ソウル・サクリファイス デルタ プレイ感想2

  • 2016.09.06 Tuesday
  • 19:28
SOUL SACRIFICE DELTA (ソウル・サクリファイス デルタ) PlayStation Vita the Best


無事にストーリー本編をクリアしました。面白かった!

以下ネタバレ感想。
この作品には、人型魔物だけでなく下級魔物や場所の由来に至るまで
それぞれの逸話が残されており、どれも読み応えがあります。
ただの変態からかなり重い過去を背負った魔物までさまざま。
中には介護に疲れた家族に捨てられた痴呆の老人が魔物化するという
とんでもなく重い話もあり。

しかし、その数々の鬱な逸話の中でも特にやるせないと感じたのは魔物「ハーメルンの笛吹き男」。
「ハーメルンの笛吹き男」が、世界を呪って恨んで魔物化していたほうが
まだ後味は良かったような気さえする。
魔物「ハーメルンの笛吹き男」になる前の男は、自分と似ている(と彼が思った)
いじめられっ子の子どもを庇うために、まったくの冤罪にも関わらず
罪を引き受けて魔物化します。
でも実のところ、その子どもは不遇な状況に負けて罪を犯してしまったけど、
彼はどれだけ辛い状況でも悪に落ちずこれまで生きてきてるので、
似ているようでまったく異なるのです。
どんなに不幸だったとしても希望を失わなかった。
それなのに他人の罪を引き受けて魔物化してしまうのが辛すぎて、
読んだときもそうですし、「ハーメルンの笛吹き男」を倒すときも落ち込みました。

あと魔法使いの逸話の、「変身突進魔法はダサい」っていう逸話は笑う。分かる。
自分も序盤は変身突進魔法の世話になりました。でも魔神召喚とかのほうが格好良いのは否めない。


ボーマン

リオネス、バーソレープなどの過去も見応えがありますが、
私はボーマンがかなり好きです。
キャラの中ではエレインも好きですが、ソルサクの中では一二を争うレベルで好きです。
弟妹たちがみなボーマンに心酔する理由にも説得力があります。

彼の優しさは強さに裏打ちされている。
優しさと冷酷さは、強さと弱さとは別軸の基準にある、というのがリアルでした。
強さのない優しさは、ただただ弱い。
弱いから、より強い力に蹂躙されてしまう。
強いか弱いかという実力を図るときに、優しいか冷酷かは関係がない。

だからボーマンは強くなった。したたかに、狡猾になった。
彼の信じる正義を、彼の信じる優しさを実践し続けるために。

人を助けよう、人を救済しようとすると、必ずといっていいほど
弱さの壁にぶち当たる、人間世界の真理を体現しているように思えます。
あとボーマンは、「『優しい人である』という印象を与えるための優しさ」か、
「真の意味で人を助けるための優しさ」かに、かなり明確に区別をつけているのも
好ましく思いました。
人間が行動を起こす原動力のひとつとして怒りの感情がありますが、
ボーマンは怒りの方面には走らなかったのも、器の大きさを感じます。
彼の中には「貧しさ」という病への怒りがありますが、それを人には向けないのです。
言葉で言うのは簡単ですが、それを実際にやるのは至難の業だと思います。
彼は世間に「良い人」の印象を与えることを捨てました。真の意味で優しくあり続けるために。
ボーマンの優しさを、正義を貫き通すのは修羅の道です。
そのための力を手に入れ、ときには狡猾に悪人を利用する根性は純粋に頼もしい。


パーシヴァル

母の導きによって騎士となるパーシヴァル卿の逸話をモチーフにしています。
なにげにお気に入りで、所属がアヴァロンで戦うときはマーリンと一緒に
よく使っています。おかげで信頼度はA。
死にかけると真っ先に助けに来てくれるのがパーシヴァルです。
マーリンは敵をひきつけていることが多いので、こんなところでも
性格が出るのかなあと思うと微笑ましい。

母の振る舞いの解釈は優しいなあと思いましたが、でもそのまま
パーシヴァルが母と一緒にいても未来はなかったわけで……。
パーシヴァルがもう少し人と触れ合って、情緒を学べば……と思うのですが
世界のあれこれを思うと……そんな暇はなかったのかな……。


ガウェイン

ガウェインは格好良いし、「アーサー王物語」でも醜い女ラグネルと結婚してるので
そんなガウェイン卿のエピソードをうまく料理したように思いました。
ところで『ガウェイン卿とラグネルの結婚』の逸話では興味深い謎かけを
投げかけられたアーサー王が、答えを探します。

「世の中の婦人の望むことはなにか」

アーサー王には分かりません。あれこれ聞きまわっても答えを見つけられず。
そのため、最終的に呪いによって醜くなったラグネルから交換条件で答えを引き出します。

答えは「自分の意思を持つこと」

アーサー王はラグネルからのアドバイスのおかげで見事に問答に正解。
そのエピソードを聞いたガウェインはラグネルとの結婚を決めただけでなく、
その後も正直に気持ちを訴えて彼女に向き合い、そして本当に彼女の意志を
尊重したおかげでラグネルの呪いが解ける、という話で、
ガウェイン卿の格好良さはうなぎのぼりです。
ソルサクデルタでもガウェインはガウェイン卿に匹敵する格好良さを発揮します。
安易に呪いが解けないのはいかにもソルサクらしい。


ランスロット

「アーサー王物語」でも王妃グウィネヴィアとの悲恋で有名なランスロットさん。
悲恋といえばランスロット。ランスロットといえば悲恋。そんな公式が成り立ちます。
まあやってることは主君の女を寝取ったってだけなんですが。
ところで「アーサー王物語」でも公式イケメンのランスロットさんですが、
彼は気のない女性に対しては決して心やさしいタイプではありません。
グウィネヴィアもそうなのですが、興味のない女性に対してはかなり冷たいです。
ランスロットもグウィネヴィアも、彼らがやさしくできるのは
お互いにだけ、つまり好意をもった相手に対してだけではないかと密かに思っています。

ソルサクでも「アーサー王物語」でも一貫して同じ感想なのですが、
彼は、優しいというよりは、弱い男なんだと思う。

一応、絶世の美男子という設定のはずですが今作ではそうでもありません。
恋と忠義の間で揺れ動いた挙句に両方を失ってしまう悲劇の騎士ということで
人気があるランスロットさんですが、私は原作でもソルサクでも
ランスロットさんにあまり興味が……ない……。
関わりたくないとすら思う。

なぜなら、この手のタイプの人間は、けじめをつけられなかったことで
生じたツケを周りに支払わせる傾向にあるからです。
なにせ選択できないから状況に流されるだけになりがちです。
非常に人間らしい優柔不断さだとは感じます。

しかも本人はそのことに気づかず「自分はなんて可哀想なんだ」
大した行動も起こさないまま自分の悲劇に酔って
結局なにもせず、尻ぬぐいは周囲の人間にさせます。
特にランスロットの場合、ランスロットを愛する者がツケを代わりに払うことに……。
ソルサクではけじめをつけなかったばっかりにグウィネヴィアは命を落としました。
つーかなんでけじめをつけずに逃げられると思ったんですかね?理解できない。
ランスロットの復讐は王に対してのものなんだから、王への復讐を遂げてから
グウィネヴィアと幸福になるのはダメだったのかなあ。

そんなにグウィネヴィアが好きで、王を殺すのも嫌で、
名誉を汚されるのも嫌で、さらに自分たちだけ幸せになりたいなら、
憎悪を餌にして呼び込んだ仲間を全員、罠にでもかけて始末するか、
土下座でもなんでもして許してもらうか、
愛を諦めて復讐を完遂するか、選べる道はさほどないように思えます。
ランスロットはどれも選ばなかったので、愛も信頼もすべてを失いました。
ここは「アーサー王物語」のランスロットを踏襲していますね。

とはいえ原作ではアーサー王も諸侯が一斉にモルドレッド派になったことから
王としての采配に疑問を抱かざるを得ない。
グウィネヴィアもランスロットにすり寄った女に残酷だし、
ランスロットはランスロットで興味のない女には冷酷なので
正直、三者揃って自業自得では、という感想しか浮かびません。

忠義と恋情、どちらも選べない、というのは、
「動いたことで生じる結果が恐いのでなにもしません」
ということに他なりません。
問題を放置しても、物理的に距離を取るつもりがないなら
問題はそこにあるままなので……
その責任を知っていて、それでも責任を取る覚悟なら、
それはそれでいいのですが。

ソルサクのランスロットさんは、仲間の憎悪を煽り、
復讐を餌に仲間を誘った挙句、筋を通さなかったのが痛い。
ランスロットと共に復讐を夢見た仲間がやや気の毒に感じます。
復讐というからには、彼らは大事な人の仇討ちをしたかったはずです。
それを自分だけは満たされたから「復讐やめよ」ってのは
あんまりだと思います。ぶん殴られる覚悟で頭ぐらい下げようぜ……。
さんざん期待させた挙句に他人の復讐を放置した結果、
ランスロットが代償として大事な人を失う、というのは
釣り合いが取れているといえますね。
女運がないところはいかにもランスロットさんらしくはあるけれど。

そこで恨まずに追手から逃げ回る日々を甘んじて受けているあたりは、
それがランスロットなりのけじめではあると思いました。


ディンドラン

話を読んでいるときから「これ二次被害あるんじゃ……」と思っていたら
ガラハッド編でちゃんと回収してくれました。
ディンドランさんの判断はかなり正確だと思いますが
一概に正義だとは言い切れないやり方が、アヴァロンらしくはあります。


