SWEET CLOWN 〜午前三時のオカシな道化師〜 古橋 感想

  • 2015.11.09 Monday
  • 03:18
PSVita SWEET CLOWN 〜午前三時のオカシな道化師〜


古橋さんの感想です。
全体的な感想もあります。ネタバレです。

実はこれから書くことも周知の事実で
「今更なに言ってんだコイツ」みたいな感じかもしれませんが、
自分にはよく分からなかったのでそっとしておいてあげてください……。

以下ネタバレ感想。
古橋さんルート感想のまえに、願いを叶えるルールについて。

願いを叶えるルールと劇発動のしくみについて、真剣に意味が分からず
「均衡と秩序を保つための掟」を三回ぐらい舐めるように読み返し
それでもなに言ってんだかよく分からず丸一日考えた末に、
ようやく意味を把握できました。

この点については、公式を擁護できないくらい分かりにくい説明だったと思います。
願いを叶える条件、いわゆる能力の縛りについてはこの作品の肝となる部分です。
よく分からないからこそ味がある、というようなオカルトチックな表現ではなく、
仮にも説明を試みたなら、少なくとも読者に伝わるように説明する義務があるかと。

いくらスイートクラウンが柘榴ちゃんを翻弄するために
意図的に混乱させようとしたとしても、伝えることと伝えないことを
敢えて分けたとしても、なんというか、このわかりにくさは
そういう次元ではないと感じました。
説明が不足なまま、キャラたちは「わかってます」という顔で
物語を進めてしまうので、とりあえず脇において後で考えましたが、
あの説明で柘榴ちゃんが納得できたのが納得いかないです。

とりあえず字でだらだら書くにも限界があるのでルールを図にしました。
皆が私のように暇人なうえに偏執的に物事を考えるわけではないかと思うので、
この辺りのわかりにくさは、公式に猛省していただきたい。
次から図を描いてください。

スイートクラウンが願いを叶えた相手をお菓子にする、というのは
さすがに見れば分かると思いますが、混乱するので一緒にまとめました。



前提として。匣に入っていたマリス?(=スイートクラウンの力)によって
願いを叶えるには対価が必要である。
その対価とは理性、判断力、大切な記憶など、
当人を当人たらしめる重要な要素(柘榴ちゃんにとっての弟の記憶)、
当人にとって価値のあるもの、もしくは健全な精神、人間らしい健康的な生活を
保つために必要なものである。自喰しすぎると欲望を抑えきれなくなり
意志をもつ人間ではなくなり、欲望と悪意のままに力を振るい
皆を絶望に陥れる悪魔(スイートクラウン)になる。
行き過ぎると肉体を自喰して骨になる。




スイートクラウンは相手の願いを叶えることができる。
願いを叶える力はスイートクラウンの中に存在する。
※左のジンジャーマンクッキーはスイートクラウンに願いを言う人間





願いを叶えてもらった人間は肉体(人の器)をスイートクラウンに喰べられ、
人の器を失った魂はスイートクラウンの支配下に置かれる。
魂はキャンディのかたちとなって瓶につめられて城にしまわれている。
やや分かりにくいかもしれませんが、左上から右へ、右下から左下に見ていってください。




劇のしくみについて。
この図を見て伝わるか少し心配なのですが、道化師は柘榴ちゃんの中にいます。
つまり、道化師in柘榴ちゃん状態は、スイートクラウンの力(願いを叶える力)的には
「樫野柘榴」として認識されている。
道化師がむやみやたらに願いを叶えなかったのは、道化師が柘榴ちゃんの中に
入った時点で、<願いを叶える力>を行使する権利を柘榴ちゃんに譲渡したから。
つまり道化師がなにかを願うと柘榴ちゃんが対価を支払わなければならない。
例えば、日之世ルートで日之世のことを知りたいと柘榴ちゃんが願うと、
道化師経由で自喰して、日之世の過去の記憶を見ることができる。
このときの自喰で柘榴ちゃんは弟の記憶を失う。
後になってかろうじて弟がいることは思い出すが、
恐らく二人で遊んで楽しかった思い出などはいくつか戻ってきていない。

そして道化師は柘榴ちゃんの身体を大切にしたいため、
自喰を繰り返して柘榴ちゃんが骨になる事態は避けたい。
現スイートクラウン(ロッサ)が骨状態なのは、身体を乗っ取ろうとした子どもが
自喰しすぎて骨になってしまったから。

