遙かなる時空の中で6 片霧秋兵 里谷村雨 感想

  • 2015.04.16 Thursday
  • 21:04
遙かなる時空の中で6


片霧秋兵、里谷村雨の感想です。

無事に大団円エンドまで見れてすっきりしました。

好きな話はルード、虎、秋兵さんです。
キャラとして好きなのはコハク、九段、虎、秋兵さんかなあ。自分でも意外な結果でした。

ただ、秀作であることは間違いないですが、名作になりきれなかったのは
どこかで見たような展開や設定が散見されたからでもあると思います。
今後はこの堅実さに、独創性を加えられたらより良いですね。
次回作に期待がもてる内容でしたので、遥かシリーズの今後が楽しみです。

以下ネタバレ感想。
片霧秋兵
彼は最初から最後まで「紳士」をやりきってくれて、感動しました。
有馬語翻訳とか、なにげにモノマネも多くて、秋兵さんはなかなか愉快な人ですね。
彼はどんな状況であれ、毎日を楽しもうとする建設的な人なんだろう。
話としても、とても好きなルートです。

最初の段階で「ロミオとジュリエット」を模した台詞を言い出したときは
呆れたりときめいたりするよりも先に、「この人、大丈夫かな……」
すごく不安な気持ちになりました。
頭が大丈夫かな、という意味ではありません。

というのも、緊張をほぐすためとはいえ、ほぼ初対面で
相手が知っているかどうかも分からないシェイクスピアのロミオの台詞を演じるって
かなり難易度が高いと思うのです。
恐らく有馬さんなら、子どもかなんかを人質に取られた状態で
ほぼ初対面の女子を相手にロミオの台詞を情感たっぷりに言うか
三回まわってワンと言うか選べと言われたら、苦悶の表情で悩んだ挙句
断腸の思いで三回まわってワンと言うような、それぐらいの難易度なんですよ。
伝わってるでしょうかこの感じ。

で、それほどの難易度なのに秋兵さんは、誘拐されて敵方にいた挙句に
謝らせられた肩身の狭い梓ちゃんの心をほぐすために道化を演じてくれるんですよ。

そもそも黒龍の神子が誘拐されるに至ったのは
まぎれもなく警備を担当していた帝国軍の失態なのに
誰も責任取ってないのもアレなんですが……。
助けられなくてごめんねぐらい言えないもんかね。

それはともかく、とにかく秋兵さんはそんな台詞を言う自分に、決して酔っていません。
自分ではないなにかになれるから心底楽しいのだとは思います。
でも、相手への気遣いとやさしさを忘れないぐらいの冷静さもある。
つまり、それを臆面もなく言えてしまうということは、
それだけ秋兵さんは「片霧秋兵」をやるのが嫌なのではないかとも思えてしまって、
そういう意味で「大丈夫かな……」と思いました。
余談ですがこのシーン、プレイヤーはさることながら梓ちゃんまで
反応が「お、おう……」って感じで笑った。

あの芝居がかった調子も、要するに秋兵さんは本当の自分を表現するのが嫌だから、
本当の自分をさらしながら生きるよりはほかの何者かを演じ続けるほうが
楽で、おまけに楽しいし、つまり彼にとって都合がいいからやっているのだと感じました。
自己否定とは少し違います。
彼は柔軟性の高い人ですし、そこまで子どもではありません。

でも、人は相手に、自分に都合の良い幻想を見る生き物です。
父親に意志を無視され続けてきた秋兵さんだからこそ、
片霧秋兵の意志など誰も望んでいないものだと考えてしまったのではないかと……
自分が我慢すればすべて丸く収まる、という気持ちによるのではないかと思いました。
つまり彼の振る舞いは、
「そんなに幻想を見たいなら演じてやるから好きなだけ見れば良い」
というところから始まったのではないかと思えてしまって、
しかもやるからにはそれをポジティブにやろうとしてるようにも見えて、
そうだとしたら、とても切ない。