ガラハッド

本物のクズじゃん……。

聖杯を見つける逸話はその通りですが、「アーサー王物語」では
最も穢れない騎士とされてるのに、ソルサクデルタでは罪にまみれているのが
皮肉でいいですね。アヴァロンから見れば、魔法使いの掟に忠実ではあるので
「最も穢れない」に該当するとは思いますが。

ところでソルサクのガラハッドが想いを寄せたシャルロットは、
「アーサー王物語」では「THE LADY OF SHALOTT」、
「シャロットの乙女」という逸話があります。
テニスンが有名ですね。
シャロットは外の世界を見ると死ぬ、という呪いにかけられ、塔に幽閉されています。
なのでシャロットは鏡越しにしか外を見られません。
にも関わらず、川のほとりで歌う麗しいランスロット卿を鏡で見たときに、
直接見たいという気持ちに負けてその目で見てしまい、
呪いを受けて死ぬという話です。ランスロット卿はここでも誰かを不幸にしてんのかよ。
シャルロット(ソルサク)のほうもその逸話に負けない不遇ぶりでした。

欲によって、ついには壊れていくシャルロット。
ソルサクのガラハッド編でも、シャルロットが死んだ後にちょっとだけ報われたと
言えなくもないのが、シャロットの乙女の逸話を思わせます。


死神

かの有名なトリスタンとイゾルデ。
イゾルデにとっては仇でもある騎士トリスタンとイゾルデの悲劇の愛。
まず「トリスタン」という名前からして「悲しみ」という意味なので
バッドエンドしか見えません。
ちなみに「イゾルデ」は「美しい」「澄み切ってきれいな」の他に
「氷」「闘争」という意味があるとか。ソースはこちら と こちら と こちら
ソルサクでもその流れを汲んでいます。
私のような怠惰な人間から見るともうめんどくさいので
ぜんぶイゾルデにバラして愛するイゾルデに裁いてもらえやって思いました。
だってイゾルデがトリスタンを愛したのはイゾルデの心なのだから、
そこまでトリスタンが責任を持とうとするのはやや傲慢なようにも見える。

この話ではトリスタンの本命である『金の髪のイゾルデ』と『白い手のイゾルデ』は
どちらも同じイゾルデが二つの役割を背負っています。
そのため訳も分からないまま、いつまで経ってもトリスタンが自分に触れてくれない、と
悩む羽目になるであろうイゾルデがやや気の毒に感じる。彼女はなにも悪くない。
イゾルデが真実を受け入れられるかは分からないけど、少なくとも真実を知る権利はある。
それを勝手にトリスタンがどうこう決めてしまうのは、どうなのかなあと思います。
ちょっと卑怯じゃないかという気持ちは否めない。それもまた、愛のなせる業ではあるのだけど。

とはいえ原作ではトリスタンがさんざん冷たくした「白い手のイゾルデ」が
嫉妬からトリスタンに嘘を吐いたことで、トリスタンは最後、
絶望の中で死ぬという末路を辿ります。
ゆえに、ソルサクでトリスタンがイゾルデに嘘を吐いたまま死のうとするのは、
対になってるのもしれません。

自分がイゾルデの立場だったら、まず間違いなく「早く言えよ」の一言に尽きる。
そういう大事なことはさあ!!!! 恋に落ちる前に!!! 言えよ!!!
お前イゾルデに嫌われるのが恐くてとっさに隠したんだろ!!!
そういうところがさあ!! いちいち卑怯なんだよ!!

原作では、トリスタンは「白い手のイゾルデ」と
「本命イゾルデと同名だから」という理由だけで結婚します。
結婚したくせにウジウジと本命である「金髪のイゾルデ」への未練を断ち切れない。
そのため妻として迎えた「白い手のイゾルデ」にその後は触れもしないという
なかなかのクズぶりを発揮しているので、卑怯さはトリスタンさんらしくはある。
トリスタンは「白い手のイゾルデ」の人生をなんだと思っているのか。
というか、アーサー王物語に出てくるキャラは基本うっすらクズ要素があります。
古典だから、歴史的背景から見て女性の地位が低く仕方ない面はありますが。
それを思うと、アーサー王物語の当時、地位の低い女のために主君との忠誠と
天秤にかけて思い悩んだからランスロットさんは地位の低い女如きのために
心を砕く騎士の中の騎士であり悲劇のイケメン扱いされてるんじゃ……と
おっとこれ以上考えるとドツボにはまるので、良い子のみんなは考えるのはやめようね!
宇宙は広いからね!(困ったら宇宙をオチにすればいいと思ってる)

他のキャラや本編シナリオについてはまたそのうち。
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