悪魔スイートクラウンは柘榴ちゃんの中に入る前に、願いを叶える力を用いて、
条件付きの自喰を試みてしかけを作っている。
このしかけは道化師の中にある。
内容は『古橋を選んだら劇が発動する』というもの。

柘榴ちゃんの中に入る前に道化師は、真井さん、久瀬くん、密原の
菓子人形を慌てて作ってどっかにしまっている。
慌てて作ったことから、道化師としては不測の事態だったことが推察できる。

劇が発動する(柘榴ちゃんが古橋さんを好きになる)と、
午前3時のお茶会でお菓子を食べた人間
(真井さん、久瀬くん、密原)がお菓子になって匣に収まる。

ケイファ&ガートは恐らく、菓子人形が動き出し、招待客が
お菓子になっているのを見て劇の発動を知り、アシストに動く。

日之世さんは城に来てからなにも食べてないので、劇の発動条件に
引っかからず、生身の人間として自我を保っていられる。
また、身体能力向上のマリス持ちであることから、
ケイファ&ガートも日之世さんに実力行使はしなかった。

混乱の原因は、視点は柘榴ちゃん視点なので、道化師と柘榴ちゃんが
別の存在であるという強い思い込みを与えていることにある。
<願いを叶える力>としては、道化師が柘榴ちゃんの中にあり、
加えて柘榴ちゃんの身体を道化師が乗っ取っていないため、
柘榴ちゃんの身体の主は柘榴ちゃんである。

条件付きの自喰を内包する<願いを叶える力>は、
道化師によって柘榴ちゃんに譲渡されている。
その柘榴ちゃんの身体の中で条件付きの自喰が発動する。

なお、一番最初の「明日が来なければいい」「屋敷に閉じこもりたい」は
道化師の誘導によって柘榴ちゃんが願ってしまったため、
柘榴ちゃんの願いとしてカウントされ、柘榴ちゃんは
「冷静な判断力」を代償に自喰して願いを叶えている。

冷静な判断力を失ったものの、密原久瀬日之世ルートなどで
恋人とのスキンシップによってオキシトシンが増殖し
恋人との相談と直感によって問題を解決している。

以上です。

===

あと、それぞれのキャラの洋服に、キャラを象徴するモチーフが
描かれているのが面白いですね。

そこかしこに使われている明青色は生神女(聖母マリア)の色、
純粋性を表します。

また、各キャラの正装で描かれてるのはフランス王家の象徴として
有名な「フルール・ド・リス」ですが、フルール・ド・リスは
デュマの「三銃士」などで犯罪者の烙印でもあります。穿ちすぎかな。

柘榴:バックレスドレスは挑発のイメージでしょうか。
人を誘惑する冥界の食べ物「柘榴」としての。
ちなみにヴィクトリア朝などの時代では、
キリスト教(カトリック)の結婚式で肌を出すことはNGでした。
スカートのバラ色は、キリスト教としては喜びの色。
喜びの主日である待降節の第3主日(ガウデーテの日曜日)、
バラの主日である四旬節第4主日(レターレの主日)に着用される色。
ラテン語でガウデーテ「喜べ」レターレ「歓喜せよ」に由来。
なぜ喜べと言うのかと言えば、神が来て救ってくれる日だからです。
バラの主日のほうは償いのため悔い改める意味で
祈り、慈善、食事の節制(断食)を行います。

古橋:服の右下に骸骨
正装時の左耳のピアスには「勇気と誇り」という意味があり、
男性性の象徴です。古橋さんの願いを表しているのでしょう。
赤はキリスト教の典礼の色の意味として火、愛、殉教を表します。
血によるキリストの殉教から転じて、天の聖愛となるのですね。
カーディナルレッドとかいったりします。カーディナルは枢機卿の意。
余談ですが、クリスマスカラーが緑と赤なのは、
赤がキリストの流した贖罪の血の証、
緑がもみの木とヒイラギ、エバーグリーンの象徴です。
エバーグリーンという名前からしてそのままですが、
緑はもみの木とヒイラギが一年中色を変えない常緑樹であることから
永遠の命、希望を表しています。
殉教者キリストよ永遠なれ、という意味を込めての
クリスマスカラーなのですね。
そういえば古橋さんの眼の色は緑でしたね。
また、裏地の布は改悛、死者への贖罪と祈り、償い、後悔を示す紫です。

