遙かなる時空の中で6 ダリウス 感想

  • 2015.04.05 Sunday
  • 20:37
遙かなる時空の中で6


小姑のように物語を追っていたのですが破綻らしい破綻もなく、
物語の整合性が取れていて、ドラマティックでとてもおもしろかったです。
構成もよく練られていて、立ち絵もスチルも非常に美しく、音楽も良いですね。
なによりうれしいフルボイスです。

戦闘もボードゲームのようなカードゲームのようなものになっていましたが
なかなか骨があって私は好きです。
敵の強さ「弱い」でも油断して配置を間違えると終盤でも死んだりします。
影絵の背景なども雰囲気に合っていて美しい。
例え大人の事情で予算が足りないためであろうとも、
努力の跡が伺えて感慨深いものがあります。
フルボイスって本当に負担なんだなあ、と感じつつもこの方向性は
おおむね間違っていないものと思われます。

主人公の梓ちゃんも物語が進むにつれ成長が伺える可愛い子です。
序盤でも彼女は理に適った行動を取っているので
梓ちゃんにすごく同情しながら進められました。

以下ネタバレ感想。
ダリウス

「ほとんどの場合、人は好んで己が欲するものを信じる」
つまり「こうであってほしいと望んでいるものを信じる」とは
かの有名なユリウス・カエサルの言ですがまさにそんな感じのダリウスルートでした。

梓ちゃんが、うさんくささといかがわしさとを怪しさを練り込んで
ぬかみそに漬けてみましたと言わんばかりの不信感しかない雰囲気のダリウスに
ころっと騙されてしまったのも、彼女が権力とは無縁に生きてきたと考えると
致し方ないように思えます。さらに、彼女は病気の祖母を心配している。

ダリウスとのイベントはなにかと甘やかしてくれるし
冗談で求婚して真に受ける梓ちゃんとか、二人が可愛くて見ていて微笑ましかったです。
ネックレスを見せに来るイベントとか梓ちゃんがすごく可愛くてほのぼのしました。

客観的に見ていればダリウスのしたことは帝国軍から黒龍の神子を誘拐しているので
良く言ってレジスタンスですが見ているほうはヤバさしか感じません。
しかも最初から、「鬼がやっているのではないと証明したい」と言いながらも
具体的になにをどのように証明するつもりでいるのかは明かされないという
ちょっとも信じられる部分がないおまけ付き。

ルードくんの態度からして「分をわきまえろ」とか
恐らくひどい目に遭わされてきてさぞ人間を恨んでいるだろう、きつく当たるのは
忌み嫌われて傷つく前に自己防衛本能が働いているのだろうと思いこそすれ、
これから人間と仲良くするつもりがありそうなところがまったく見受けられず、
騙されていることは明白なのですが、こう思えるのはあくまで他人事だからです。
梓ちゃんの立場からしたら異世界で頼れる者のない状況で
訳も分からず黒龍の神子になり、情報も遮断され、ずっと監視されてるわけですから
優しくしてくれるダリウスを信じたいと思ってしまうのは無理もない。

ダリウスは梓ちゃんに大義名分を与え、帰るために怨霊を倒そうと持ちかける。
おまけに衣食住の面倒も見るわけですし、正確には隠し事をしていただけで
微妙に嘘ではないことと、黒龍の神子として怨霊退治はしっくりくるものだったから
梓ちゃんもダリウスを信じる理由はあります。また、帝都では実際に鬼が悪く言われている。

しかし愛宕山での件で梓ちゃんが流されてしまったことで結果的に利用されたと気付き
自主性をもち始める展開はとても説得力があって、梓ちゃんを素直に応援できました。

白龍の神子のもつ龍の宝玉を壊して白龍の神子の弱体化を図るのがダリウスの目的です。
いくら白龍の神子を手元に連れたところで、八葉が現れたらどうにもなりません。
だから龍の宝玉を壊すしかないわけですが、それが黒龍の神子である梓に
理解を得られるとは、ダリウスにはどうしても思えなかった。
純粋無垢で騙されやすい黒龍の神子を見ていると、
対である白龍の神子が帝国軍に抗えるとも信じられなかった。
頼み込んで梓に自主的に黒麒麟を出してもらうところまではうまくいっても
龍の宝玉を壊したらどのみち反発されるのが目に見えている。
あの時点ではすべてを打ち明けてどうにかできるとは信じられないくらい、
梓ちゃんも頼りない状態でもあります。
帝国軍主導で率先してアンチ鬼キャンペーンを展開している以上、
彼らに取れる手段はごく限られるのも理解できますし、
「鬼を忌み嫌う人間」ばかり見てきたからこそ、黒龍の神子である前に「人間」である
梓も鬼を忌み嫌うようになるのではないかという疑いを捨てきれないのも
心情としては理解できます。

