華アワセ 唐紅/うつつ編 うつつ 感想

  • 2015.09.29 Tuesday
  • 03:23
華アワセ 唐紅/うつつ編 (エンターブレインムック)


うつつルートの感想です。

以下ネタバレ感想。
唐紅ルートで、二人で命を分けあい、
大好きな人と力を合わせて運命を乗り越えていったみこと。

生きることは罪を引き受けること。

誰かを愛する喜びによって、困難に立ち向かう強さを手に入れる。
二人が生きて幸福になるために、多くの人が力を貸してくれます。
そんないろはやいめの犠牲を無駄にせず、精一杯生きよう。
それが唐紅ルートで出した「自立」への答えでした。

では、その恋が赦されないものだとしたら?

唐紅ルートの対にふさわしく、すべてが反転するうつつルート。
うつつは世界に『好きな人と生きたい』という想いを否定され、
さらにみことを失ったことで、
運命を呪い、世界を呪い、人を呪います。
そうしてうつつは愛する人のために死ぬこともできず、
誰もいない世界で孤独に生き続ける羽目に陥る。
では、この運命を破壊するためにどうすればよいのか。

「自立」とは、世界(環境)に意志や想いを否定されたら、
うつつのように当たり散らして周りにいる人間すべてを排除することなのか?
それとも、自己犠牲を意味するのか、
はたまた、障害が立ちふさがったときに、諦めて流されるべきだったのか?
そんな問いに答えが提示されたのが、うつつルートです。

みことを庇って唐紅が死ぬ流れは変わらないのが辛いですね。
唐紅ルートでの唐紅の死は、みことに諦めない強さを与えるものでした。
しかしうつつルートで唐紅の死は、うつつを選ぶみことが引き受ける罪となります。
自分のために死んだ唐紅の魂を見捨て、運命に否定されても、なによりもうつつを選ぶ。
恋のために。心のままに生きるために。

人生は選択です。選んだら、必ず選ばなかったほうが残される。
その罪をも、引き受ける。唐紅ルートで得た教訓を胸に、
みことはうつつを救う方法を模索する、という流れが良いですね。

うつつルートでのみことは恋を運命に否定されます。
障害はあってもみんなが応援してくれ、恋敵であるはずのいめまで
親身になって力を貸してくれた唐紅ルートとは違い、
うつつルートでみことは、一人で運命に立ち向かわなければなりません。
誰にも依存することはできない。
斧定先生ですら、手を貸すのはからくり咎の使い方を教えるところまで。
状況を乗り越えるためのアドバイスをもとに、一人で障害に立ち向かう。
自立にあたり、この姿勢こそが、問題を乗り越えるために必要なものと提示されます。

斧定九郎の存在があることから、華アワセは、自立=孤独に生きろとは訴えていない。
助言は求めていい。人の助けを借りてもいい。
だけど、実際に行動するのは自分。世界に立ち向かうのも、自分自身です。

正直、序盤では唐紅先輩が気になってしまったことと、
みことは優しさを無作為に振りまくので、少し不愉快でした。
みことは優しさにブレーキをかけません。
優しさが無条件に良いものだと思っているから。
その後、相手にどのような影響を与えるか、
言動の責任を取ることまで考えていない。
この辺りは蛟編で唐紅先輩がみことを詰ってくれているのでもういいですが、
そんなみことの相手を想う心が、見事に裏目に出ます。

唐紅を庇うことで愛が確かなものとなり泉姫になったみこととは対照的に、
うつつとは想いが通じ合うことで泉姫になった結果、人がみんな死ぬ。

気になったのは、いずれ元の世界に戻るつもりでいるのに、
バイトを辞めるぐらいの気軽さで『祈り子をやめる』約束をしてしまうこと。
指切りをした時点で残酷な約束だと思いましたし、
うつつの純粋さを考えれば、みことの振る舞いは
いろいろ考えなしなように思えます。

私には、ミッドナイトティーパーティに参加しなかった唐紅先輩の気持ちがわかります。
祈り子であるうつつの立場を考えれば、少し残酷な催しです。
ヒーロー級の格好良さを他人のルートでしか見せられない唐紅先輩に
心惹かれつつ、温室で想いを通わせ、祈り子の禁忌に触れるうつつ。
咎が弾ければ桜花組の水妹どころか、世界の人間が全滅します。
唐紅は対である寅の男として、是が非でもうつつを殺さなければなりません。
しかし、想定できた事態だったのに自分一人で内密になんとかしようとしてしまう
唐紅先輩はやっぱり甘いですね。そこが魅力でもあるのですが、
うつつが皆に馴染むチャンスを、踏み潰すことまではしなかった。
でもその甘さのせいで世界は終わるわけです。

