悠久のティアブレイド -Lost Chronicle- ロウ 感想

  • 2017.02.27 Monday
  • 22:59
悠久のティアブレイド -Lost Chronicle- - PS Vita


ロウルートの感想です。
人によっては地雷ルートになりかねないものでした。

仕上がりが悪いという意味ではありません。
シナリオの出来としては、盛り上がりどころもあって、良いほうだと思います。

今回も敵の攻略法が異なっている上、過去のなにげないやり取りが
伏線だったことが明らかになります。
ただ、展開の関係で致し方ない部分ではありますが、この作品は乙女ゲームですので、
恋愛過程の描写という意味では物足りないというのが正直なところです。

以下ネタバレ感想。
ロウという名の元ネタは、そのまま「Law」で問題なさそうです。
ヤジュルルート攻略後、タイトル画面で見られる演出が印象的。

さて、ロウルート。
実のところ、プレイ開始前からこのような内容になることは想定していました。
ロウがあれだけ過去イヴを求めており、更に長い歴史まであるので、
過去イヴありきのエンディングだろうと最初から分かっていました。が。
ルート終了後、個人的にはかなりのもやもやが残りました。
理由はいくつかあります。


(1)あの思わせぶりなセリフは何だったのか

「きっとこんな気持ちだったんだな、彼は。
 これは確かに、頭に来るなぁ……!」


上記のこれです。これ何だったんでしょうか。
トゥルーエンドかクレイドルルートで明らかになる可能性がありますので、
批判をするつもりではないですが。

ギル兄さんとガルガドさんの雑談、という細かい伏線を回収しておいて、
登場と共に出てきたこのセリフがロウルート終了後にも明らかにならないのはもやっとします。
まさかあれだけ丁寧に伏線を張っておいて、これが放置されることはないと思いたい。


(2)過去イヴの心境の変化がほとんど描かれていない

3000年の間に、過去イヴがロウを強く求めるようになったという解釈は充分に可能です。

しかし、これは検証ではなく感想記事ですので率直な気持ちを述べます。

過去イヴは3000年前の時点で、明らかに ギル兄さん > ロウ でした。

「ギル兄さんが行かないならシェルターには入りません!」とタンカを切り、
あの緊迫した状況下でロウを放置してギル兄さんを探しに行ったことからして明白です。

で、自分はロウルートで、ギル兄さんよりもロウのほうが大切になった、
その心境の変化が多少なりとも描かれるものだと思っていました。
しかしそういうイベントはほぼありません。過去イヴが復活してロウと再会するなり
「ずっと好きだった……」といきなり恋人ムードになってしまいます。
見ているこちらとしてはどうにも置いてけぼり感が否めず( ゚д゚)ポカーン。

一応、二人の出逢いがさらっと描かれはします。ロウの執着は理解できます。
ロウは最初から過去イヴが好きだったのがひしひしと伝わるからです。
しかし、過去イヴがロウを求めるのは、正直なりゆきだったように見えます。
ナノマシンを移植されたのがロウではない他の誰かだったとしても、
あの状況下では、過去イヴはその誰かを強く求めるのではないかと感じました。
無理もないですが……。

もうちょっと、せっかくのロウルートなので、ロウでなければいけない理由を見たかったです。


(3)擬似人類作成工場があるのに、なぜ過去イヴを復活できないのか

ハッピーエンドではいずれイヴを復活できる、という描かれ方だったので良しとします。
ただ、悲劇エンドでなぜ過去イヴを復活させなかったのか納得しがたい。
悲壮感を出すために敢えて過去イヴを復活させなかったように見えました。

悲劇エンドではクレイドルの中にイヴの人格データがあるはずなので、
生体コンピュータになんでもインストール出来る、という設定からして
それが実現不可能である理由がないように感じます。

ロウが死亡するのは、体内のナノマシンを地上の浄化のため
放出したのが原因だと分かりますが……。

正直、ロウなら地上の浄化ではなく過去イヴの復活を優先するように思えます。

そもそも彼はそのために3000年も頑張ってきたのではないのか?
それなのになんでいきなり世界救済の使命に目覚めたのか?