秋兵さんは自分の立場を完璧に理解している。受け入れるしかないとも分かっている。
だけど、それでも、分かっていてもやりきれない。
そういう抑圧と苦しみを感じたからこそ心配になってしまった。

だからこそ、秋兵さんはどう思っているのか知りたがり、
辛い時にも相手を気遣って茶化そうとすれば「心配させてください」という
梓ちゃんに秋兵さんが惹かれるのもすごく納得がいきます。

それでも、彼は花火大会を楽しみにしてみたり夜の動物園に行ってみたり、
なかなか可愛い人ですよね。
しかも、本編の様子だと数日前から ((o(´∀`)o))ワクワク してたじゃないですか?
あのわくわく感はとても演技だとは思えないので、なんというか、
抑圧されてても根が明るいからウジウジ感が出ないのかもしれません。

秋兵さんは一貫して、自分よりも他人の希望に応えることを
可能な限り優先して生きている人です。
その生き方を、完全に受け入れています。誰のせいにもしていません。
自分の中で折り合いをつけながらも、好きでやっている。
だから父親の期待に応えて軍人になってもそれはそれで受け入れてうまくやってる。
恐らくは音楽の夢を諦めて軍人になったのだろうに、それをおくびにも出さない。
父に道具のように扱われても、「またか」といううんざりした諦観だけで
愚痴を言っても、基本的には受け入れる態勢なのですよね。
意に沿わぬ結婚コースまっしぐらです。

そんな諦めモードだった秋兵さんを、梓ちゃんが心から想いやり、心配したことで
秋兵さんが心癒されていく過程がとても丁寧で良かったです。
秋兵さんはやさしいですがその反面で拒絶にも慣れている人です。
だからいつもちゃんと「なんてね」と逃げ道を残してくれています。
そんな秋兵さんの優しさをまっすぐに受け止める梓ちゃんがとても可愛い。

秋兵さんのいいところは、梓ちゃんから勇気や希望をもらったら、
後は自分でちゃんと考えて行動できるところです。
「黒龍の神子と付き合うな」という父に「梓くんがいいんです」と言い返してくれますし、
穏やかに自分の意志を主張して向き合おうとしてくれます。
しかも、かなり傷ついただろうに同じように道具扱いされた梓ちゃんを気遣って
ダンスに誘うという……このやさしさ、とても好きです。
あとその部分をちゃんと汲み取ってくれる梓ちゃんも良い子や……

しかし、彼ぐらい女性のあしらいに慣れている男ならば手を出したら
めんどくさそうな女を勘違いさせないように気遣ってたりするんでしょうね……。
淑女からの露骨なアプローチを「これはこれは」だけで
さらっと流す男ですからね。
秋兵さんなら例え見合い結婚に至っても、それはそれで相手を
好きになる努力をするか、好きになれなくても愛する振りくらいはするんじゃないかな。

ちゃんと秋兵ルートの途中で梓ちゃんが「疲れませんか?」と言ってくれるので
そうそう!!!それだよ!!!それ!!と深く頷いてしまった。
梓ちゃんすごくかわいい。

あと、彼はずるい人ですね。でも、私は秋兵さんのこのずるさや打算が好きだな。
自分の立場をフル活用して調査したり、もみ消されると見越した上で
動いたりという部分はもちろん、いつか梓ちゃんが元の世界に
帰らなければいけないと分かっていて、それでも縋ってしまうのが……。
あれだけ自分を殺して生きてきたのに、告白するとなると
自分の想いを抑えきれずに優先するところがぐっと来ました。
しかも秋兵さんはちゃんと残酷なことだと分かってて、梓ちゃんに
家族を捨てる覚悟がなかったと悟るや否や、即座に身を引いています。
あの一連のストレートな告白シーン、とても好きです。
本格的に口説きにかかって勝負に出るところがいい。
秋兵さんのずるさと、弱さと、抑えられぬ恋心が感じられてときめきました。

