華アワセ 唐紅/うつつ編 唐紅 感想

  • 2015.09.26 Saturday
  • 06:14
華アワセ 唐紅/うつつ編 (エンターブレインムック)


唐紅ルートの感想です。

以下ネタバレ感想。
いめルートがない……だと……

私正直、キャラの中で百歳が一番好きで、その次にいめ君が
好きなんですが、あああ……なんだこれ……
さんざんフラグ立ててかっこ良く幕を引きやがって……
まあしかし、いめ君はちょっと出来すぎでしたね……
理想の王子さまは夢でしかないのだ……知ってたぜ……

唐紅ルートは、露吹、鈴虫、玉虫も味方として出てきてしみじみしました。
露吹の闇堕ちルートは恐らく天城への告白でしょうね。
ヤリ捨てされたのだろうなと思うと、露吹姐さんがほんと切なすぎて……

あと、唐紅ルートの見どころはうつつの泣きの演技ですね。
いめといいうつつといい、中の人の演技が素晴らしかった。
うつつルートが楽しみ。

さて、唐紅ルート。

キーキャラクターとも呼べるいめは、「夢」という名から分かる通り
「現(うつつ)」の対となる存在でしたが、唐紅とも異母兄弟で、
寅家の御曹司である唐紅と丑家の祈り子のいめと、立場も対になっていました。
触れたくてもみことに触れられない唐紅と、
みことのほうから思いがけず抱きしめられるいめ。
素直ないめと意地っ張りな唐紅。
どちらも実の両親からの愛には恵まれていません。

いめが、孤児院でママさん、パパさん、孤児たちと
他人でありながら家族のように育ってきたのと同じように、
唐紅はオババさま、露吹、鈴虫、玉虫という祖母と他人(召使い)と
家族のようにして育ってきました。実の母からの憎悪を何年も受けながら。
実の母に死を望まれながら育った彼の半生を想うと、
唐紅が「男」と「女」という性別に抱く愛憎めいた気持ちが
見えるような気がします。

子どもは両親との接し方から、異性への接し方を学ぶといいます。

唐紅先輩は序盤でのセクハラ、暴言などから見えるように、
「男」という性別を傘に着て、「女」に服従を求めます。
これは「女」として唐紅の母:木花咲耶が息子である唐紅に
「男」への憎悪をぶつけ続けたゆえであると読み取れる。
しかし一方で、唐紅は女性が唐紅の望む「女」をやれば、
「桜花の女は唐紅に絶対服従」という掟に従っていれば、
きちんと「男」をやるという側面もあります。
すなわち、女を慈しみ、守り、平等に愛すること。
これは「寅の男は女を守るもの」というオババ様の教育によるものですね。
けれども、これを桜花組の全員にやり続けるのは、簡単なことではありません。
唐紅は支配しているように見せて、桜花の水妹たち「女」の前では、
「男」をやめることは絶対にできない。
24時間ずっと「男」でい続けなければいけない。
唐紅は「女」の前で、「男」を休むことは許されないわけです。
「女」の望む「男」の幻想をずっとやり続ける必要がある。
実のところ、一体どちらが支配されているのか。

恐らく唐紅は、男という性別によって自分を大きく見せ、
自分を奮い立たせ、やっとのことで自分を支えてきたのでしょうね。

唐紅の「男」という性別への依存は、相手と個人的に向き合うことを
避けるための防波堤でもあります。
唐紅が「男」をやり、女は「女」をやる。
ただ、そんな唐紅は百歳さんにあざ笑われたように、
「女」というものを理解しているわけではありません。
すなわち、女にも意志があるということが念頭になかった。
つまり、一見して受動的で、付き従うだけであるように見える女が、
なによりも見返りを求める生き物であることを認識していなかった。
その見返りとは、物ではありません。
誠意。一途なる愛。
女の愛はタダじゃないのです。

見返りを求めない無償の愛。与えられたら素晴らしいことです。
ですが、人間って不思議なもので、一方的に尽くされ続ける状況や、
やたらと気前の良い人が、実はあまり好きではなかったりするのですよね。
この場合、両親から無償の愛を求める子どもは除くものとします。

心理学に、好意の返報性、という言葉があります。
これは相手から好意を受けるとお返しをしなければいけない気持ちになる心理を指します。
少し尽くしたり好意を示したりするぐらいならいい感じに働くものの、やり過ぎると、
相手は頼んでもいないのにもらった分だけたくさんお返しをしなければならないと感じ、
恩恵を受け続けている状態が重くなり、自分のものではない借金を押し付けられたような、
不快な感情へと変わるのです。

尽くされることでなにか支払いをしなければいけないような気持ちになって、
罪悪感を覚えたりして。
助けを求めてないのに助けられると、自分に問題解決能力がないように思えるというか。
望んでもいないのに施しをされているようで、自分がダメな人間のように思えてきて。
結局、相手が助けを必要としていないのに相手に尽くしたりするのって、
相手の自主性を尊重していないのですよね。相手の能力を信じていない。
尽くされたほうは、なんか馬鹿にされているように感じるのかもしれません。
居心地が悪くなるために、一方的に尽くす相手への印象も悪くなる。
そのため、尽くすほうを尊重する気持ちが次第になくなってしまう。
だからこそ、例え意志を殺して尽くし続けたとしても、
尽くした相手からはそんなに感謝されません。残念なことに。

