Princess Arthur (プリンセス・アーサー) ガウェイン 感想

  • 2017.06.17 Saturday
  • 17:38
Princess Arthur (プリンセス・アーサー)


こちらはリクエストボックスよりおすすめいただきました。ありがとうございます!

女性向け恋愛ADVゲーム。数年前よりいろんな方から薦められてきた作品です。
自分が面倒なオタクだという自覚くらいはあるので、敢えて避けてきたのですが、
もうここまで来たら観念したほうがよいのではないかと思い、プレイしました。
特に「アーサー王物語」は、型月が「月姫」で爆発的なヒットを飛ばすずっと前から好きです。

他の王宮ものならともかく、今作はモチーフが円卓です。
そもそもの円卓のコンセプトからして騎士と王が対等に言葉を交わし合う、
つまりその場にいるすべてが対等な立場であると示すためのもの。
ですので主人公アルと騎士が友のように、あるいは兄妹のようにフランクに言葉を交わす設定には
特に文句はありません。また、円卓は裏切りと猜疑心によって瓦解しているので、
女性の王を据えて「円卓」の最初のコンセプトである調和を重んじたらどうなるか、という
着想そのものは非常に興味深いと思います。

あからさまに影響を受けているのでもう作品名を出してしまいますが、
「Fate」のほうのアーサー王さんは男として生きた設定なので、
そもそもの出発点からして異なっています。
また、「アーサー王物語」自体、いろんなところで好きに解釈されて
さまざまなかたちでアレンジされて展開されている物語なので、
原典に忠実でなくても問題ないとも思います。
金原瑞人氏翻訳の「アーサー王物語」がダイジェスト版として読みやすいかもしれません。
ガウェイン関連のエピソードと「トリスタンとイゾルデ」の話が削られているのが残念。
翻訳がもっとうまければ、サトクリフの「アーサー王物語」を挙げたのですが……。

さて、「プリンセス・アーサー」。
思ったより悪くはないですが、良くも悪くも優等生な作品。
特に、前半部の主人公が城下町の少女から王の自覚を持つまでの成長物語は
とても丁寧に描かれていて、評価に値すると思います。
しかしそこで時間を食ってしまったのか、終盤になるにつれこのライターさんの欠点が
浮き彫りになってしまうのが残念でした。
相変わらずオチの付け方が非常に雑です。納期が迫ってるのかな?という印象を抱いてしまう。

「ガーネット・クレイドル」のときから思っていたのですが、
こちらのライターさんは恋愛イベントで光り輝くタイプです。
お互いの揺れ動く恋心、相手への切ない想い、恋心の発露、
そして想いが通じ合う瞬間。
告白シーンなど、恋愛にまつわる部分では胸をときめかせるような
素敵なやり取りを描かれる分、戦闘シーンなどは恐ろしくつまらない。
たぶん、ご本人もさほど興味を持っておられないのだと思います。
それが文章に如実に出てしまっている。

だから「こいつが勝つだろう」というキャラがそのまま勝ち、ひねりもなにもない
戦闘シーンであっさり決着がついてしまう。
そうした戦闘シーンが連続する御前試合のエピソードは本当に寝るかと思いました。
戦闘シーンの連続や渦巻く陰謀などを描くとこのライターさんの持ち味を殺してしまうので、
戦争などを描くより、いっそ恋愛に特化した作品を手がけたほうがよいのではないかと思いました。

また、選択肢が大きな意味を成していないのが残念。
選択肢で主人公の行動を選ばせておいて、結局どちらも同じ行動を取ったり
同じ発言をしたりするシーンが多いです。

食生活や服装などに関しては、ファンタジーなのであまり難癖をつけるつもりはありません。
特に食習慣などを時代考証して当時のものに合わせると質素になってしまいますし、
装束をあわせるとなると当時使われていた染料から気にしなければならなくなりますから、
ファンタジー乙女ゲームでそこまでやる必要性はないと思っています。
たくさん美味しそうな食べ物が出てきて、そこは素直に良いと思いました。

ただドレスは、どうして素直にエンパイアドレスにせずに奇をてらって
ベビードールみたいなドレスにしてしまったのか、それだけが納得いかねえ。
ファッション関係に弱いのなら、それこそちゃんと伝統を追ったほうが無難だと思います。

他には、うわさ通り「……っ」は本当に多いですね。
そこ息飲む必要ある?というところにまで相槌代わりに出てきます。
また、主人公の語彙のなさが気になりました。
卑屈なところは物語として設定された性格と見たとしても、
もうちょっと表現に幅をもたせたほうがいいと思います。

