Lifeline:クライシス・ライン 感想

  • 2017.02.12 Sunday
  • 22:49




クライムサスペンスアドベンチャーゲーム。
舞台はアメリカ、テキサス州オースティン。
主人公はアレックス・エスポジート刑事。
単品で遊べますが、「Lifeline2」の続編でもあるのでプレイしているとより楽しめます。
知らなくても進行上の問題はないかと。

一部SFファンタジー要素はありますが、起こる殺人事件そのものは
超常的な要因によるものではありません。
地道に聞き込みをして、証拠を集めて普通に捜査する展開だったのが好印象でした。
殺人の動機や手法も現実的なものです。

自分の端末に問題があるのか、通知がうまく来なくてなかなか話が進みませんでした。
他のシリーズは問題ないのですが……。

アレックスは、序盤でそれまでの彼を取り巻いていた世界、
信じていた常識をぶち壊されるような経験をします。
そのため、混乱した彼は一種の自己喪失に陥り、自分の判断力に自信をなくす羽目に。
プレイヤーはそんなアレックスの精神面の補佐と、実質的な捜査のパートナーの役割を果たします。

アレックスにもパートナーはいるのですが、序盤に起こるとある出来事のせいで
他の誰にも打ち明けることができなくなるのです。
最初だけ皮肉めいた調子で話すものの、その後は突っかかってくることもなく、
代わりにアレックスが少しずつ心を開いてくるのが嬉しい。

ところで、ブログを開設してから10年が経ちました。
いつも記事を読んでいただき、ありがとうございます。

以下ネタバレ感想。
初回は序盤、トラックから逃げ損ねるエンド。
次に廃屋で捕まるエンド、更にレダーの家の再調査で敵と遭遇エンド。
その後、ようやく犯人を捕まえることに成功しました。

刑事が素人に捜査情報を漏えいしていいものか、という部分がやや引っかかりました。
が、作中でプレイヤーがアレックスとコミュニケーションをしているアプリの
ヘルプボットの広告は、もともと警察署の掲示板に貼られていたものです。
そのため、まあギリギリセーフといったところでしょうか。
カウンセリングでも事件の話をすることはあるだろうし。

あとは、ローズデール・テラスのあのクロムクドリモドキは何だったのか、
そしてクリスタルはこの後どうなるのかなど、謎がいくつか残されたままなのも気になる。
クリスタルがどのように使われるかは「Lifeline2」で語られますが、
結局は緑の目の女の思い通りというのが……。
なにより、最後の最後であのエンディングはさすがにもやっとしました。
うーん、これは続編への布石かもしれません。

ローズデール・テラスの2階建ての家の中に3階、4階とあるのは
「Lifeline2」で時間の僧侶のいた場所と似た仕掛けのようにも思えます。
だとしたら鳥はなんでアレックスの味方をしてくれたのか……?
「ひとつは縦糸、ひとつは横糸」という言い方からして「ここは何なんだ」という
質問の答えにも思えますので、あの場所はローズデール・テラスの
クインセッテンス側の場所? などと考察してみてもなんか間違ってそうなので
大人しく続編を待つことにします。
あと、緑の目の女は「愛のなせる業」とか言ってたんですよね。
グリーンズ達に「愛」という感情があることが割と衝撃的だったので印象に残ってます。

他にベストエンドがあるのかと思って無駄に周回してしまいましたが、
エンディングは取調室のものが最良な模様。
開発者にメールで訊ねた人がいたようなので、間違いないはず。

捜査中、被害者のジェイソン・レダーに自分を重ね合わせながらも、
別の生き方を模索し始めていたアレックス。

孤独には「周りに誰も人がいない」という物理的な孤独と、
「周りにどれだけ人がいても孤独」という精神的な孤独があります。
物理的な孤独がやがて精神的な孤独を引き起こすのも珍しくありません。

ジェイソン・レダーもアレックスも、ろくでもない幼少期を過ごしてきて、
お世辞にも恵まれたとはいえない環境で生まれ育ちました。
それでも人を利用して生きてきたジェイソンと、
残された妹たちを守って生きてきたアレックスには決定的な違いがあります。

アレックスは精神的な孤独の中でも、傷ついた人の気持ちに寄り添おうとした。
恐らくは、そうすることで傷ついた自分をも癒やすため、無意識に。
しかし同時に、「弱いもの」に分類されることに強い抵抗感を覚えているとも作中で示されます。
これは「弱いもの」に分類されたアレックスを守るべき両親が、彼にはいないからでしょう。
それは庇護者のいないアレックスにとって死に直結します。

だから彼は生き残るために、アレックス曰く「赤信号で左折できる」ように、
いついかなるときでも緊急警戒モードで生きてこなければならなかった。
言うなれば、人を「自分に不利益をもたらす可能性のあるもの」と見なして生きてきた。

安全安心モードでいられた試しがないから、警戒モードの解除方法が分からない。
それが、プレイヤーとのやり取りを通して、緊急警戒モードでいることが、
つまり危険を避けるために孤独を選び続けることに疑問を覚えるようになるのは、
温かな気持ちになる良い展開でした。
人を揃って皆、「危険なもの」に分類する必要はないのではないか?
そう考え始めたであろうアレックスを応援したくなります。

「弱いもの」をどこかで見下す気持ちがあった、と語るアレックス。
人間はかつての自分、とりわけ過去の自分の欠点を直視することが難しい生き物です。
現在の自分が乗り越えた欠点は特に。
中にはそうしたものを目の当たりにすると怒りを覚える人もいます。
これは正確には、過去の自分への怒りを相手に投影してるのですね。