日之世:羽の生えた砂時計(本編参照)
青は空の色であることから天の真実を指し示し、
魔除けの色でもあり、純潔も意味します。
あと、ロイヤルブルーとかいったりする通り、高貴な色です。
そして瞳の色は紫。意味は前述の通り。

密原:サソリ
サソリは魔除けのモチーフです。世界最古の節足動物。
ギリシャ神話だと、優れた狩人で美男子なオリオンが
「俺に狩れない獲物はいないぜ」的に傲慢な振る舞いを取ったために、
ガイアがサソリを遣わして殺したという話が有名ですね。
そのせいでサソリって毒があるイメージですが、
実は毒をもつのは1000種類のうち、わずか25種類。
「見かけ倒し」な意味も込められているのかもしれません。
あと、左の髪の一房に編み込み。ひねくれた性格の表れでしょうか。
正装の紫は前述の意味があるのか、本人に罪悪感が皆無だからこそ
皮肉として敢えて着せられたのでしょうか……。

久瀬:ヤモリ
これはそのまま、「家を守る」の意かと。
また、密原と同じく左の髪の一房を髪飾りでまとめている。
まっすぐな毛束は久瀬くんの気性の表れ。
対になった髪型は双子の暗示ですね。
花は金木犀……かな……?
服の黄土色は黄金色の意味で、尊厳、威風でしょうか。

真井:鳥カゴ……? ですよね?
やはり彼はなにかに囚われているのでしょうね。
いい加減に予想はつきますが……
服の袖の模様は王冠モチーフのようにも見えますね。
正装の白は純真、光、喜悦、清らかさ、神の栄光を表し、
キリスト教ではクリスマス、葬儀や復活祭などで着用します。

マリス:青い薔薇と百合。
青薔薇の花言葉は「不可能」。
最近になって青い薔薇を人工的に作れるようになったので
「神の祝福」「奇跡」なども加わっています。
百合の花言葉は「純粋」「無垢」「純潔」「威厳」
また、キリスト教的に百合は処女性、聖母マリアの象徴。

ネージュ:ロバの頭。
英語のことわざに、
Better be the tail of a horse than the head of an ass.
「ロバの頭になるよりは馬の尻尾になれ」というものがあります。
意味はキツネの頭になるよりライオンのしっぽになれと同じで、
小さなものの長よりも大きなものの配下でいるほうがいい、という意味ですが
敢えてその意に逆らってロバの頭を被っているのでしょうね。

クラン&ラズ:身体の色がバラ色ですね。意味は割愛。

ケイファとガート:目が黄金。黄金は尊厳の意。
どちらも服装は青が取り入れられています。
ケイファのほうが青が多いことから、日之世さんと同様、
真実に近い者の表れかな。
ガートの黒は喪服の表れ? 意味としては死、苦しみ、哀しみ。
ケイファが悪魔の配下に下った理由によるのかも。
ケイファの胸に描かれてる花は蓮のような気がします。違ったらすみません。
意味は清廉潔白。

スイートクラウン:帽子に「BE MINE」
意訳すると「私のものになれ」

ところでマウスクリックの花ってクチナシでしょうか。
クチナシに似てませんか?真相で明らかになるのかな。
メッセージウィンドウの蝶は「胡蝶の夢」かな。
懐中時計のユニコーンは誇り高く貞潔、キリストの象徴でもありますが
同時に悪魔「憤怒」、不節制の象徴でもあるとか。
ユニコーンはwikipedia参照。

参考

===

あと、仕合わせは「めぐり合わせ」的意味合いだと分かりますが
踊り字(々)を使わない理由としては、結婚式などで同じ漢字を直接繰り返すことは、
再婚や不幸の繰り返しを連想させ縁起が悪いため、
敢えて踊り字を使ってないものと考えられます。
悪魔らしく、延々と不幸を繰り返すことを望まれてるのです。

===
ここからやっと古橋さんの感想。

古橋旺一郎
SWEET CLOWN 〜午前三時のオカシな道化師〜 (2015年7月発売予定) 応援中![古橋旺一郎(CV:高橋広樹)]

恐らくですが、受胎告知に相当するシーンが匣との出逢い、
イエスの洗礼にあたる場面が、古橋さんがマリスによって罪を犯し、
そして本編がイエス・キリストの「荒野の誘惑」のエピソードをモチーフにした話。
同時に、捕食者と被食者の話でもあります。

私には吸血萌えというものがよく分からないので
吸血萌えは身体の結びつきの暗喩であろうと軽めに考えていました。
けれど、捕食者に被食者として求められるのは、
「誰かに求められたい」「誰かに必要とされたい」という欲を満たす
究極的なかたちなのかもしれません。
食べたいけど食べない、この気持ちの裏にあるのもまた、
欲であれ恋う心であれ、好きな人を強く求める気持ちだから。
そして、食べられたいけど食べられたくない、というのは
好きな人とひとつになりたいけどそばにいたいという気持ちであり。
どちらも相手を乞う気持ちなのに、恋う気持ちによってジレンマが発生する。

ジレンマで思い出したのですが、
古橋ルートがハリネズミのジレンマ、
日之世ルートがヤマアラシのジレンマみたいですね。
対になってるような。
なお実際のヤマアラシは針のない頭部を寄せ合って温め合うとのこと。

中身はヒツジな古橋さんが、自分の血を熱烈に求めている、という
事実に歓喜を覚える柘榴ちゃん。弟を失ってからというもの、
柘榴ちゃんは誰からも求められていません。
誰かから痛烈に求められて欲を刺激される、というのは
いかにも女性的な欲の表れだとも思います。
そして、血を与えるか与えないかの決定権が柘榴ちゃんにあるという
捕食者と被食者の関係でありながら、服従者と支配者でもある倒錯感。
古橋さんがみずから血を求めず、欲を抑えようと必死になるからこそ
ゾクゾクするのでしょう。

古橋さんは嗜血症、つまり特定のものへの依存症、
アリストテレスのいうアクラシアです。
倫理学、哲学的なアプローチをするとなぜ人は欲に負けるのかと
さまざまな理屈をこね回すのですが、自分は人の意志や理性というものに
欠片も夢や希望を抱いていないので、大脳新皮質の
バランスが崩れてんのかな、とか考えてしまいます。
ちなみに前の記事でセロトニン大勝利みたいな書き方をしてしまったのですが
セロトニンが増えすぎたらそれはそれでセロトニン症候群が出て
別の問題が出るのでセロトニンを増やせばいいってもんでもないのです。
大切なのはバランスです。

で、古橋さんは血を求める欲にあらがおうと理性(大脳新皮質)を
鍛えまくって、今度は恋愛という本能的な部分での人との触れ合いに
支障が出てしまう。難儀な男ですね。

これまで欲というものを扱ってきて、全年齢ゆえに
性欲を扱えなかったのはいっそ不自然だったので
吸血を性欲の代替として見ることもできるかなと思います。

深愛ルートでは、お互いに贖罪の念を抱え、
親近感によって距離を縮めていく。
面白いのは、日之世さんの選択肢では割とストレートに
「信じている」とか好意的な選択を選ぶと日之世さんの
好感度が上がるのに対し、古橋さんは「信じていない」で
好感度が上がるんですよね。
日之世さん相手には好き好きアピールしないといけないのですが
古橋さん相手だと「正直に打ち明けた」と取られる。

古橋さん自身の話をします。
彼は最初から直球で紳士的で、優しくてプレイしていて思わず
狼狽えてしまいました。VITAの電源を落として深呼吸するレベル。
いかにも王子様らしいアプローチがあったのはおいしい。
さすがにメインヒーローなのでまっすぐにやさしいです。
嫌がりながらも引き受けたとなれば投げ出すようなことはしません。

あと、すごく動物愛にあふれた話だなと思います。
私は小動物が好きなので好ましく感じました。
クランとラズといい、ガートといい、動物たちも
ひどい目にあってはいるのですが、苦しみを覚えていないなど、
動物にやさしい内容で良かったです。

日之世ルートでもクランとラズとの触れ合いは可愛かったですが
古橋ルートは特に、クランとラズが効果的な役割を果たしててよかった。

「背徳の過去」で、「大人になったら開けられる」と言われ、
道化師から、匣は欲でしか開かない、とされていることから
この作品において大人になるということは、欲を覚えることだと
定義されているようです。

日之世さんが妹を失い絶望し、「絶対的な力が欲しい」と望んで
身体能力向上のマリスを手に入れたところを見るに、
恐らく古橋さんの異常なまでの回復能力のマリスは
とっさに「死にたくない」と願ってしまったからでしょうか。
あるいは、古橋さんの“友人”でもあったマリスか、
もしくは道化師が「死なせたくない」と強く願ったからか。
道化師でしたっけ。確か道化師でしたね。