木花咲耶が愛を捧げ続けても、ニニギがその愛に応えなかったように。
唐紅が母からの仕打ちを耐え続けても、木花咲耶がなにも感じなかったように。

むしろ自分を大切にするタイプの人からは当人が自分を大切にするがために
嫌な気持ちになりたくないと思われたあげく距離を置かれ、
代わりに邪な心をもつ人間からは利用されて道具のように扱われたりして。
話を戻します。

一度関係を定めたら永遠にノープロブレムと思っている男と違って、
女は事あるごとに関係の更新を求めます。そのたびに証を立てなければならない。
男を囚えたら最後、女は男に、目に見えない見返りを求め続ける。いつまでも。
女(木花咲耶、岩長)は尽くした分だけ、男(ニニギ)に代償を求める。
「女である私がこれだけ尽くしたのだから、男はもっと愛を渡すべきだ」と。
コノハナサクヤ、ニニギ、イワナガという名前からして日本神話の再現ですが、
唐紅の母である木花咲耶が愛を裏切られ、最後には父ニニギを喰らってしまう悲劇から、
男と女というものが見えてくる気がしました。
男(ニニギ)が主導権を握り、女(木花咲耶、岩長)を支配しているようで、
その実は、女によって身を滅ぼす結末に……。

「私、甘えていました」
露吹に叱咤され、愛する男のために自立を選んだみこと。
受動性攻撃、なんて言葉がありますが、まさにみことが
唐紅に対して拗ねたり無視したりと怒り、攻撃の意志を見せます。
女は気に入らなければ、腕力で男に敵わずとも、
別のやり方で攻撃することができる。
これはみことが自分を守るための、正当な怒りです。
自分を大切にしない人間は誰からも大切にされません。
きちんと不満を伝え、向き合い、唐紅とみことは
お互いへの理解を深め、強い絆を結んでいきます。

フタを開けてみれば、唐紅は実の母親(化け物)から
生を否定され、憎悪され、それにただひたすら耐えるしかなかった。
唐紅の中に残るわずかな母への思慕と信念のために、
実の母を殺して自立する覚悟ができなかったから。
この、「親殺し」というモチーフが自立のテーマとして
非常に象徴的で、母を殺してみこととの恋を貫く、という
唐紅の自立が描かれていました。
それでも唐紅がついに母を手にかけられず、
そして止めを刺す役割をいめに譲ったのは、
「女」である母を「男」である唐紅が殺すことが
唐紅の信念と決定的に相容れないからでもあります。

「寅の男は女を守るもの」という信念、
そして「女である母に命を脅かされる」という現実。
この矛盾した状況の中で、唐紅はそれこそ死にものぐるいで、
両方を成り立たせながら生きようとした。
最後の最後で唐紅が母を殺してしまえば、それまでの彼の苦労が水の泡。
だからこそ、丑家のいめが、死を司る祈り子のいめが、
最後に木花咲耶を倒す役割を担ったのだと思いました。
唐紅の、人生を賭けた信念をせめて守ってやるために。
このあたりは、シナリオライターの愛を感じました。
見せ場としては唐紅が最後を飾ったほうがいい。
それでも、分かっていても敢えていめにやらせたのが。

反対に、いめは唐紅の、母を求める心の象徴です。
むろん、いめも自立しています。
約束したとおりにランキングを駆け上がり。
いめは覚悟をもって木花咲耶との道を選びました。
対となる存在、丑家のいめが、死(ケ)を選んだのは切ないですね。

穢れなきまま死ぬいめ。
罪を引き受けて生きる唐紅。
最後まで対でした。

そのときのいめの気持ちは、対である唐紅のセリフから伺えるものと推察されます。

「おめえが生きてりゃいい……俺じゃなくてもいい。
 おめえが悲しい思いをしなけりゃ、相手は誰だっていいさ」


例えみことがいめに振り向いたとしても、いめはどのみち祈り子です。
みことを幸せにすることはできないと、いめには分かっていたのかもしれません。
むしろ想いが通じ合ったほうが地獄の苦しみを味わうやも……。

夢と共に月に逝く木花咲耶。なんだか、とても象徴的でした。
木花咲耶が抱いた【夢】は、ニニギの愛だったのでしょうか。
そしていめが抱いた【夢】は、とうとう得ることのなかった母の愛。
共に在るのに相容れないものをお互いに求めている。

ラスト、唐紅がこれまで「男」をやり続けたのは決して無駄ではなかったことが、
桜花組の水妹たちが奮起したことで表わされているのに心が温かくなりました。
唐紅の「男」ぶりに、彼女たちも応えたのですね。

でもまあ……だらだら長く書きましたが、
正直唐紅の見せ場をいめに食われた感じはしますね。

唐紅先輩、受動性攻撃をしかけるみことにタジタジになり、
魂状態でなかなか本領を発揮できず、やっとみことが泉姫になったかと思えば
母からの呪縛により身動きが取れず。最後はいめに見せ場を譲り。

しかし、私は、これこそが唐紅の本質だったのだと思います。
「男」という幻想を取り払った素顔の唐紅は、人のために自分を殺す人だったのだと。
周囲の人を思いやり、自分が我慢して、誇りゆえに耐えている素振りすら見せられず。
唐紅、外では威張っていても、家ではみことの尻にしかれそう。

そんなTHE☆痩せ我慢の人、唐紅先輩の今後に幸あれと願うのみです。

お次はうつつ編でしょうか。
うつつはいめとは別人のようなので真剣にいめが可哀想なんですけど
いめと結ばれるツキはないのか……もう名前からしてまやかし感あふれてますしね……
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