アクはないですが、さらりとファンタジー感と恋愛を楽しむには良いです。
ちょっとした心理描写や情景描写で光るところもありますので、
終盤の駆け足イベントと相殺すると、総合的には「普通の作品」かなあと感じました。

以下ネタバレ感想。
主人公アルがどうでもいいところでも「ごめんなさい」と言うので
(ついには攻略対象からも「なぜ詫びる?」「なんど詫びれば気が済むのだ」と突っ込まれる)
どうしても卑屈に見えてしまうのですが、意図された性格だとも受け取れます。

アルがここまで卑屈なのは、彼女がケイ兄さんの顔色をびくびく伺っているところから
来ていると解釈すると、納得いきました。
現役の円卓の騎士に剣の腕で勝ってしまう、女なのに剣の才覚で兄に勝る、
それがどれほどの気まずさかは理解できますので、アルがすぐに「ごめんなさい」と
詫びるのは、ケイ兄さんの無言の嫉妬による敵意を受けてのものだと感じられました。
ケイ兄さん相手に手を抜いてわざと負ける、というのもそれはそれで侮辱になるので
どうしたらいいのか分からず、肩身が狭そうにしてるのは見てて気の毒でした。
器の小さい兄を持つとこれだから……。


ボールスさんが優しくて、癒やしでした。
ところで彼の前掛け?はエプロンだとずっと思ってたのですがもしかして違うの?

主人公がホームシックになってしまったり、家出未遂を起こしたり、というイベントも
アルが帝王学を受けたわけでもない普通の娘で、ある日いきなり人生が変わってしまったと思えば
納得できました。彼女が城の生活に馴染めず落ち込むシーンでは感情移入してしまいます。
トリスタンの言い分も分かりますが、アルがガウェインに親しみを持ちつつあったからこそ
一緒に悪口を言って盛り上がってる(ように見えた)場面にショックを受けたのは
伝わってきますので、逃げたくなるのも無理はないし、
年頃の少女としては自然な心理だったと思います。

アルからすれば引き継ぎなしで専門職をやるように強要された挙句に
周囲から悪口を言われまくっているわけで、かわいそうでした。

その後の、門でのガウェインとの恥ずかしい仲直りエピソードは微笑ましかった。
門番とか笑いをこらえるの大変そう。


しかし姫王という呼び名は割と恥ずかしいですね。いや、いいんだけどね……。
でも自分には「姫王」という呼び名=「気が休まる」というランスロットのロジックが分からない。
そんなに気安い呼び名か……?
いや、ランスロットさんて真面目すぎてちょっとズレてそうなのでいいのだけども。


アルが暗殺未遂されてモードレッドが衛兵を叱責したとき、
衛兵たちが怒られてそのままとぼとぼ去ってしまうのにびっくりしました。
今暗殺されそうになったばっかりなのになぜ去るんだよ。見張れよ。


アルが人を斬る重みを知るところはとても良かったです。
戦場に出るのか出ないのか、騎士たちに試されていたのも興味深い。
正直言って、戦場に立つ王一人護れないで円卓の騎士とかいわれても、という気もしなくはない。
ただ、命令されたからとはいえ、「命ある限り」とか格好つけてたボールスさんが
王のそばを離れて仲間を助けに行っちゃうのはいかがなものかとも思いますが。
アルが人を斬るエピソードを入れるためとはいえ、ここのシナリオ展開はやや雑ですね。

その流れを汲んでの、エレインのエピソードは好印象。
たとえ甘くとも、下町の娘らしい理想ではありますし、アルが王の自覚を持ち、
王になる覚悟を決める描写は人の心の動き方として自然で、
とても丁寧に描かれていました。
実のところ敵だった人をすぱっと殺すほうが、その後の統治の難易度が
易しかったりするので、アルの生き方は茨の道になると感じられます。
しかし、「敵だった人を味方として取り込む」というのは、
スティリコ将軍の例などにもあるように歴史上存在しますので、
それはそれで、彼女が選んだ道として納得できました。
まあスティリコ将軍はそのせいで破滅するのですが。


あと、間諜や斥候はすぐに殺すんじゃなくて尋問して雇い主を
吐かせたほうがいいと思うのですが、この作品で騎士たちはこぞって
間諜や斥候を見つけた瞬間に殺そうとするのが気になりました。
誰が雇い主かってすごく重要だと思うよ。
助けた主人公は手当することで頭がいっぱいだったみたいだけど、
手当するにしても、せめて牢に入れるぐらいしてほしかった。
わざと泳がせたのならなんかそういう描写がほしい。


ギネヴィアの計らいで内政の勉強をする描写があるのは良かったです。


「海への散歩」からの「勝利の口づけ」イベントはガウェインルートで
屈指のにやにやイベントです。ガウェインの「馬ー鹿!」が可愛い。
特にこのイベントでの「馬ー鹿!」が、声優さんの演技の妙もあって
特別かわいい。その後の「っとに、鈍いな」という台詞も、
なんかもにょっとした言い方で実際に聞き取りづらいので、アルが
「え?なに?」と聞き返しても違和感がなかったのは素晴らしい。
二人の甘酸っぱいやり取りに加え、声優さんの演技が光るシーンでした。
もうこのシーン、すべての台詞がかわいいのでこの辺りで自重しておきますが
声優さんの演技とテキストが素晴らしい相乗効果を生み出していて
非常にかわいいイベントでした。


その後のメドラウトとの遭遇では、アルの善意の押し売りが
メドラウトにとってはやや気の毒なような気もしました。
そっとしておいてやれよ、と思いましたが結果的に歩み寄れてるのでまあいいか。
メドラウトは家出したほうがいいしガウェインと鍛錬したらいいと思います。


ガウェインは「恋心駄々漏れ」枠だったので、いちいちわかりやすくて
かわいかったです。もうこの二人は見てるほうが恥ずかしい。

それにしても意外にガウェインってアプローチが奥ゆかしいので
アルが多少の難聴を患っててもガウェインが可愛いから許せました。
告白シーンも◎。


「行ってはいけない」とされた洞窟に行ったときに、危ないからと
アルを夜の森に一人で放置したり、ちょっと???となる部分もありますが
恋愛イベントのガウェインが微笑ましいので乗り切れました。


あと、御前試合でトリスタンが剣を使ってるのに矢筒を背負ってるのは謎でした。
弓持ってないのに矢筒を背負うとはこれいかに。……おしゃれなのかな?


最終決戦で、円卓の騎士がぞろぞろ雁首そろえて謎の洞窟に行くのですが、
これだけ円卓の騎士が勢揃いしてる中で敵にアルを人質に取られてしまう展開はいただけない。
フォローのしようがない。王一人まともに護れねえのかよお前らは。騎士の名が泣くぞ。

洞窟で突っ立ってるだけで、円卓の騎士が揃ってガウェインとラスボスの戦いを
見学しているだけ、というのもひどい。
ちなみにここで予想もへったくれもなくモルゴースさまの裏切りが明らかになるのですが、
ラスボスを倒したらいつのまにかモルゴースさまが煙のように消えてしまい、
以後、誰もモルゴース様について言及しないのもガッカリ感を誘います。
災厄の種?という瘴気的なものもどうなったのか不明で、マーリンがこっそり
なんとかしたのかな?と解釈できなくもないけど、仰々しい前評判の割に
いつのまにかタバコの煙のように消えたことになってるのもどうなのか。
そんなふわっとフェイドアウトするならそもそも封印する必要あったのか。
やっつけ仕事すぎて、この終盤の展開は擁護のしようがないほど酷かったです。

このイベントは本来、ガウェインが「強さとはなにか」を知るイベントのはずなのです。
しかし後で取ってつけたように台詞で「強さとは〜」とガウェインが語りだすのですが、
シナリオの展開で「本当の強さ」を知る流れとして弱かったのもマイナスポイントでした。
ガウェインとランスロットの確執は原典にもあるのでいいのに、
原典と違ってガウェインの怒りの正当性がなくなってしまったため、
結果としてガウェインが嫉妬から突っかかるだけ、というのも微妙。

あとラスボスのルキウス・ティベリウスさんは最後になって伏線もなく
いきなり説明台詞と共に登場して戦って死ぬだけのキャラなのですが、
あれだけすごい怖い人なんだよ!やべーぞ!みたいな宣伝しといて
大して怖くないのも痛いし、そもそもなんで彼が兵を率いてこなかったのかも理解できない。

何度でも言いますが、仲間の円卓の騎士がガウェインとルキウスの戦いを
ぼんやり見ているだけでなんとなくハッピーエンドに移行するのが微妙すぎました。
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