絶対階級学園 七瀬十矢 感想

  • 2015.06.12 Friday
  • 04:56
絶対階級学園~Eden with roses and phantasm~


七瀬十矢の薔薇&石ころルート感想です。
心理描写がなかなか巧みで、引きこまれました。
リアルすぎてメンタルが弱い人はかなりきついかもしれません。

この作品の良いところは、間違いなく権力欲に溺れる薔薇ルートがあることです。
差別を描く上で、毒々しく輝く薔薇ルートがあるからこそ
石ころルートが存在感を放ち、人の心に深く迫る良い作品になったと思います。

以下ネタバレ感想。
藤枝 ネリ
絶対階級学園
純粋でまっすぐだからこそ、良くも悪くも染め上げられやすい女の子です。
選択肢によっては彼女の脆さが浮き彫りになってしまい薔薇ルートへ、
「階級制度はおかしい」という感覚をもち、自分の価値観を信じることで
石ころルートへ行きます。
薔薇ルートだと買い物しまくりで必要もない荷物がたくさんあるのに、
石ころルートでは簡素な荷物と、途中まで性格は同じようでいて対照的です。
また、薔薇ルートのネリちゃんはお父さんの存在を完全に忘れているのも印象的。

薔薇に憧れ、贅沢やキラキラした物に憧れるネリちゃんの気持ちも分かるな。
だって年頃の女の子ですからね。極めて普通だと思います。
カワイイバッグを持ちたい、おしゃれしたいって気持ちは悪いことじゃない。
15万のバッグを自分で稼いだお金で、あるいは恋人や伴侶に買ってもらうなどして
手に入れるのだって絶対に悪いことじゃないです。
むろん、本当は別に欲しくないのに見栄のために、
あるいは身の丈を超えて無理をして買うなら健全じゃないですが、
その15万のバッグで人生が輝くなら、胸を張って買えばいいじゃんって思いますよ。
大体、15万のバッグなら材質も形も縫製もいいから一生使えますし。
自分はバッグに興味がさほどないほうですが、例えば15万の価値がある
欲しくて欲しくてたまらない稀覯書(きこうしょ)なんかが
目の前にあったら正直、我慢できるかどうか分からないです。

まあ、だからといって自分がネリちゃんの立場だったら
15万のバッグは買わなかっただろうと思いますが、
(再会したお父さんになにを言われるかわからんという保身のため)、
ネリちゃんは15万のバッグが欲しいんじゃなくて、
萌花とお揃いでバッグを持ちたかったんですよ。
つまり、「良家のご子息ご令嬢」の仲間入りをしたかった。
それと同時に、下層地区出身であることで気後れしてしまい、
自信を失ってしまうのも、協調性があってやさしい女の子なら
ありえる未来だと思いました。

人間が嫉妬心や劣等感を煽られるのは、別世界に住んでいる
セレブリティやアイドルに対してじゃない。
すぐ隣にいる人が、自分よりちょっと良い物をもっている。
自分とほぼ変わりない立場や実力であるように見えるのに。
そういうときにこそ、嫉妬心は苛烈に燃え上がるのです。


七瀬 十矢
絶対階級学園

抜群の安定感をもつ十矢くん。
ネリちゃんにかなり近い価値観をもっていて安心感があります。
そんな十矢くんルートに「許し」というテーマをぶっこんできた
制作陣の真摯さに好感をもちました。
恐らく差別について、かなり真剣に考えたものと思われます。
相手の受け入れられない部分を認め、許す気持ちこそが、差別から遠ざかる一歩です。

