囚われのパルマ ハルト編 クリア感想

  • 2016.10.11 Tuesday
  • 00:11
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まだ一周してない人は見ないほうがよいですよ!
一応攻略っぽいことも書いていますので参考になれば。

以下ネタバレ感想。
無事にエンディングコンプリートしました!
エンディング分岐があるなんて聞いてなかったので嬉しい誤算でした!
ありがとうございます!

三択の選択肢でそれぞれ違うのを選んでいたので、
三周してもさほど苦ではありませんでした。
なによりハルトさんが本当に可愛いので……
なんとなく認めるのが悔しかったのですがハルトさんは本当に可愛い。
めんどくさい質問や絡みに対しても、彼は回答にそつがない。
人との関わりがなかったはずなのにきめ細やかな反応ができるのはご愛嬌。

攻略について、選択肢は主に過去/現在/未来と方向性があります。
それぞれ主人公がどの方向を見てものを言っているかを意識しながら
選ぶといいでしょう。
SABOTでの会話やモブとのやり取りは性格診断の意味合いが強いです。
そのためエンディング分岐は面会時での選択になります。
エンディング1とエンディング3で同じ性格になっても
エンディングは変わりましたので、性格診断は分岐には関係ありません。
(確か制作陣がインタビューでもそのような回答をしていた模様です)

また、自分は延長面会をほとんど買ってなくても全部見られたので、
エンディング分岐に延長面会は関係ありません。

ハルトの過去を気にする/記憶を探る系の選択肢はエンディング1、
現在を見るものや主語をハルトに置く、ハルトに委ねる系の選択肢はエンディング2、
ひたすら未来を信じる、これからを考えるような選択肢はエンディング3です。
心持ち迷うハルトを明るい未来へと引っ張っていくような感じですね。

どのエンディングにもそれぞれの良さがあります。
特に2と3は個人的な好みによって分かれるとは思いますが、
個人的な体感としては、エンディング3が最も糖度が高いと感じました。







***


以下、もろもろの感想。



物語の鍵となる「ベアトリーチェ」は、ダンテ「神曲」のベアトリーチェを
彷彿とさせますね。ベアトリーチェは「久遠の女性」とも呼ばれます。
その「愛しのベアトリーチェ」に「捧ぐ」、
極めつけには「アドニスの花に誓約を」。
アドニスの花言葉は「幸せを招く」の他に「悲しき思い出」というのもあり、
そこに頼まれてもいないのに誓約と来ていると、政木さんロマンチストというか、
つくづく気持ち悪い。後悔と罪悪感によるものと分かっていても気持ち悪い。
しかも当の本人にはまったく相手にされてなかったという……。
アドニスはペルセポネーとアフロディーテから取り合いをされた美少年の名です。
最後にはアフロディーテの恋人である軍神アレスにペルセポネーが告げ口をして、
腹を立てた軍神アレスが猪に姿を変えてアドニスを殺します。
ちなみにアネモネは死んだ美少年アドニスの血から咲いた花です。


最終的に、延長面会はエピソード6の第三面会と
エピソード5の第二面会を購入しました。
メモリアル面会は雑誌のやり取りのやつを書いました。
ハルトさんがいちいち可愛くて困ります。
特に雑誌のやつはツボにはまりました。
スチルもどれもびっくりするぐらい美麗で、格の違いを感じました。


モブのキャラクターもみんないい味を出してました。
管理人さんの格好良さは異常だし、シンディーは良き友人でした。
他にもおばあさんとか、海にいるおじさんとか、雑貨屋のおじさんとか、
喫茶店のマスターに看守さんなど、それぞれの人柄と
人間味を感じさせるところがとても良かったです。
こういう土台がしっかりしているからこそ、ハルトとのやり取りが光る。
あと、まあどうでもいいのですが、中の人は猫派なんだろうなと思いました。


ハルトさんは、人間味を感じさせる自然さもありながら、
独特のキャラクターに仕上がっていたなあと感じます。
展開によってはちょっと拗ねてみたり、
監視中でも可愛い一面がいろいろあったり。
初期の好感度が低い状態でも割と優しくてときめく。
あとはなにより、好感度が高まった状態だと
即レスの上に返答が格段に甘くなるのはうれしい。
プレイヤーの性格によって返答が変わるのは面白いですね。
感情表現豊かなプレイヤーにはハルトさんも感情を見せるし、
理性的な回答ばっかりしてるとハルトさんもどこかきちんと感があるというか。
でも一貫してやさしいし、ハルトさんの人柄は変わってないのは、非常に良いと思いました。