そういうわけでダリウスは強硬手段に出るわけですが、その後は梓が恐怖にかられて
すれ違い、騙していたくせにいざ拒絶されたら傷ついてしまうダリウスも良い。

いや、だって意志を奪って操るって「ちょっと力を行使しただけで」じゃ済まされねーよ。
恐怖以外の何ものでもないだろ。

理性的に考えれば、愛宕山で梓ちゃんに必要だったのは大義名分、ただそれだけです。
なんの恨みもない軍人を傷つけるという罪悪感が募る行為を強いる以上、ダリウスには
「戦うのはダリウスのため」「正義のため」「虐げられている鬼のため」と
梓ちゃんになんらかの大義名分を与える義務があった。
例え梓ちゃんのほのかな恋心を利用してでも。
(それができないのがダリウスの良いところでもあるのですが)
だというのにだまし討ちのようなことしたら梓ちゃんだってそりゃ怒るわ。
本気で誤解を払拭するつもりがあったなら、
「黒龍の神子」からの自主的な協力と広告塔になってもらってからの
民衆への大々的な宣伝は必要不可欠だったと思いますが、彼らには
純粋な梓ちゃん一人を説得することすらできていない(試してもいない)ので望めません。
だまし討ちをしてから説明をするって、人はそれを説得ではなく言い訳といいます。
やる気あんのかと問いたい。
一度傷つけたらその後、相手が身を守ろうとして警戒するのは当然なのに
「真意を察しろ」「にこにこして話を聞け」っていうのは一方的すぎるかと……。
信頼への裏切りは、「機嫌が悪い」とかいう軽い問題ではありません。
そう思ったからこそコハクどころかなんのかんのと屁理屈をつけてまで
虎も協力してくれたのだろうと思いますし。虎は良い奴ですね。
「今になって閉じ込めるなら最初から従わせるべきだった」と
言ってることもしごくまっとうです。まったくその通り。
今のところ最も好印象で共感できるのはコハク、虎と次点で村雨さんです。

そこからのシュークリームイベントはゾクゾクしましたね。大好きですこのイベント。
いやいやいやいや。お前、お前さ、神子からの信頼をがなぐり捨てたのは
間違いなくダリウスなのに、そこまでして理想を実現しようと思ったのに
いざ拒絶されてみたらぜんぜん覚悟決まってないでやんの。
自分が裏切って傷つけるのはいいけど裏切られて傷付けられるのはイヤってか。甘えんな。
……ということを、ダリウスもわかってるんですよね。だから素直に怒れなくて
シュークリームというネジ曲がった形で感情を発露させるのが素晴らしい。
そんな悪人を演じきれない甘っちょろいダリウスさんが愛おしくもあるのですが。

お祭りで再会したときの、完全に拗ねてるダリウスとかも見られてニヤニヤ。
離れた時間がますます恋を育て、お互いの存在の大きさが身にしみる展開がおいしい。
ルードとコハクをお祭りに連れて行ってあげたりとか、
ダリウスの優しさが伺えたのもとても良かったです。
惹かれながらも拒絶によってまた傷つくのが怖くてイライラしてしまうダリウスも
そんなダリウスにぶつかっていく梓ちゃんの「仲直り」の湖イベントも実に可愛い。
ダリウスさんが陥落する音が聴こえてくるようでした。梓ちゃんすごく可愛い。心が広い。
梓ちゃんが帝国軍へ実際に行って、きちんと自分なりに考えて判断を下すのも
見ていて気持ちが良かった。

エンディングは梓ちゃんの男前ぶりになんの違和感も覚えなくなっていて
ダリウスさんはヒロインということで温かな気持ちで終わりました。

あとこのルートは終盤のルードもいい味出してます。
エンディングでは花嫁衣装を作るという希望に満ちた作業に打ち込むことで
ダリウスの目覚めを待つ間も二人の結婚式を心のよりどころにしていたんだろう。
しかし、ダリウスと梓が寄り添っているのを見て真っ先に考えることが
「花嫁衣装を縫わなくては」なあたりルードは心底世話好きなんだろうな……
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