深愛ルートでは、
『自分と同じ』古橋さんを通して、他者を思いやる心を学び、
『自分と同じ』古橋さんを愛おしく思い、大切にしたいという心を
もったことで、道化師さんに心を開いて受け入れるという、
柘榴ちゃんにしてはかなり劇的な変化と成長を遂げています。
これまで大切にしていた弟ですら、自分が傷つく可能性を考えただけで
願いを言葉にできないくらいエゴに満ちていた柘榴ちゃん。
しかし、古橋さんとの交流を通して、なんと、あの、
手足がもがれようがどうでも良いと思っており、
刃物を突きつけられても取り乱すことがなかった柘榴ちゃんが、
他人の気持ちを心底どうでもいいと思っていたあの柘榴ちゃんが、
道化師さんの心を思いやるのですよね。「寂しかったんだろうな」と。
ああこの子、やっと人のこと思いやれたな……と感動しました。
まあ、愛する古橋さんの弟だからという理由が九割九分を占めると思いますが
でも自己愛に満ちていた人が初めて見せる他人への思いやりなんて、
最初のうちはそんなもんじゃないでしょうか。

古橋さんが大事だから、古橋さんの大事なものを
自分も大事にしよう、というだけでも第一歩としては立派かと。
愛する人の大切なものを大切にできない人ってこの世にごまんといますし。
パートナーだから、愛しているから伴侶や恋人を支配しても良い、と
考える人はたくさんいます(歪愛ルート)。
これは愛する人を好きな自分が好きなんですよね。
愛するだけでは足りないと気づいていないから、
いつまでも愛する人=アクセサリー感覚。
例えば、
世間体が悪いからと言って相手を操作しようとしたり。
一般的に見て『普通』ではないから相手を否定したり。
自分にとって都合が悪いから相手を思い通りに変えようとしたり。

ところで、過去話でケイファさんが王妃との房事を
古橋さんに暴露するシーン。
私にはあそこが、プライドの高いケイファさんなりの
一生懸命な「助けて」アピールに見えたので、
王子様らしい繊細さで事実を受け止め、自分の傷にいっぱいいっぱいで
引きこもることしかできなかった古橋さんと
そんな対応に失望したケイファさんのすれ違いが悲しかった。
古橋さんの心をえぐってやろうという悪意がないとはいえないけど、
「オフレンダは人ではないんでしょうね」と吐き捨てた嫌味が、
古橋さんになんらかのアクションを期待していたように見える。
彼はあそこで、完全なる否定を求めていたはずです。
でも古橋さんは呆然とするだけで否定しなかった。
その後の「いつも逃げてばかり」と詰るシーンといい、私には
ケイファは助けを求めていたのに、助けてくれないからこそ
今もウジウジしている古橋さんにイライラするのだなと思いました。

深愛エンドでは、一年も経ってからもじもじと
告白めいたことをしている二人の姿を見て
正直、祝福よりは呆れの気持ちが強かったです。
見どころは疲れきったケイファさんでしょうか。
しかし、なんだかんだ言いながらケイファさんはまんざらでもないと見た。

深愛バッドは、二重に残酷なエンディングだと思いました。
あと一歩、古橋さんを信じる気持ちが足りずやっぱり楽な
自己犠牲に流れる柘榴ちゃん。

『恋と呼ぶには重すぎる何か』。
これ、愛というよりも 呪い ですよね。
古橋さんは女王の望み通りに生きて、女王のために絵を描き、
女王との再会を夢見て、いつまでも女王のしもべであるオフレンダのまま。
古橋さんの絵に描かれる柘榴ちゃんは、さながら遺影のようでもあり……。
古橋さんは生ける屍のように、表面上だけは笑顔で生きる。
果たしてこれが仕合わせなのか、それとも、これも仕合わせなのか。
自分の死によって古橋さんを永劫に呪ったことにも気付かず、
匣に入ってしまった柘榴ちゃんのエゴが際立つエンディングでした。
なにせ、自己犠牲を詰る日之世さんを完全スルーですからね……。
日之世さんは妹と引き換えた命を是が非でも無駄にはできません。
もうヤケクソになって悪意をもって生を楽しむしか彼には道が残されていない。
話を戻します。

