いてwプレイ出来そうです。
買ってみます♪
第一印象ではシンデレラが気になります!
シリーズ全部ではビジュアルは白雪君ですね(*´Д`)
楽しみです。
  • 流音
  • 2015/03/14 11:00 PM
面白かったですよー! ぜひぜひ!!
主人公を好きになれればとても楽しいゲームだと思います。
白雪くんのルート気になりますよね!!
シンデレラルート、楽しめるといですね!
  • 大樹@管理人
  • 2015/03/15 7:36 PM
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