絶対階級学園 加地壱波 感想

  • 2015.06.13 Saturday
  • 00:06
絶対階級学園~Eden with roses and phantasm~


加地壱波の薔薇&石ころルート感想です。

ところで、私の大本命は最初からずっと五十嵐ハルさんなのですが
五十嵐さんの薔薇ルートを見るのが本当に恐い。できれば見たくない。
これ以上ハルくんにひどいことをしたくない(真顔)。
まだなにもやってないのに既に状態異常:毒です。
薔薇の人たちを攻略する間に覚悟を決めなくては……。

壱波さんにあまり興味がなかったから良かったようなものの、
これ、壱波さんが本命の人は心が保つのだろうか……。
生きろ、そなたは美しい……

しかしこのロックな姿勢こそが、この作品の魅力でもあります。
ユーザーに媚びず、敢えてこうした強烈なシナリオを
展開してきたことに、制作陣の情熱を見る思いです。

以下ネタバレ感想。
加地 壱波
絶対階級学園

彼は恐ろしく、普通の子ですね……。
石を投げたら当たるような、そのへんに転がってる、普通の子です。
お前、一体なにを間違って乙女ゲーの攻略対象になっちまったんだよと
ぽんと肩の一つでも叩きたくなるもの。
彼のもつ醜悪な弱さを、恐らく壱波くん自身も気づいてなかったし
可能であれば生涯、気づきたくもなかったんじゃないかなあ……。
しかしネリちゃんのもつ光がまばゆいほどに壱波くんの影が浮き上がるわけで……。
まるで誘蛾灯に引き寄せられる蛾のような、灯りに照らされて
己の弱さが浮き彫りになる、そんな薔薇/石ころルートでした。


石ころルート

ところで、ルート中に出てくる「ハムレット」は復讐譚です。
デンマークの王子ハムレットは、亡霊により父王の殺害犯が
父の弟にして現王である叔父と知り、父の復讐を誓う。
そのために狂った振りをして、恋人オフィーリアにもさんざん冷たくした挙句
復讐する相手である現王と間違えてオフィーリアの父を刺殺。
オフィーリアはあまりのことに悲嘆して狂い、ついに溺死してしまい、
ハムレットはなんやかんやあって復讐を果たすものの
陰謀によりハムレット自身も毒が塗られた剣を受けて死んでしまう話です。

To be or not to be, that is the question.
有名な日本語訳だと「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」ですが……
先入観を捨てて英語だけを見ると、
「在るべきか、在らぬべきか、それが問題だ」ともいえます。

さて、壱波くんはそんなハムレットさながら、
ミツバチとしても在れず、十矢くんのように階級を気にせずに生きることもできず、
だけど石ころ階級のネリちゃんを切り捨てられずと自分の在り方に悩みまくります。
やがて問題が発生し、実際には起こってもいない絶望的な未来に怯え、当たり散らし、
そのせいで状況はさらに悪くなっていきます。主に壱波くんの弱さのせいで。
もうそこまでいったらいっそ腹をくくったほうが楽になれる気もしますが
壱波くんはぜんぜん腹をくくれない。
恐いけど覚悟も決まらず右往左往するばかり。
そのせいでネリちゃんも演劇の主役も、すべてを失いかけます。

しかし、ネリちゃんがここまでして彼にこだわるのは、
壱波くんと過ごして笑いあった時間や、家族について共感し合ったことが
ネリちゃんにとってよほど大きな癒やしだった、と解釈しました。
まあ、やさしさレベルだったらルートに入ってない十矢くんだって
充分にやさしいですけどね……。落ち込んでたらケーキ奢ってくれたりしてさぁ……
ハルくんだって新聞に関して忠告してくれるし……
でも、結局は自分が辛い時にそばにいてくれて、助けてくれた人がすべてですよね。

ダンスの練習、ポーチ探し、十矢くんを庇って窮地に陥ったときに危険を犯して助けたこと。
そして、他愛もない会話で笑いあったミツバチでの日々。

ネリちゃんはそうした壱波くんのやさしさを受けたことから、
「彼を信じたい」と言って壱波くんに関わり続ける。
罪を憎んで人を憎まず。
離れていったのは階級制度のせいで壱波くんが悪いわけじゃないと自身に言い聞かせて。
十矢くんルートでネリちゃんが人を許すように進言しただけあって
このルートで実際に、自分がひどい目にあっても、
人としての弱さを許して包み込んだおかげで、
壱波くんは強くなれました、めでたしめでたし、ということだと思います。
いくら壱波くんが女の子と遊び歩いてひどい扱いをしようが、
恋を知らないネリちゃんにとっては想像もできない痛みだろうしぶっちゃけ他人事ですしね。
一応、壱波くんは自主的にその分の落とし前をつけるのですが。