今回、囚われのパルマをプレイしてみて、本当にすげーなと思いました。
出来の良さもさることながら、囚われのパルマの凄さは、
プレイヤーを「理解しようとする」姿勢だと思います。

完璧にとまでいかなくとも、可能な限りプレイヤーに
寄せようとする努力が伝わってきました。
従来の乙女ゲームでは、ゲームという媒体である以上、
どうしても制作陣が用意した課題をプレイヤーが乗り越える、という性質を帯びます。

つまり、プレイヤーが攻略対象を観察し、理解し、彼らの望む選択をする、
といった流れにならざるを得ない。

主人公をプレイヤーに寄せようとすると無個性主人公か
パラメータでの制御になりますが、それでも制作陣が想定している
「理想の主人公」像というのがあって、そこにプレイヤーが
自分を当てはめる、という形式が多いように思われるのです。

パラメータ系はやはり勉強も運動もできる才色兼備であったり。
パラメータによってキャラクターの好感度の上がり下がりが強く関係するために
どうしてもパラメータの高い完璧主人公になりやすい。

あるいは無個性主人公だと、ドラマCD的に、攻略対象からの一方通行な
コミュニケーションにならざるを得ないところがありました。
この場合は矛盾を発生させないためにプレイヤーが干渉できない。

だけど、囚われのパルマは心理学を用いた性格診断を
ゲーム中に取り入れ、なおかつ膨大な量のフラグ管理により
相互のコミュニケーションを可能にしている。

観察しているのはプレイヤーだけでなく、攻略対象であるハルトが
プレイヤーを観察し、人となりを把握し、距離を縮めてこようとする、
そのコミュニケーションがとても刺激的で新鮮に感じました。
本来コミュニケーションってこういうものなのだ、と思い出せてくれます。
現在/過去/未来でエンディングは分岐しますが、これはプレイヤーの
人となりというか、気持ちの方向性によるもので、人柄に強く関与しないのも
好ましく感じました。
公式にも書かれていた通り、攻略対象に好かれるために自分を演じる必要がない。
ハルトは主人公(プレイヤー)を観察し、好みを知り、そして覚えてくれる。
プレイヤーの性格を考慮して贈り物を考えてくれる。
それだけでなく、プレイヤーの性格を理解し、「君のこういうところが良い」と
訴えかけることまでしてくれる。
前に全肯定と書きましたが、ハルトさんはプレイヤーの好みを最大限に
尊重してくれていると感じます。

囚われのパルマは、「ありのままの自分が愛される」という、
決してニーズの途絶えることのない承認欲求に手間暇をかけて応えようとしている。
これは従来の乙女ゲームにはない価値観だったと思います。
大げさに言ってしまえば、乙女ゲームにおいて革命的な考え方だと感じました。
囚われのパルマには、そもそも好感度という概念がないのです。
好感度に相当するものは、言うなればハルトさんと顔を合わせた回数に比例します。
だから物語が進めばハルトさんの好感度は自動的に上がる。
そのため、選択肢を選ぶかパラメータを上げることによって
攻略対象の好感度を上げる必要がなくなる。
コミュニケーションそのものを楽しめる。
その上で主人公はハルトさんのためにあれこれ奔走しているので、
ハルトさんが好きになる理由として納得がいく。
それでも特定のエンディングを見たければ、規定の選択肢を選ぶ必要はありますが、
これは仕方ないと思います。異なる未来を選べるのはゲームの醍醐味でもありますし。

ゲームのほうがプレイヤーをもてなす、というのは最近の主流でした。
しかしそれだけでなく、プレイヤーを理解し、データを蓄積し、学習するかたちで、
ゲームがプレイヤーへ歩み寄っていく時代になったのだな、と。

今までの乙女ゲームは、プレイヤーが攻略対象に合わせて当たり前だった。
攻略対象に好かれるために努力をして当然であり、逆に好かれる努力もせずに
ちやほやされる個性的な主人公などは叩かれる傾向にあった(例:なぜ好かれるのか分からない)。

これはプレイヤー側に、好かれるためには努力をせねばならない、という
かなり強固な思い込みがあるからです。
言い換えれば、努力をしない者は好かれない、となります。
そして従来の「好かれる努力」とは、「相手の好む言動を取る」こと、または「相手に尽くすこと」だった。

しかし、囚われのパルマは、「好かれる努力」をコミュニケーションそのものに置き換えることで、
「好かれる努力」と「ありのままの自分が愛される」は両立する、と提示しました。
これは大きい。自分がすごいと思ったのはこの部分です。

更に囚われのパルマはゲームです。非現実です。
(現実世界でも、理由もなく好きになることはありますが置いておいて)
グロテスクなありのままの自分を押し付けても、ハルトさんはイデア的存在なので
現実世界の誰かに迷惑をかけるわけではありません。
ならばその非現実の世界でぐらい、「ありのままの自分」が愛されてもいいじゃないかと、
囚われのパルマはそういった新たな乙女ゲームを提供してくれたわけです。

ときに息苦しくなるぐらいガッチガチに保守的な乙女ゲーム界で、
まだ革新的なものを出せる余地があることは、プレイヤーとしてうれしく感じました。

とはいえ、囚われのパルマも選択肢を人が用意している分、
選択肢によっては不思議ちゃんになりがちだったり、
選択肢やシナリオの文章に独特の癖や粗が見受けられたりはします。
その意味で改善の余地はあるのかもしれません。

それでも、こういう方向性があるよ、と新たな道を示しただけでも
大きな意味のあることだと思いました。

また、プロットをかなりしっかり書かれたのではないかな、という印象を受けました。
それでいて想像性の余地を残しているので、堅実で、
プレイヤーへの誠意と情熱を感じられる、かなり優秀な作品だと思います。

アオイ編の配信も楽しみです。
ハルト編の残りの面会も、これから課金してしまうかもしれない……。
コメント
生活に影響が出過ぎるのでアプリゲーには手を出さないと決めていますが、このゲームの評価高いですね。乙女ゲーのヒロインが完璧超人か、顔無し個性無しか、不思議ちゃんになりがちなシステムへの考察に、激しく同意します。全く感情移入出来ないヒロインの一挙手一投足を延々と見せられる苦痛に耐えられない!このゲームのようにコミュニケーションがとれるならカウンセリングや占いに応用出来そう。VR技術はドンドン進歩するでしょうし、やる気の無いカウンセラーに30分五千円も払うくらいならゲームの素敵な殿方に癒してもらった方が良いとなるかも。
  • nobara
  • 2016/10/12 10:14 AM
言われてみれば、カウンセリングや占いにも活用できるシステムかもしれません。
いろんな可能性が感じられそうなので、今後に期待したいところです!
乙女ゲームの攻略対象には夢と希望が詰まってますね。
  • 大樹@管理人
  • 2016/10/13 5:45 PM
初めまして!薫風と申します。
最近パルマを始めて一気にクリアしまして、エンディング分岐に驚き、他のエンディングに行きつく方法を検索していた所こちらに辿り着きました。
この記事に書かれてる事すべてに頷きながら拝読いたしました。
私はあまり自分の思考を言葉にするのが得意な方ではないのですが、管理人さんが私の思ってる事をすべて言葉にしてくださった…!と感動して思わずコメントしてしまいました。
本当に、本当にそうですよね。囚われのパルマは今までになかった乙女ゲームだと思います。
すべてがこうなれば良いとは思いませんが、こういう形のゲームがこれからも世に出てくれると嬉しいなと思います。
それでは、突然のコメント失礼いたしました。
そして、この記事を書いてくださりありがとうございました。
  • 薫風
  • 2017/05/24 9:42 PM
薫風さん、初めまして!大樹と申します。
エンディング分岐、初見はびっくりしますよね!私も予想外でした。
そして記事に共感していただけたとのこと、とても嬉しいです。
囚われのパルマは新たな可能性を秘めたゲームだなあと思ったので、こういった形態の作品が出てくると、また乙女ゲームの世界が広がりを見せていきそうで今後が楽しみになりました。
いろいろなシステムの乙女ゲームがあってもいいと感じられますね。
こちらこそ、記事を読んでくれた上にコメントまでいただき、ありがとうございます。励みになります。
また気が向いたら、ぜひ遊びに来てくださいね。
  • 大樹@管理人
  • 2017/05/26 11:23 PM
記事、とても参考になりました。
考察も全てなるほど、と共感させられました。
ただひとつだけ気になったのですが、ゲーム中で出てくるのは「アドニスの花」ではなく、「アネモスの花」のようです。
  • めぐりずむ
  • 2019/02/27 11:22 AM
先日(2月27日)にコメントした者です。
「アドニスの花に誓約を」の台詞なのですが、4章で初めてハルトが口にした時は「アドニス」、6章では「アネモス」になっていました。
確認もせずにいきなりすみませんでした。
  • 2019/03/03 5:42 AM
コメントありがとうございます!
お返事が遅くなってしまい、大変申し訳ないです。
少しでも共感いただけた部分があったなら幸いです!
また、ご丁寧にありがとうございました。
よかったら、また遊びに来てくださいね。
  • 大樹@管理人
  • 2019/05/09 9:15 PM
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