ヴェスタリアサーガ1 〜12章までの感想

  • 2016.09.16 Friday
  • 19:16



ファイアーエムブレムシリーズのトラキア776までを手がけた
加賀昭三氏を中心とした有志メンバーによる同人フリーゲーム。

硬派で重厚な戦記もの。
戦記としてのシナリオを求める方へ特におすすめ。
人間ドラマとしても大満足の、プロの仕事を感じさせる素晴らしい内容です。

シナリオだけでなくSRPGとしても面白い。
マップのギミックも凝っていて飽きが来ません。
刻々と戦況が変わっていくため、なにが起こるか分からない戦争のハラハラ感を味わえます。
ユニットがロストした際には普通に死んでしまうので、1ターンごとの緊張感が半端ない。
それだけにクリアしたときの達成感は大きいです。

難易度は通常モード(高難易度、リセットなしでのクリアは不可能とのこと)と救済モードの二つ。
自信がなければ救済モード一択です。
序盤のマップで「なんだヌルゲーじゃん」などと舐めていると後で痛い目を見ます。
5ターンごとのセーブがとてもありがたい。ないと多分クリアできません。

財布を開けて待ち構えているファンを軽くいなす加賀御大がCOOL。

以下ネタバレ感想。


第12章外伝までプレイしました。

一文一文、なにげないセリフにもかなりの情報量を詰め込んでくるので気が抜けません。
例えば、シーゼルとゼイドの遠慮のないやり取りから二人の仲の良さを表現しつつ、
ベネキアと周辺の村人たちとの軋轢の経緯を説明するので、
集中してテキストを読まねばいけない感じが心地良い。
また、心情の変化に無理がないのが良いです。物語に没頭できます。

攻略が難しいので、使えるユニットにはどんどん入れ込んでしまいます。
上級職だからなのですが、ザイードさん強い。格好良い。
あとシーラとの関係性が可愛い。
トロイさんも強くて爽やかで格好良いです。

五章のボスが強くてゼイドのHPが残り4になってしまい
またリセットかと思いきや運良く避けて止めを刺してくれたときの
自分の中での盛り上がりが半端ない。
どうにか元老院議員に犠牲を出さずに済みました。
他にも、クラル山道で間違えてセーブしたために10ターンで詰んでしまい、
ベネキア戦25ターン目からやり直したのもいい思い出。

王都攻略ではオルダムの娘サラと恋人の人が別の場所で進路を塞ぐように
倉庫の番をしていて、攻略を容易にする&金塊が目的の場合には
どちらかを殺さなければなりません。
特にイベントはないのですが、こういうモブキャラにもドラマを持たせるのは好きです。
最初は二人を殺さずに王都を突破しようとしたのですが返り討ちに合ったので
仕方なく、恋人の男のほうを殺しました。斧娘三人衆はスルーした。

また、メレダにも落ち度があるところを描いたのは深みが出て良かった。


ゼイド公子とアトル王女

アトル王女は属国(公爵の治める公国)の公爵の息子であるゼイドにとっては
主君であり、尊敬する兄の婚約者にあたります。
まず、主人公のゼイド公子がヒロインのアトル王女と
軽く打ち解けるだけで半年かかってるのが硬派です。
確か六ヶ月って書いてあった気がしたけど、クラル山道攻略時点で
「国を出て四ヶ月」と記載されているため、ゼイド公子とアトル王女は
国を出る二ヶ月前に初めて顔を合わせた、という認識でいいのかな。
違ってたらすみません。

どうやらこの間、事務的な会話以外にほぼ言葉を交わさなかった様子。
見かねた軍師に諌められてゼイド公子が折れた感じなので、
誰かが言わなければこの断崖絶壁の距離感がずっと続いたんだろうな……
アトル王女も良い子なので、遠慮してしまうという……。
彼女は回復役なので大いに役立っているのですが、戦闘力がないために
護られる立場であることを負い目に感じています。
騎士としては主君なので軽々しく近寄ることもできず、ガーラン卿が諌めるまで
ずっと孤独に耐えていたのだと思うと涙ぐましい。