しかし、もうアレなんでしょうか。
実のところ、意地もあるんじゃないですかね。
ミツバチ階級のときの思い出が嘘ではなかったと、絆があったと証明しようとして。
階級制度に唯々諾々と従いたくないという反発心に後押しされている。
壱波くんとの友情を継続することが、ネリちゃんにとって、階級制度への反逆である。
だけどネリちゃんは今後、苦労しそうだなぁと思ってしまいました。
なにせ壱波くんはキャパを超えたら当たり散らして責任転嫁する男ですから。
人間は追い詰められたときにこそ本性が出てしまうのです……。
しかし、そうした壱波くんを許すことこそが大事だというルートで、
この作品には必要でもあったと思います。

ダンスのレッスンで壱波くんは、「自分はうまい」と思い込むといい、と助言します。
それは壱波くんの小心を表しているようで、つまり彼は普段から
階級制度や他人の目にビクビク怯えながらも
「自分はモテる」「自分は演技がうまい」と言い聞かせながら
生きてきたんでしょうね……。

あと、ブラックレイ様がだんだんクセになってきたのでレイ様ルートは楽しみ。
私はホワイトレイ様より断然ブラックレイ様のほうが好みです。
喋り方も好きでボイコレ済み。


薔薇ルート

途中まではこれ、本当にハッピーエンドじゃないかというぐらい良い感じに進んでました。
私はてっきり、ネリちゃんは高潔であること、誇りというものについて
皆に説教するぐらいしてくれるんだと思ってました。
薔薇としての誇りとはなにか。
真の意味での自尊心と威厳を見せてくれると信じてました。

しかし、「壱波くんを守る」なんて
大見得を切っておいてネリちゃん、ノーブルボールでは
赤薔薇さまにき然と言い返すこともできなくなっています。
初対面ではちゃんと言えたのにね。
恐らく壱波くんは、ネリちゃんがとっさに壱波くんと保身を天秤にかけて
保身を選んでしまったことに気づいたのでしょうね。
だって彼は保身の人ですから。
誰よりもその気持ちがわかるから、壱波くんはネリちゃんを責めはしなかった。
しかし、許したわけではなかった。
信念もないのに同じ状況で二度の屈辱を受け、心折れずにいるのは難しいことです。
しかも壱波くんは嫌だと言ったのに自分の都合のために、
ネリちゃんはノーブルボールに壱波くんを連れて行った。
壱波くんの心が信じたい気持ちと疑念に揺れているときに、
ネリちゃんは言ってはならないことを言ってしまい、
決定的に壱波くんの心が冷めてしまいます。

「そっか。家族よりも、オレなんかのほうが好きなんだ」

ここからが秀逸でした。
なぜ壱波くんの気持ちが突然離れてしまったのかわからないネリちゃん。
彼女は壱波くんを引き留めるために権力に溺れ、薔薇として毒々しく咲いていく。
ネリちゃんのエドワード先生への問いは、
「薔薇の権力で好きな人を縛り付けてしまいそう」
「恋の病は、どうしたら治るんですか?」
でした。
エドワード先生は、荒療治としてネリちゃんを石ころ階級に落とす
アドバイスをします。権力をもった状態で自己を制御するには、
揺るぎない信念と意志、理性の力が必要と知っているからです。
恋愛感情ですら制御できていないネリちゃんが、薔薇のままでは
権力を行使することを我慢できないと見透かされたのでしょう。
だから、支配される痛みを知ることを促す。
薔薇としてその提案を拒絶した薔薇ハッピーエンドは、
冷め切った壱波くんの顔と、恋に夢中なネリちゃんの表情の対比が
なんともグロテスクでゾクゾクしました。
まあしかし、壱波くんは報いを受けたとも言えますね。
さんざん中途半端な気持ちで、女の子をもてあそんできたわけですから。
例え相手の女の子もまた、壱波くんの内面を見てなかったとしても、
そんなのお互いさまじゃないですか。
どっちも良い想いしたんだから、振り方にだって作法があると思いますよ。
逆らえない女から縛り付けられて、うんざりしたため息を吐く壱波くん。
独占欲のまま暴走し、薔薇としての権力で愛を強要して、
壱波くんはミツバチとして仕方なく愛を演じる。
なんとも寒々しい雰囲気のラストに堂々と「薔薇ハッピーエンド」と
付けてしまうセンス、素晴らしいですね。
どれだけ権力を振るっても、相手の意志を無視していては、決して心は手に入らない。
その事実に気づかないネリちゃんが哀れで、滑稽で、ぐっと心に迫りました。
バッドエンドの無理心中エンドも良いですね。
いかにもありそうな陳腐な恋の終焉が、薔薇ルートにふさわしい。
コメント
コメントする








    

calendar

S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>

応援中

乙女ゲーム「白魔女と運命の恋」 乙女ゲーム「白魔女と運命の恋」

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM