Princess Arthur (プリンセス・アーサー) ランスロット 感想

  • 2017.06.25 Sunday
  • 02:01
Princess Arthur (プリンセス・アーサー)


ランスロットルートの感想です。
さすがにメインビジュアルを飾るだけあって、丁寧に書こうとした感じはします。
場面ごとに切り取って見れば、悪くはないです。

ただ、全体を俯瞰で通して眺めたときの構成がうまくない。
要するに見せ方が下手なので、やや精彩を欠くルートでした。

これを書いている時点でガラハッドルートの途中までプレイしています。

以下ネタバレ感想。
原典「アーサー王伝説」のランスロットは自縄自縛の人です。
優柔不断ともいいます。
ランスロット卿はアーサー王への忠誠と王妃グウィネヴィアへの愛、
どちらも切り捨てることができず、ずるずる続けた挙句に破滅する。

この作品のランスロットは、アルへの恋心を「忠誠心」という名のオブラートで包んでいます。
ただ言葉は割と直球なので、ランスロットの想いは言動の端々から伺えました。
だから、ワンシーンをバラで見たときの、お互いの恋心の発露は光る部分もある。
ただ、それをエンディングに向かって盛り上げ、収束させることがうまくない。

ランスロットはみずから立てた誓いのせいでアルへの愛を制限しなければなりません。
この事実は終盤で立て続けに明らかになるのですが、どうにも説明感が拭えない。
誓いを立てたからには相応の理由があっただろうに、それも語られない。
なぜランスロットがそこまで思いつめたのかも不明。
そのため、なんかふわっと流されて誓いを立てたように見えてしまいます。
これもし他のキャラのルートで明らかになったら余計にひどいと思う。
この誓いのせいでアルとランスロットの恋は成就しづらくなるのだから、
ランスロットルートで描くべきことだったと感じる。

途中、ランスロットがなんらかの理由でアルに恋心を示せないのは分かるのですが、
引っ張った割には終盤で悪役が呪いについて解説して、
呪いが発動してランスロットがランスロットでなくなってしまうので、
もう少し他に見せ方があったのではないかと思う。

例えば、ランスロットが誓いをいかにして立てたのか、
魔術的な効力を持つエヴァイラスの印をなぜギネヴィアさまが扱えたのか、
期待が重荷に変化していく過程、「最強」にこだわる理由、
ギネヴィアを誓いの君に選んだ理由、騎士としてどうありたいのか、
王への忠誠をどうあるべきと考えているのか、
ランスロットにとって忠誠とは何なのか、愛とはなにが違うのか、
描けるものはいくらでもあったように思います。
このうちのいくつかは後で出てくるのかもしれませんが……
ランスロットルートでやるべきだったのではないかな……。
まあ、商業ですので各ルートで文字数制限があるのかもしれないけど……。

なにが言いたいかというと、ランスロットがアルに捧げる恋心は、
彼が生きた人生や価値観、理想、ギネヴィアへの敬愛との差異など、
もうちょっと深く紐付けられたと思うのです。
ところが本作では、そうしたものと「恋心」の関連性が、推察はできるものの
イベントとして深く描かれない。
もっと言ってしまうと、このもやもやの原因は、作中で
恋心 > 忠誠 とされているからかもしれません。
要するに、恋心や愛のほうが、忠誠よりも価値あるものとされている。
なぜならアルがランスロットに恋をしていて、忠誠だけでは物足りなく感じるためです。
それは分かるけど、そうした感情の折り合いの付け方が幼いなと思いました。

そして、物語として騎士を描くにあたってそれはあまりにも安直ではないかな、と思う。

良い方向へ解釈することはできます。
ランスロットを「最強の騎士」と無邪気に信じて疑わないギネヴィアを、
暗に常勝を強いられるだけでなく勝っても魔術印のおかげ、とされて
やがて重荷に感じるようになったランスロットが、ランスロットの強さではなく
穏やかさや知性の部分で頼りにするアルに癒やしを感じるようになったこと。
それは見てればなんとなく分かりました。

トリスタンルートでも、さして仲良くなってもいないのにトリスタンの
回想がいきなり始まり、こうしたキャラの過去と現在の思いの展開や表現が
どうにも唐突なうえに画一的なため、見せ方が下手だと思いました。
確かに原典のアーサー王物語だと、「美しいから」という理由だけで
騎士が女性を娶ったりしてはいますが、人の心情の表現が多様化し複雑化した
現在にこの作品を作った以上、もうちょっと突っ込んで描いてほしい。

フロリアスの祭りのイベントは良かった。
アルが明確にランスロットを異性として意識し、
それにランスロットも気づいたと思しき描写。
そんな二人へ水を差すような占い師の予言、
それを受けてランスロットが恋心を否定する流れ。
この場面は丁寧に描かれていて良かっただけに、次につなげられなかったのが残念でした。

恋心を忠誠心と偽ろうとしている割には、ランスロットの言動は分かりやすい。
忠誠と敬意を捧げる主の髪をすくっといてこれでなんとも思ってなかったら
びっくりなので、ランスロットの恋心はちゃんと伝わってきました。
剣帯の飾り紐のおねだりイベントとか、もうこれ告白じゃんと思いましたし。

ただ、台詞や恋心の暗喩などで他の攻略対象と被っているところが
散見されるのはやはり微妙。どうしても、統一感をもたせようとしているよりは、
表現の幅の少なさを感じてしまいます。
花束や、アルの理想を叶えるために人を斬らねばならない、という台詞などは
特定の攻略対象で一回だけにしてほしかったのが正直なところ。

あと、ルキウス・ティベリウスのやっすい挑発にランスロットが
簡単に乗ってしまったのは萎えました。
それも、「綺麗事を並べ立てていても所詮は殺人者よ!」という台詞で
激昂してしまうので、新兵でもあるまいし、仮にも最強と謳われた騎士の
メンタルとしては残念極まりない。戦場の苛酷さを知り、
殺人に対して麻痺しつつあるという設定とも矛盾します。

中庭のひざまくらイベントのアルは可愛かったです。
こういう台詞とか、ときめく部分もあるのになあ。
ランスロットルートの御前試合は他のルートよりは面白かったかな。
嬲るようにアルを追い詰めるモルゴース様の演技は良かったと思います。

ランスロットがギネヴィアの期待が重いと口に出してしまうのは、
騎士として情けなくはありますが、その後に「お前には関係のないことだから」と
急にアルに対して線を引いてしまうのは優柔不断なランスロットらしくはありました。
優しいというか、ランスロットは人への寄りかかり方が分からないのだろうと
思わせる不器用さは感じられます。

終盤の展開は、まあこれやりたかったんだろうなーと思いましたが、
なんか盛り上がったり余韻に浸ったりする前に慌ただしくハッピーエンドへ。
忠誠心で恋心をひた隠しにしてた割に、王と恋仲になることそのものには
ランスロットが抵抗を見せないのも、分かってはいたけどもやっとしました。

バッドエンドでは、ランスロットを失ったことでアルが王になる気力も
失ってしまうのにげんなりしました。
最期にアルなら立派な王になれると信じているとランスロットが遺言を遺すのに
その期待を裏切るので、さらにがっかり感を誘う。
ランスロットの期待を簡単に裏切ることができるのが、まあ、アルは王である前に
少女でしかなかったのだな、と感じてしまいました。
彼女の抱いた理想は、その程度だったんだな、と思わざるを得ない。
その程度の気持ちで、騎士たちに(暗に)命を賭けろと言ったんだな、と……。
ダリウスを喪ったエレインの願いを、自分の愛する人を喪ったら
反故にしてしまえるんだな……と、醒めた気持ちで見てしまいました。
心が折れたのだろうけど……。

忠誠心がランスロットルートの核でもあっただけに、ランスロットが
あれほどこだわっていた忠誠はアルにとって恋心の代替でしかなく、
大した意味を持っていなかったと思われて、余計に脱力してしまいました。
相も変わらずメドラウトがいきなり消えていて、ニムエだけ出てきて
話が進行してしまい、お世辞にも見せ方が良いとはいえないため、
ライターさんの力量が及ばなかったのだろうなと感じます。

どうでもいいのですが、本作のランスロットは根暗ですね。
おまけシナリオの日記とか。
もともと原典のランスロット卿もメンタルが強いとはいえないものの
なんだかなあ……と思いました。

心ときめく部分もあっただけに、余計に残念に感じます。
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