ここで過去イヴよりも世界を救済するほうを選ぶのであれば、
文明を発展させるために戦争を起こす、といった選択をしないように思われます。
一体どれだけの命を犠牲にして、どれだけの擬似人類に悲しみを負わせたのか。

擬似人類が命で、普通の人間と変わらないなら、「過去イヴ復活のため」という理由で
戦争を起こしたロウの所業を正当化することは出来ないのではないかと思います。
それともロウは神さまだから許されるのでしょうか。
それこそ命を軽く扱いすぎているのでは?
戦争が原因ですべてを失ったのに、目的のためにみずから戦争を起こしてしまうのは、
より罪深いように感じます。

この意味においては、己の罪を知っているヤジュルのほうがまだ理解できます。

無理やり良い方向に解釈するなら、過去イヴと束の間にでも再会できたことで、
ロウがアルカディアの洗脳から解けて「人類の指導者」の使命に目覚めた、という解釈も出来ます。
しかしこの解釈だったとしても、個人的な感想を述べるなら、欺瞞だと思います。

なんでもかんでもアルカディアと過去イヴの影響ありきで、
ちょっと情けないですし、この三千年で彼は一体なにを学んだのか、という点においては
首を傾げざるを得ない。



大まかに言えば、もやもやの理由は上記の三点です。
特に(2)と(3)はすげえ引っかかります。

ロウは過去イヴが復活した時点で精神が安定するのですが、
憑き物が取れたかのように普通になるのが、ロウらしくはあると思いました。

イヴの恋を叶える上で、ロウと過去イヴの犠牲が必要不可欠であるように、
ロウと過去イヴの恋を叶えるために、イヴの犠牲が必要である図式は理解できました。

けれど、自分は過去イヴよりイヴのほうが好きでした。
今まで主人公はイヴで、ずっとイヴを見守ってきて、イヴの行く末を気がかりにしてきたのに、
いきなり過去イヴが主人公に取って代わるのは、理解していても抵抗感があります。
あまり過去イヴを好きになれなかったところも痛い。

だから急に「過去イヴとロウの恋が叶ったよ!良かったね!」と言われても
ものすごく微妙な気持ちです。
傍観者である自分がこれだけもやもやするとなると、実際に
イヴと友だちになったシュドとアタルヴァは相当に複雑な気持ちなのでは?
とてもじゃないが言い出せない雰囲気だろうけど……。

たぶん(2)のせいで、過去イヴに対してあまり良い印象を抱けないのだと思う。
敵が間近に迫っているときにロウを置いていった点が、
それはもうめちゃくちゃ引っかかりますね。
ですのでその後、ロウと会えずに彼女が長く苦しむ羽目に陥るのは、自業自得ともいえます。
少なくとも、あのとき二人で脱出艇に乗り込んで撃墜されていれば、
一緒に眠ることは出来ただろうからです。二度と目覚めないかもしれませんが。
ただこの未来だと、イヴは生まれなかった、というのが皮肉ではあります。
まあそもそも、なぜ人類の指導者なんていう重要な立ち位置の二人なのに、
ネオスフィアに乗り込むのがギリギリになったのか、という根本的な問題もあります。

もう一点付け加えるとするなら、過去イヴは騎士たちの遺言を聞いたのか、という部分です。
騎士たちの遺言に思い至らなかった、そのためあそこまで追い詰められた解釈も可能です。

しかし、考える時間だけは腐るほどある状態で遺言媒体についてすっかり忘れるのは、
「過去を忘れることができないため記憶のオーバーフローが起こる」という設定と矛盾します。

そのため、最も合理的な説明は「騎士たちの遺言を聞いた上で、
それでもなお追い詰められた」というものです。
あるいは、イヴのようにネオスフィアを楽しむ余裕を持てなかったから、
過去イヴは遺言媒体を見つけることができなかった、という解釈も出来ますね。

あれだけ愛されてた過去イヴが、いきなりあのような状況になれば、正気を失うのも分かります。
しかし、それと好感を抱くかという点は別というか……。
エルゼの遺言が「必ず生きなければならない」といった呪いにならなかったのは救いでした。
しかしイヴの前に姿を現さなかったのは、過去イヴへの義理立てだったのかもしれないけど
正直ちょっと残念でした。まあ盛り上げどころまで取っておいたのかもしれません。