なんというか、この数週間、誰も祈り子のことを説明しなかったんですかね。
説明したところでどうにかなるとも思えませんが……ちょっともやもやしました。

いめが死を選んだのは、丑家の者としての役割を忠実に果たしたということでした。
いめはみことを好きだったけど、想いを遂げることまでは望まなかった。
彼は自分の短い人生を、せめて悔いのないものにするために精一杯生きた。
しかしうつつは……唐紅に詰られるのも無理はないくらい、あまりにもまっさらでした。
祈り子がどういう存在か、うつつにもきっと分かっていたのだろうけど
みことのそばにいるうちに夢を見てしまったのだろうな。

「せいぜい…人の死の上にある幸せに浸るんだな」
唐紅に敢えてこのセリフを言わせるのにゾクゾクします。

みことは場当たり的に優しくして、後先考えず、物事を深く考えずに
うつつと心を通わせ、最悪の事態を招きます。

世界(=環境)によって恋心(=意志)を否定され、
自分のせいで誰かが犠牲になろうとするとき、どうするか。

その地獄を回避するため、みことが選んだのは
『自分を犠牲にする』選択でした。
彼女は罪を引き受ける(=責任を取る)覚悟がなかったから。

しかし、みことを大切に想う者であるうつつからしたら堪ったものじゃありません。
そのせいで、うつつは『みことの死はほかの人間が存在するため』と考え、
世界にいるすべての人間の死と引き換えに、みことを取り戻そうとする。

『華アワセ』は作品として、かなりはっきりと、
障害が立ちはだかったときに取る選択としての
自己犠牲を全否定しています。

みことは自分の犠牲によって状況がより最悪なものになったことで、
自分を守りながら、一緒に幸福になるために、大切な人への想いを貫く選択をします。

斧定先生の協力を得ながらひとつひとつ咎を修正していくうちに
世界の果てにたどり着く『みこと』と、夢の狭間にだけ存在する『うつつ』。
これは狂って心を失ったうつつの、心の一欠片が夢の狭間の『うつつ』だとも思えますね。
そのあたりのからくりは、いろは編で明かされるのでしょうか。

ここで、祈り子をやめることは、無に還る という意味であり、
好きな人と生きたいという願いをもつ『うつつ』は存在ごと運命に否定されます。

しかし世界を変える力をもつ泉姫、みことの強い意志によって
運命を打破し、二人の恋を阻む咎を憎悪するのではなく、
咎を赦すことで輪廻から開放され、二人は無事に、
結ばれるためのツキへ転生しました。

数々のツキを乗り越え、「華アワセ」という作品が提示した自立への答え。
すなわち、運命をみずからの手で切り開くこと。
そして世界(=環境)を呪うのではなく、世界を赦し、
幸福になるための一歩を、大切な人と共に歩み出すこと。

自立とは、自分の言動に責任を取ること(=生きるために罪を引き受ける)であり、
他者を慈しみながら、困難に立ち向かう勇気と、
諦めない強さをもつことである、と読めました。

こうして言葉にして書いてしまうと陳腐なようにも思えてしまって、
作品の訴えはユーザーが心で感じ取るべきでもあり、
蛇足だったかなとも感じていますが、とりあえずうつつルートの感想はおしまいです。

うつつは可愛かったですが、私はいめ君が……好きだった……
わかってる、出来すぎだってことは……唐紅に嫉妬してぶっ殺そうとする、
そんなうつつこそが現実だってことは……わかってるんだ……
好きな人を幸福にするために、恋敵へ温かく協力するなんて……
そんな真の愛を無条件に捧げられる存在なんて……
しょせん夢でしかないってことは……わかってるんだ……
でもそういう王子さまが欲しいんだよ……
二次元にしかいないってわかってるから……なのに……(´;ω;`)ウッ…
コメント
いめ君、アガペーの人でマジ天使!二次元に夢を見たっていいですよね、そのためにゲームがあるんだし。でも、うつつみたいに世界を殲滅するのも二次元ならではの楽しみ!復讐や自滅は愚かな行為だけど強烈に惹かれます。ホンマにやったら取り返しがつかない事もゲームでは思うがままにやりつくして欲しい。
  • nobara
  • 2015/09/29 10:07 PM
言われてみれば、いめとうつつって両極端ですね。
天使と悪魔のような。あああ、失念してました……!
こんなにわかりやすいのにどうして見落としてたのか……
愛のために自分のすべてを捧げるいめと、
愛のために世界のすべてを壊すうつつ。
どちらも二次元ならではですね。せっかくのゲームですし、
仰る通り、思う存分にやっているさまを見るのはやっぱり楽しいです。
  • 大樹@管理人
  • 2015/09/30 10:31 PM
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