しかし、いきがってても所詮はお坊ちゃんだなあと思ってしまったのが
序盤で皆に手を上げるように促す場面で、女王のベールを剥がなかったことですね。
私が十矢くんぐらい強かったなら真っ先に女王のベールを剥ぎに行きます。
それこそが女王の神性を保っているからです。
なのに、周囲に薔薇の人がおらず、無防備に女王が立っていて
全校生徒の注目が集まる格好の状況を前にして、
女王に危害を加えないあたりが、坊っちゃんだよなと思ってしまった。
恐らく女に手を出すのはどうこうとか言い出すのでしょうが、
革命を起こしたいなら一番上を引きずり下ろす以外に道はありません。
女王への畏怖で成り立つ階級制度だからこそ、
女王がそのへんにいる女の子に過ぎないこと、人間であることを
証明するために、仮にもレジスタンスを名乗るなら
力づくで抑えこむなり恥をかかせるなりするべきだと思いました。
あと、レジスタンスの面々で壁に向かわないのも、
無意識のうちに学園の洗脳に染まっていると感じます。
まあ、石ころに落とされたからといって死ぬわけじゃないですからね。
十矢くんは生徒たちが自主性をもって立ち上がることを望んでるんだろうけど
それこそ理想論です。


石ころルート

十矢くんがこの異常な状況下で自己を保ち続けられたのは、
揺らがぬ意志があってこそです。
しかしそれゆえに、彼は柔軟性がなく、裏切りを決して許しません。
十矢くんの気持ちは分かります。何故なら裏切りは癖になるからです。
一度でも裏切りの味を知った人はもう一度裏切る。
ただ、裏切り者を許したからといって、なにも慣れ合う必要はないわけです。
「許してやる。だから失せろ、二度と顔を見せるな」で済むのに
それができないのは、十矢くんに傷つけられた恨みがあったからでしょう。
だからネリちゃんに許すよう促されて、カッとなってしまう。

石ころルートでは十矢くんと順調に愛を育みながらも、
十矢くんが人の弱さを認めることを学ぶルートでした。
しかし、石ころでも薔薇でも言葉より先に手が出る男なのですね……。

十矢くんと価値観が合っているうちはいいけど、自分の考え以外は認めない
頑なさが、一緒にいてちょっと窮屈だなーとも思ってしまいました。
なんかすごい亭主関白になる予感がします。
彼には流され系の、従順で大人しい女の子とかが合いそうですね。

あと、十矢くんルートではいつも隣に十矢くんとハルくんが
座ってくれてものすごい心強かったです。
しかし、なんだかんだ親友の彼女のお守りを引き受けたり、
親友を心配したりするハルくんに癒やされた。良い奴すぎる。


薔薇ルート

さて、階級制度なんか気にしないと言いながらも、
いざネリちゃんが薔薇になってしまったことで
十矢くんの負の側面が見えてきます。

裏切りを絶対に許せない十矢くんだからこそ、
薔薇になった主人公との別れは完全なる決別を意味します。
だから彼は悩み苦しむ。
薔薇ルートでは十矢くんに中途半端な希望をもたせると
十矢くんはそれにすがり、薔薇っぽさを見せるとバッドエンドへ。

階級制度に染まっていないネリちゃんに惹かれたはずなのに
十矢くんはぐずぐずといつまでも残る過去の幻影を追いかけてしまう。
ネリちゃんが変わったことをなかなか受け入れられません。
もう彼が好きになったネリちゃんはいないのだと信じようとしない。

対するネリちゃんも、薔薇になったことで十矢くんとは
決定的に相容れない立場になったのに、なんと自分との恋愛のために
十矢くんに信念を捨てるように言うんですよね。
ノーブルボールでは、迎えに来た十矢くんに対して
「無理やり連れ去られたって言うから大丈夫だよ」と言う始末。
もうネリちゃんにとって一番大切なのは自分で、
十矢くんの名誉も意志もなにもかもどうでもいいのです。
そもそも、一体十矢くんのどこを好きになったのか。
十矢くんはそこまでされながらも見ないふりをします。
ネリちゃんの根っこは変わらないままだと信じて。

お互いに相手の姿から目をそらして自分に酔いしれる、
欲に溺れた浅ましさをまっすぐに描き切ったルートでした。
恋とは相手の幻影に想いを募らせるもの、
そんな皮肉めいたエンディングで良かったです。

バッドエンドではギリギリ目が覚める十矢くんですが、
そんな十矢くんの気を引くためにさらに薔薇として
本領を発揮するネリちゃん。
階級制度から皆を解き放つためのレジスタンスが
新たな薔薇の養分となる、この大いなる矛盾と罪深さに
まったく気づかず、目に見える正義だけを追いかける十矢くん。
なんとも意地悪で、味わい深いルートでした。
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