カーマインさんとシュドが大活躍で、その点については楽しかったです。
特にシュドは、護衛騎士の面目躍如でした。
ヤジュルと過去イヴの絡みがなかったのも好印象でした。
この点はさんざんヤジュルルートでやったので、同じことを繰り返さなくてほっとした。

カーマインさんは、ロウとのやり取りが光りました。
ヤジュルが死んだときの醒めた感じも、戦闘慣れしているところが出てて良かった。
まあ、なんというかヤジュルについてはほんと「馬鹿だなあ」としか言えないので、
実際カーマインさんにそう言われてしまうのも至極最もというか……。
まさかこの期に及んでああいう行動に出ると思わないだろうし……。
咄嗟に本能的な部分で動いてしまった辺りほんとどうしようもない奴だなと思いました。
シュドが戻ってきて嬉しかったんだろうなあ。ほんと馬鹿だよなあ……。

今わの際に、カーマインさんが「裏切り者のよしみで」と言ったところは、
カーマインさんの慈悲と気遣いを感じました。
同情でも憐憫でもない、対等さを感じさせるところに、武士の情けを感じます。

ただ、「また治療ポッドに放り込めばいいのでは」と思ってしまったのだけど、
それはヤジュルにとって酷なのかもしれない。時間もなかったし。
ところでカーマインさんが騎士の雰囲気を持ってるって伏線はわくわくしますね。
騎士団の中で欠員になっているうちの誰かの人格に近いのかな。

死への妄執に取り憑かれていたロウが、道具と蔑んだストレージに
真実を告げられるのは、なんとも皮肉な展開で盛り上がりました。
ロウがあそこまで「脳なし」呼ばわりするのは、それだけロウの心が
脆いことの表れであるようにも見えます。
恐らくそうしないとロウの心が保たなかった。
そもそもフォウさんもロウからすれば「脳なし」になってしまうのだけど
自分の心を護るので精一杯だったんだろうと思う。

ロウが信じたかった夢を、的確に見せてくるアルカディアは
AIでありながらよく人の心理を読んでいますね。
人は信じたいものを信じてしまうから、その夢にロウが
縋ってしまったのは、無理もないのかもしれない。
もうちょっと自国を滅ぼしたアルカディアを疑ってほしい気持ちはあるけど、
ロウは根が素直なんだろうし。

ヤジュルルートで、イヴは戦争という人の「罪」から生まれたと描かれました。
しかし、ロウルートで過去イヴは、身近な人の「愛」や「希望」によって
生かされていたと描かれるのは、バランスが取れていると感じます。

しかし、返す返すも残念なのは、ロウにだってギル兄さんやフォウにはない、
ロウの良さがあるはずなのに、それがとうとう描かれなかったところです。
いや、過去イヴへの一途さは描かれたのかもしれないけど……
もうちょっとギルやフォウにはなくてロウにあるものについて
着目してほしかった気持ちはあります。
過去イヴへの愛以外にも、ロウにだって(過去イヴには関係ない部分の)長所が
あったのではないかと感じるので……。
死への妄執と過去イヴへの執着とロウの弱さばかりが目立ってしまったのは惜しい。
イヴに噛まれたままなところで優しさを描くのかと思いきや、その後にイヴの話を
聞かずに首を締めるシーンで帳消しになってしまった印象があります。
精神的に追い詰められると当たり散らす、という部分は過去イヴとそっくりなので、
お似合いの二人ではありますね。

あと、非常に細かい部分なのですが、ハッピーエンドでロウと過去イヴが脱出する際に
ネオスフィアに生息している鳥などの小動物、虫たちをまるごと殺すことになるのに
その点への言及がまったくなかったのが気になりました。
いえ、どうしようもなかったのは理解できますが……。
まあこれらの動物や虫は、彼らにとって命とは呼べないのかもしれないけど。
結局、イヴの宝物をぜんぶ置いていくことになったのも、すごくもやもやする。

あと、アタルヴァからしたら短期間で友だちをいきなり二人も失うことになるわけで、
地味にダメージが大きいのではないかと思いました。
アタルヴァにとっても、初めて関わった他人で、友だちだっただろうに……。

感想をまとめると、物語として面白さはあったけど、
それよりもやもやが上回ったし、予想を裏切るほどではなかったです。
次はクレイドルルート。
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