神殿騎士のエイルとルビナが入ればもう少しアトル王女の心を気遣ってくれて
気も楽になったでしょうが、二人が入るのは結構先です。
そしてゼイドはあまりそういう気が回らないタイプという……。
(彼も必死なので他人を気遣う余裕がなかったのですが)
しかし、アトル王女からすれば慣れぬ男所帯で過酷な旅が続き、
さらにゼクスの生死も不明となると、心労は相当なものだよなあとしみじみ。

アトル王女は兄貴の婚約者でさらに格上の相手となると
真面目なゼイド公子は肩に力が入っちゃうんだろうな。
そういうきちっとしたところは好ましいですが、
さすがにアトル王女が可哀想なのでガーラン卿はナイスフォローでした。

ゼクスへのほのかな思慕もかわいい。
そのアトル王女の気持ちが徐々に変わっていき、12章の祝賀会では
かなりゼイドに心を傾けているようなのが微笑ましい。

兄貴のゼクスさんも男前で格好良いです。
ゼクスさんも最初のあのエピソードだけで男気が伝わるから
その後の伝聞情報からもなんとなく人柄が想像できて、説得力があります。

ゼイド公子は、生真面目で正直な人ではあるのですが
良い子ちゃんというわけではなく、彼の中の正義に反した疑惑がある人には
なにげなく毒を吐くのが面白い。チェザル相手とかに(誤解でしたが)。
兄のゼクスの期待を背負い、責任感によって肩肘張っているのを見ると
応援したくなります。目元を和ませる程度の控えめな微笑もまた良し。
ゼイドの力量を疑っていたプロディに認められるエピソードにはほのぼの。
ボナセルさんは壁役として頼りになる。プロディはまだ成長途上。
鍛えたら強くなるはず……。


チェザル

お調子者に見せかけて冷静で現実的で、割と好きです。
彼は確実に責任持てることしかやりません。
チェザルの場合は自分を守るだけで精一杯でシーラを庇う余裕はない。
そういう値踏みの冷徹さは良い意味でも悪い意味でも大人だと感じました。
自分を過大評価も過小評価もしていない。
アトルと隣接させるとチェザルがたまに稼ぎをくれるのが微笑ましい。
このチェザルの稼ぎ、王都攻略戦で寄付をしなければならなかったときに
うっかり軍資金がなくなったため、相当に助かりました。
それにしてもチェザルが思わず心配してしまうぐらい
アトルの服はボロボロなんだろうか……。
まあ普通に考えたらアトルが可愛くて健気だからだと思いますが。


シーゼル

すごい重い過去を持っててびっくりした。
彼はゼイドの等身大の人間としての一面を見せてくれるキャラクターで
とても良い。ベアトリスとのやり取りもかわいい。


ガーラン卿

割とずばずばものを言う軍師のガーラン卿が格好良いです。
彼は人の心を読んで戦略を立てるタイプの軍師のようで、
気が利かないゼイド公子のフォローをしたり、立場上
言い返せないゼイド公子の代わりに言い返してくれたりするので
好感度がうなぎのぼりです。格好良い。

特に、シルティン王子の出撃に関する軍議の場で
「この程度の戦闘で命を落とすならジスカール公が王になられたほうがいいのでは?
 そのほうが民にとっても幸せです」
には笑った。格好良い。それみんなが思ってた。
このセリフですが、その前にシルティン王子がゼイドを侮辱しているのです。
王女を守るために、騎士団と共にやむなく祖国を離れなければならなかったゼイドを
「逃げ出した臆病者」呼ばわりします。
ゼイドは特に言い返しませんでしたが、ガーラン卿はかなり腹に据えかねたと見た。
シルティンの迂闊なところは、ゼイドを侮辱するのは一緒に逃げたアトル王女や
ガーラン卿を始め、行動を共にする騎士団の面々を全員侮辱してるのと同じだと
気づかなかったことでしょう。