歪愛グッドはまさに古橋さんをお気に入りのおもちゃのように
愛する柘榴ちゃんが描かれます。
彼女は一体、古橋さんの話をなんだと思って聞いていたのか。
聞いてなかったというか、単にどうでもいいんでしょうね。
古橋さんを理解する気持ちなんてなかったんでしょう。
あのときの柘榴ちゃんは、古橋さんに求められた喜びに打ち震えるばかりで。

あれほど嗜血症を厭い、嗜血症による罪に苛まれ、
贖罪を願い、過失による罪を懺悔していた古橋さん。
彼はいざというときは自分をお菓子にしてほしいという約束までして、
犯した罪の責任を取ろうとしてたのに。

柘榴ちゃんは古橋さんの心に寄り添っていないため、
古橋さんが自分を大切に想っている、ということが理解できません。
血に飢える古橋さんに、よりにもよって自分の姿をした菓子人形を与え続け、
「バレなきゃいいよね」と無駄に苦しめる。
こう書くと本当に酷いことしてるなとしか……

イエスの奇跡、復活、昇天(現実に帰る)が一連の深愛ルートだとすれば
最後の晩餐、キリストの磔刑、昇天(言葉通り)に相当するのが
歪愛ルートかなと思いました。

血の晩餐を強要し、それが古橋さんのためだと無邪気に信じ。
それでも古橋さんは(愛を)裏切ったユダでもある柘榴ちゃんを決して責めない。
弟に代わる存在はいない、というのはかなり優しい解釈です。

歪愛グッドでは、古橋さんは柘榴ちゃんの真意に気づけず、
いや気づいていてそれでも柘榴ちゃんを求める気持ちに抗えない。
ケイファさんとガートさんの物言いたげな様子が虚しい。
ケイファさんの顔に嫌悪感がないのは、彼にもまた、
愛するなにかのために悪魔になる気持ちがよく分かるからでしょう。
だから責められない。
むろん、ケイファに助けられて一緒にいられ、言葉も交わせることに
喜びと幸福を見出しているであろうガートも。

イエスがパンと葡萄酒を自分の血と体に見立てて弟子に与えたように、
柘榴ちゃんは古橋さんに血を与える……。
背徳的でありながらも、薄暗い愛が印象的なルートでした。
愛のためにほかの全てを犠牲にする、古橋さんが
最も呪うであろう結末を、愛のために受け入れるさまが哀れでならない。

続いて歪愛バッド。
イエスがパンと葡萄酒を自分の血と体に見立てて弟子に与えたように、
愛の証明のために、自分の身体をお菓子に変えるよう願う古橋さん。
神の愛(博愛)を象徴する場面を、愛欲を象徴する場面に
変える趣味の悪さは、悪魔的でとても良いですね。
捕食者と被食者が逆転し、古橋さんを喰らう喜びを覚え、
完全なるスイートクラウンになってしまう柘榴ちゃん。
このエグさと粘ついたような、胸焼けするような甘さのある愛が
とてもこの二人の関係を表しているように思いました。

ホットチョコレートを作ってくれた古橋さんに惹かれて始まった恋が、
古橋さんをガトーショコラに変えて終焉を迎える。
この作品らしい、虚しさと絶望感のあるエンディングでした。
コメント
前回の暖かなお返事有難うございます!!*・゜゚・*:.。..。.:*(*゚▽゚*)*:.。. .。.:*・゜゚・*

大樹さんのブログを拝読し、スイクラのえげつなさを再認識しております\(^o^)/

自蝕はルートによって、???となりましたw
仕組みがなかなかに分かりにくいです。
頭を使えということですね!(Head☆バン)

物語も終盤、いよいよ真相ルートですね。
大樹さんが、この物語にどんな感想を抱くのか
今からとてもワクワクしております!
いってらっしゃいませ!
  • 名無し
  • 2015/11/09 8:20 AM
名無しさん、こんにちは(*´∀`*) ありがとうございます!
スイクラ、なかなかエッジの効いた作品ですね!

自喰は本当、ルールがわかりづらいのは間違いないです。
悪魔のほうも意図的に情報を伏せるので混乱しますよね。
それを狙っているのかもしれませんが……。

真相編、プレイするのが少し恐いですが勇気を出していってきます……!
  • 大樹@管理人
  • 2015/11/10 7:28 PM
シュタ( ̄^ ̄)ゞ
  • 名無し
  • 2015/11/11 3:50 AM
コメントする








    

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