弱いものは無力で、生き残る力に欠けている。
面倒を見なくていいプレイヤーと話すのは楽だとアレックスは言います。
それは言い換えれば、面倒を見る必要のある妹たちの前では、
アレックスは彼女たちを不安にさせないよう、言葉を選ばなければならないことを意味する。
そう思うと切ないですね。
どこかで人を信じたがってるアレックスは、(人間的な)愛への憧れがあったのかもしれない。

人間って不思議なもので、人にしたことがそのまま自分に返ってくるというか、
他人にしていることが、実のところ自分に強く影響します。
これは、自分の行為の一番の観客は、他ならぬ自分自身だからです。

ジェイソンは愛を信じていなかった。むしろ憎んですらいた。
しかし人に対して感じの良い印象を与えるように振る舞うのが、
自分にとって大きな利益になるとも知っていました。
これは利己主義を突き詰めると、(自身の利益のため、結果的に)利他的行動を
取るようになる、というものです。

不幸な境遇にあったからといって人を虐め利用する行為を正当化することは出来ません。
そうした環境においても、アレックスのように、人を貶める行為をしない人間はいるからです。

犯人が嫌な奴なのは間違いないのですが、皮肉なことに、
犯人もまた見た目を取り繕って自己の優位性を誇示しようとする部類の人間です。
そのためジェイソンと犯人は、お互いのエゴによって喰い合い、身を滅ぼしたようにも見えました。

今回も面白かったですが、やっぱり最後はアレックスの元気なところが見たかった……。
コメント
♪縦の糸はあなた 横の糸は私
 織りなす布は いつか誰かを 暖めうるでしょう

 中島みゆき「糸」

 線と線が交わって面に、面が三次元の布になる。意識の広がりと人の温もりが伝わってきて、良い歌詞だなぁとノートにメモしていたのを思い出して、ひっぱりだして書き写しました。
 ふとそんなことを思ったんだ。

 自分の乗り越えたものを直視した時、私は怒りを覚える派です。返事に困ると思いますが、鬱を患って、なんやかやで克服したので、同じく鬱に陥って生き死にがどうのとか、将来と現在がぴったりくっついて過程が抜けちゃってる思考を見ると、そりゃいろいろあってこうなっちゃったんだっていう原因や理由、同情や優しくしたい気持ち、出来ることなら力になったりアドバイスを送ってやりたい気持ちももちろんありますが、心の片隅で「どうして気づかないんだ!」と憤ってもいます。
 自分が克服できたからって、様々なタイプがあるので、同じ方法でうまくいくとも限らないのもわかってはいるつもりですが。

 Xboxゲー一辺倒なので他のゲーム、とくにアプリはさっぱりですが、大樹さんは最近ライフラインシリーズがお気に入りですね!
 さりげなく10周年おめでとうございます。
  • あるへ
  • 2017/02/14 11:24 AM
おお、偶然にもよく似通っていますね!
中島みゆきの歌詞はこう、心にぐっと来る何かがありますよね。凄みといいますか。
本編でも空間と時間が織りなす、というような意味合いだったので(うろ覚え)、
編まれた糸というのは創造性を刺激するなにかがあるのかもしれません。

仰るとおり、若干コメントに困りました。
が、そもそも自分のブログでこんなコメントをしてしまったのが運の尽きだと思ってその点は諦めていただき、私の個人的な意見を述べさせてもらえれば幸いです。
上ではちょっと濁した書き方をしましたが、怒りを覚える派が圧倒的大多数だと思います。
コメントを拝見した限りでは、理屈で理解してても、感情が追いついていないようにお見受けしました。

これは私の予想ですが、過去の自分と同じ状況にある人を見ることで、鬱を患って苦しんだ記憶までも一緒に蘇ってしまうからこそ、過去の自分への怒りだけでなく、そのような苦しみを思い出させる相手に対して憤りを覚えてしまうのではないかな、と思いました。

ですのでいっそ、怒りを覚えたときには「あれは他人の課題だ。自分には関係ない」と心の中で突き放してみてはいかがでしょうか。

冷たく聞こえるかもしれませんが、私たちは神ではなく人間ですので、出来ることには限界があります。
同じ問題を抱えるすべての人に優しくすることは、そもそも不可能です。
人に優しくする余裕がないのであれば、何もしなくてもよいと思いますよ。
もちろん、だからといって人に迷惑をかけたり傷つけたりしてもよいという意味ではなく、最低限の礼儀を保ちつつ心理的に相手と距離を置いてみるのです。実際に距離を置いた姿を心の中でイメージしてみるのもいいかもしれません。

まずは他人に無関心になることを自分に許可してみると、心が楽になると思います。

もしも不愉快に感じたら申し訳ありません。
同意できない場合もあるかとお察ししますが、その場合もあるへさんの意見を尊重しますので、私の意見を押し付けるつもりはありません。

ライフラインシリーズ、ハマってしまいました。空き時間にちょこちょこ出来るのが便利でつい……。
が、もうそろそろ他のゲームの感想も書こうと思います。

そして、10周年へのお祝いのお言葉、ありがとうございます!
もしよろしければ、懲りずにまた覗いてくださると嬉しいです。
  • 大樹@管理人
  • 2017/02/14 9:07 PM
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