リティアとタリスの関係も早々に見抜いて、わざとリティアの前で
タリスの鞭打ちを命じる意地の悪さも好きですね。
密かに手加減するように命じている思いやりも含めて。


シルティン

彼の気持ちは分かる。たぶんノベルゲームだったらもっと冷静に見られたかもしれない。
シルティンは功を焦って単騎特攻した挙句に敵に囲まれてしまうのですが、
これを戦争中のSRPGでやらかされると本気でイライラしました。
お前こっちは必死なんだよ。見捨てたろか、と思った。
(協力を仰ぎたい国の要人なので救出に行かないといけない……)

彼の父は暴政を強いた末に殺されています。
そのため、王になると父と同じ愚王になるのではないか、という疑念が消えずに
自信がなくなっているのです。その自信のなさがコンプレックスにつながります。
自信がないから自分の判断力を信じられなくて、自分の頭で考えられず
うわさなど他人の言うことばかり真に受けてしまう。そして叱責される悪循環。
なのに叔父ジスカールはシルティンを王座につけようとしている。
叔父の期待が重く、叔父に認められたいけど、自分は父のような愚王になるのではないか、
それなら王にならないほうがいいのではないかという気持ちも消えない。
さらにジスカールが手放しに褒めるゼイドを妬んでしまうというジレンマ。
王国を取り戻した後は吹っ切れたようで自信も回復し、成長が見られてなにより。

最初に村人を助けに行こうとするシーンがあるので、
本当は心やさしい人物だというのは伝わります。
あとは素性の知れない叔母に敬意を払っているところから、
身分で差別しない人なのは分かる。
人は自分と同じ欠点を持つ人を過剰に憎んだりしますから、
彼は立場に縛られて動けない自分自身を臆病者だと
感じてしまっていたのやもしれない。

「ホエルンにやきもちを焼かせたいのです」では、シルティンも
うすうすホエルンの好意に気づいてはいたようで。
その後、無自覚のホエルンに意図せずやり返されたのには笑う。
ゼイドとも普通に友だちになれたようで良かった。
アイネリアの素性が分かってなんとも言えない。
そしてここでも気づかないあたりシルティンはやはり鈍いのでは。
アイネリアさんは設定もそうですがグラフィックも本当に美人で、
ジークフリートが見惚れるのもむべなるかな。


ホエルン

国と男の都合に振り回される女の悲哀を描きながら、
彼女がただの女の子で終わらなかったのは好印象。
アトルと勝手に出かけた際にはひやっとしたけど、頑張った。
みずからの手で居場所をつかみ取る頼もしさを見せたところが好きです。
シルティンへのツンツンな態度も笑みを誘われるし、祝賀会での
アコルトのやり取りは本当にかわいい。
エルヴァも好きです。ホエルンの気持ちがシルティンにあるのが分かっていて
自分からダンスに誘うようなところも好きです。
彼は聡い人なので、いろいろ分かってやってると見た。


デューン

村人その1みたいな感じですがイベントも多くドラマティックな
過去を持つデューン。アリシャへの思慕もかわいい。
今後も活躍しそう。リリアとアッシュは可愛い。少女漫画感ある。


アリシャ

やさしさが仇になってしまうシスターアリシャ。
今後が気になります。


ハルディア

鍛えたら化けたユニット。なかなか強い。
ラヴィニアとの台詞を見るためにリティアで叱咤激励しながら動かしたのですが
リティアにたじたじになっているであろうハルディアを想像すると面白い。
踏んだり蹴ったりな感じですが、報われるといいね。


メルディ

気を抜くとすぐに死んじゃうユニットというイメージが強い。
騎馬だからあちこちに動かして、孤立させちゃうのが悪いのですが。
メルディのためのリセットは、イーグルライダーのルビナと並んでかなり多い。


クリアまでたぶん折り返し地点かな?
のんびり楽しもうと思います。
とても面白いので、いつまでもプレイしていたい。
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