最終決戦での別れの言葉も、お前もう用意してあっただろそのセリフ、というぐらい
そつがないもので、それがまた秋兵さんのやさしさを感じさせてとても良い。
あんなに一人になることを恐れていたのに「僕はもう大丈夫です」なんて
秋兵さんにとって一世一代の嘘を吐くシーンとても好きです。
しかし「色彩」がキーワードになっているということは、梓ちゃんに出逢う前の
秋兵さんはやはり、世界が灰色に見えていたんだなと……
虚無感でいっぱいだったのにそれを隠してたんだなと思うともう…………
エンディングでは幸せそうでなによりでした。


里屋村雨
秋兵さんもびっくりのキングオブずるい男。
ヤバイと思うならきっぱり振ればいいのにそれもできない御年35歳。

しかし年の差すごいですね。35歳か……そうか……35歳と16歳かぁ……へえ……
10歳差もアレではありますが、さすがに19歳差は犯罪の匂いが……
いや、全然気にしてないですよ……うん、自由恋愛だし……そう、全然気にしてない……
梓ちゃんのパパとか40代前半とかじゃないのかな、なんて思ってません……
さすがに村雨さんもヤバイと思ったのか、かたくなに線を引こうとしてて
梓ちゃんがぐいぐいいってたのが印象的でした。

最初から優しい人だと思ってたんですが、彼は優しさだけでなく
梓ちゃんがただの女の子であるところを実際に見ていた人なのですね。
村雨さんはスタッフに愛されたのか、なんかいろいろ優遇されていました。

しかし、いっそ秋兵さんみたいに気障をやるならやりきってくれりゃいいのに
中途半端に恥ずかしがるもんだからこちらまでいたたまれなくなります。
恥ずかしがらずに!!!胸を張れよ!!!!!!!!!!!!!
ときめくからさあ!!!!!!!!!!!!!!!!!
金魚の風鈴とか、なかなか口説くには効果的だと思うよ村雨さん!!!
村雨さんも秋兵さんに負けず劣らずのロマンチストですね。

梓ちゃんが村雨さんに懐くのもよく分かるし、おいしいイベントが多かったです。
村雨さんの影響をモロに受けて社会派になっちゃう梓ちゃんも微笑ましい。
特にあの、ドレス姿の梓ちゃんにストールをかけてくれるスチルが好きです。
村雨さんが梓ちゃんとかたくなに眼を合わせようとしないやつ、
村雨さんの心中での動揺と恋心が伺えて思わずニヤニヤ。

クライマックスでは胸熱なシーンが続きました。
村雨さんの演説では声優さんの熱のこもった演技もあって心を打たれた。
主張がシンプルかつ分かりやすいのもいいですね。
一貫して神子を普通の女の子として見ていた村雨さんならでは。
だからこそ、民衆が動いたのにも説得力があります。
彼の主張に諸手を上げて賛同できるか微妙だったので
正直ちょっと心配していたのですがちゃんとネオロマだった。
あと、梓ちゃんを最初に発見したのが協力した一般市民だったところもとても良い。
あの流れからのスチルもお気に入り。

エンディングでは小説で告白とか、ホント彼は
自分が気障だという自覚をもったほうがいいです。
それでクールぶられると逆に恥ずかしいです。
あと「おてつき」発言にザワッてした他の八葉が面白かった。
帰還するのかと思ったらそうじゃなかったので、彼は、
時空移動によって生まれ変わったも同然なのだろうな。
しかし最後の選択肢で帰ると「応援してるよ」とか言って
そのままエンディングなあたり、村雨さんほんとにずるいよなぁ。
この期に及んで梓ちゃんに言わせようとするあたりがもう……。
でもそんなずるさも含めて魅力的なキャラでした。
コメント
コメントする








    

calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< July 2019 >>

応援中

乙女ゲーム「白魔女と運命の恋」 乙女ゲーム「白魔女と運命の恋」

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM