絶対階級学園 五十嵐ハル 感想

  • 2015.06.19 Friday
  • 01:19
絶対階級学園~Eden with roses and phantasm~


五十嵐ハルの薔薇&石ころルート感想です。

加地壱波ルートのネタバレもありますのでご注意ください。

これからプレイする方は、結構心を抉るバッドエンドも多いので
耐性がない場合、無理せずイージーモードで石ころハッピーエンド、
真相ハッピーエンドだけ見るのもアリだとは思います。

ただ、薔薇ルートは石ころルートの対になってる構成なので
一見の価値はあります。
キャラに入れ込むほどに辛い内容になっていますので
覚悟を決めて臨めば……その後に石ころルートで
心をなぐさめたほうがよさそうです。
ゲームの遊び方は人それぞれですから、
過酷な展開が苦手であれば石ころハッピーエンドだけで
済ませても良いと思いますし、辛いのはイヤだけど
どうしても見たい場合は、先にどこかでネタバレを見てしまうというのも手ですね。
そうすれば大体の予想がついて心の準備はできますし、
その上で薔薇ルートを見るかどうか考えたらよろしいかと。
シナリオはどのキャラのシナリオも良くできており、
捨てキャラはおらず、セリフまわしもとても良いので
ネタバレを見た上でも楽しめると思います。
ただ、石ころハッピーエンドのネタバレは避けたほうが無難かも。
石ころルートで辛いのは加地壱波くんぐらいです。

以下ネタバレ感想。
壱波くんルートでは本編中で壱波くんが演じることで暗示されていた通り、
「ハムレット」の役割を壱波くんが引き受け、
「オフィーリア」の役割をネリちゃんが背負っていました。
だから壱波くんルートではネリちゃんがさんざん傷つけられ、
それでもひたすら耐え忍ぶ必要があります。

対するハルくんルートでは本編中でオフィーリアのセリフを言っていたり
シーン回想からも明らかな通り、ハルくんが「オフィーリア」の役割を背負い、
「ハムレット」はほかでもないネリちゃんです。

そのため、石ころルートでは
「ハムレット」である主人公が「オフィーリア」ハルくんの心が折れないよう
ハルくんを尊重し、自尊心を傷つけないよう振る舞うことが求められる。
ハルくんが自分を「出来損ない」と感じる場面が増えるとバッドエンド、
ネリちゃんが注意してハルくんの自信を回復し、共に障害を乗り越えることで
ハッピーエンドへ。

戯曲「ハムレット」で、ハムレットは亡霊の言葉によって
現実に存在する恋人オフィーリアではなく、復讐のために行動したがゆえに
オフィーリアの愛を信じられず、彼女を傷つけることばかりを言います。
幽霊の定義を、この作品においてはハルくんの言葉を借りて
「いるわけがないもの」「存在しないもの」と定義します。

すると見えてくるのが、壱波くんルートでは
壱波くんはずっと階級制度を気にしてネリちゃんを傷つけていました。
本当は二人の間に身分差なんてないのに、壱波くんはありもしない階級によって
びくびく怯え、ネリちゃんを振り回し続ける。
そのため、幽霊=存在しないもの=階級制度 だとすることができます。

ハルくんルートでも同様で、薔薇ルートでは
幽霊=存在しないもの=階級制度 によってハルくん(オフィーリア)を
傷つけるネリちゃん(ハムレット)が描かれます。
ハルくんは愛ゆえにひたすらネリちゃんに働きかけ、尽くし続ける。
幽霊よりも自分を見てくれることを信じて。

石ころルートでは傷ついたハルくん(オフィーリア)を
ネリちゃん(ハムレット)がいかにして支え、救うかが試されました。


五十嵐ハル
絶対階級学園

ハルくんは卑屈さがないですね。
そしてそこが恐らく、彼が目をつけられる原因なのだと思います。
顔立ちもあるだろうけど、十矢くんみたいに
身体的な強さがあるわけではないのに、決して媚びない。

絵を描くのがうまいだけあり、認知の歪みにとらわれていないのも
印象的です。認知の歪みとは、物事を先入観や思い込みなどで
歪んで見てしまうことを指します。
認知の歪みには10パターンありますが、
この作品で取り上げられてるのは「レッテル貼り」(labeling and mislabeling)ですね。
ハルくんはしれっと「みんな同じ生徒だろ」とあっさり言い放ちます。
薔薇だろうがミツバチだろうが石ころだろうが、みんな所詮は同じ人間。

絵を正確に描くためには、対象物を先入観なしで
そのままとらえなければいけません。
例えば、太陽はオレンジ、空は青、夕焼けはオレンジ、と
先入観がありますが、太陽はよく見れば白く見えますし、
空がいつも青いとは限らず、夕焼けは赤いまだら模様に見えることもある。

ハルくんは、学園をありのまま見ています。
十矢くんのように、打倒すべき敵だとすら思っていない。
そうした、歪みのない曇りなき眼をもっているがゆえにハルくんは
苦労もするのですが、それ以上にハルくんには清々しさを感じ、
そういう本質を見るところがとても好きです。


薔薇ルート

身分差恋愛を描いたルート。
正直薔薇ルートをなかったことにしようかと思うぐらい
プレイしたくなかったのですが、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで
頑張ってプレイしました。これが最初で最後だと言い聞かせつつ。
十矢くんが階級を気にしない人なので、身分差恋愛は
ハルくんのほうでやるだろうと思ってましたし、
世話係に任命する流れも想定していたのですが、
なんとか、どうにかハッピーエンド?のようになって……
いや、でも泣いた。胃が痛くて泣いた。
二度とやらぬ……もう二度と……(´;ω;`)ウッ…
なかったことにしたい……私の中でハルくんとの薔薇ルートはなかったんだ……
なかった……なかった……なかった……(マインドコントロール)

「恋われた愛」ルートはなんとも切ない話で、
「黒い絵」になぞらえた連作が二人の恋を象徴していてとても綺麗でした。
自分との恋が好きな女の子を傷つけて、孤立させて、
ネリちゃんに引きつった笑みしか浮かべられないぐらい辛い想いをさせて、
それでもハルくんは決してネリちゃんを助けられない。
会うたびに無力感に苛まれ、そばにいると幸福だけどそれ以上に辛くて。
「一緒にいたい」と痛々しく笑うネリちゃんの姿を黙って見てるだけ。
ハルくんからしたら身を切られるような想いだったはず。
けれどそれでもネリちゃんへの恋心があったから、
その恋心だけが二人を無理やり、いびつに結びつけるさまが
切なくて哀しくて、でも美しくもありました。
特に庭で、ネコの餌をやってるときに陰口を言われて、
「ここまでして二人でいる意味があるのか」と問うハルくんに
無理やり「ハルくんといたいから」と笑うネリちゃんが……
そしてその直後のハルくんの打ちのめされたような表情が……
ぐっと胸に迫りました。
二人の恋が、痛みの中に浮き上がるさまが見ていて苦しく、
だけど、その恋心がかすかにきらめくようで……

そうして終盤、恋が終わりかけたところで、
リップを指摘してしまうハルくんのわずかな期待のような、
逡巡のような……恋を終わらせるのか終わらせないのか、
最後の選択を委ねるような、ためらいにも似た一言が良かったです。
エンディング名が「恋われた愛」ですから、ここでハルくんは
幽霊(=階級制度)の言葉ではなく、最後の望みを込めて
目の前にいる自分を見るか、幽霊の言葉を聞くか、
覚悟を決めろと言ったように解釈できます。

だってネリちゃんはこれまでずっと、すべてに対して受身だったから。
薔薇なんだからもう胸を張って十矢くんのように自分らしさを貫き通すか、
それともきっぱりと線を引き、ハルくんとの関係を経つか。
ネリちゃんはどちらにも徹することができなかった。
だからハルくんが終わらせるしかなかった。
ネリちゃんが最後に見つけた連作も象徴的で、
とてもハルくんらしいモチーフで心揺さぶられました。
薔薇の中で日毎に顔を曇らせるネリちゃんを、
一体ハルくんがこれまでどんな想いで見ていたのか、
あの絵にすべて込められていて、とても良かったです。
ネリちゃんが無理やりハルくんをつなぎとめて、
それでも芽生えた恋を保とうとした日々を
黒く塗りつぶしたハルくんの激情を思うと、胸が痛い。

この後は、どうだろう。ネリちゃんが堂々と振る舞い、強くなる以外に
薔薇ルートでハルくんとうまくいく道はないと思うし、
もういっそ降格したほうが良いと思うので、
ここからまた積み上げられるものがあるかな。

しかし、一体なんでこんな辛い想いをしながらゲームをしなくちゃいけないんだと
真剣に自分に問いかけてしまった。
物語としては完成度も高く、非常に美しい情景で、好きな部類なのですが、
私は本命が……ハルくんなんで…………理屈じゃないんで………………
正直、主人公が傷つけられて耐える方向なら
相手の心情を推察することに思考を切り換えられるのですが
主人公が相手を傷つける方向になると
相手の気持ちを考えるほどに死にたくなってきて相当辛いです。
あの……もう勘弁してください…………
ネリちゃんが自分を保てなかったのが全部悪かったんだ……知ってる……

「壊れた愛」ルートでは薔薇の人たちの顔色を伺いまくって
ネリちゃんはとうとうハルくんの尊厳を踏みにじってしまいます。
それも無自覚に。
分かっているのに世話係をやってるのは、ハルくんも
石ころ階級らしく振る舞ったということかな。
「恋われた愛」で別れを告げたのは、まだネリちゃんを
対等な立場の人として接しているからだと思うので。
特に品評会で……いや、あるだろうとは思ってたし
だからやりたくなかったんですが、品評会でハルくんに
土下座を強要した瞬間に、もう二人の関係が
支配者と犬の関係に修復不可能なところまで壊れ落ちて、
見ていて胸が引き裂かれるようでした。
けれど、それでも人間としての矜持を見せ、最後の抵抗を試みるのが……
まさに「飼い犬に手を噛まれる」構図。
愛していたから憎くて、爪痕を残そうとするようで悲しかったです。
ハルくん、それでも十矢くんに助けは求めないんだな。
人としての矜持として、友だちとして、
十矢くんはハルくんの意を汲んでくれているのだろうか。
しかもスチルこっちにあんのかよっていうのが
絶対階級学園らしくてよかったです。


石ころルート

ハルくん本命の私、大勝利。

はっはっは。ありがとう、ありがとう。はっはっは。

いやしかし、地獄のような薔薇ルートを乗り越えたかいはありました。
最後に取っておいてよかったです。

乙女ゲーらしく、全体的にほんわかした雰囲気で心癒されました。
もう共通イベントのポーチ探しとダンスからしてきゅんときます。
あの美術室のイベントはおいしい。スチルの破壊力もかなりのものです。

素直じゃないハルくんの恐ろしくかわいい憎まれ口と
ネリちゃんとのやり取りが本当に可愛くてきゅんとします。
あと、ネリちゃんが一生懸命なところも好感度高いです。

ハルくんはあまり直接的なことは言いませんが、
結構ストレートな愛情表現をしてくれるのがうれしい。
というか、そこがいい。
からかうような言動の端々にネリちゃんへの愛が見えるのが
微笑ましくて、にやにやしながらプレイしました。
理由があるとはいえ、夜の学園をデート気分で
静かに歩けるのはロマンチックでとてもいい。
たとえ話とはいえ、かなり大胆なことを言ってくれて、
ハルくんはなかなか心を開かない分、一度心を開いたら
迷わないタイプなんだなあとしみじみ思います。

あとシーン回想の「シャボンの恋」はこの作品屈指の
告白イベントで、のたうちまわりました。
仰々しい愛の言葉を言うわけじゃないのに、ハルくんの
情熱と、誠実さと、真摯さが伺える言葉の数々が胸に響きます。
あと単純にすんげえかわいい。
もう声もシナリオもスチルもなにもかもがかわいい。
ほかにも、ちょっとしたイベントもいちいち可愛くてときめく。
授業中とか、喫茶店とか。
そこからエンディングでの会話もお気に入りです。
こう、仲睦まじいカップルの、からかいまじりの
気の置けない会話がほんとクリティカルヒットでした。
ここまで這いずりながら死に体でどうにか乗り越えてきたのも
ハルくんの石ころルート(ハッピーエンド)を見るためだと思えば……!

正直、ここから他キャラの真相とか、すでにどうでもいい気持ちで
いっぱいなくらいハルくんに入れ込んでしまっているのですが
せっかくなのでもう少し頑張ってみます。
しかし、十矢くんルートだとハルくんはお守役をやってくれるので
それはうれしいものの軽く複雑な気分になりますね。
でも締めはハルくんの真相ハッピーエンドで締めたい……!!
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