Princess Arthur (プリンセス・アーサー) モードレッド 感想

  • 2017.07.02 Sunday
  • 01:10
Princess Arthur (プリンセス・アーサー)


モードレッドルートの感想です。

裏切りの騎士モードレッドを攻略対象にするにあたり、
丁寧にプロットを組み立てたのだな、という印象を受けました。

特にモードレッドと読みの異なるメドラウトと役割を分けていたり、
「アーサー王と対立する」部分を残すなどの工夫が見られるところに好感を抱きました。
話の内容も、じっくり書かれていた印象。

公式サイトでも確認できる、回廊で月光を受けた陰影のスチルが美しくて良いですね。
一見してロマンチックなようでありながら、モードレッドの二面性を感じさせ、
どこか緊張感をただよわせる、雰囲気があって綺麗な一枚絵でお気に入り。

以下ネタバレ感想。
モードレッドは、女の子を口説くのがうまい。
この辺りはライターさんの魅力がいかんなく発揮されていました。
単純に甘い台詞を囁くというのもそうですが、
自分の好みの香りの石けんを女の子に贈る、というのが色気を感じさせました。
まあ、5世紀後半から6世紀にこんな良い匂いのする質の良い石けんは
存在しなかったと思いますがご愛嬌。

アルの理想が実現すると、騎士が名誉を得る機会が減る、と言われてしまうのですが、
欲を言えばそんなことは主君にも淑女にも愚痴ることじゃない気がしました。
なにかにつけて「えーそんなの難しいよー出来ないよー」と泣き言を言うさまが
騎士として果たして相応しいのか、という問いは投げかけておきたい。

ドレス姿のアルを見て口説こうとしておきながら、
アルが主だと線を引いておもむろに距離を取ってみせるなど、
じわじわアルの心を絡め取ろうとしているさまが興味深かったです。
アルを全力で口説きにかかっている様子が伺えました。

モルゴースがモードレッドの思惑に気づいてあざ笑うシーンが良いですね。
誰のことを指しているのかあからさまに分かりやすい予言をアルに投げつける場面なのですが、
声優さんの演技が印象的でした。
その後のマリーとのやり取りへの流れも良い。
世の中には支配する者と支配される者がいて、
「ただ従うしか出来ない者たちも……いるんです」
彼女に語らせたのは、分かりやすい伏線ではあるのですが、好ましく感じました。
これは「信じている人間に残酷に裏切られるわよ」という予言の、
「なぜ残酷に裏切られるのか」という理由を暗示しているシーンで、
その後のモードレッドの言動をわかりやすくしていたと思います。

そして、この後のフロリアスのお祭りで頭を抱えてしまいました。

モードレッドが、アルの 顔に 泥を、塗る ……。

キャッキャウフフな戯れイベントに見せかけて、やっていることは、
お互いの顔に泥を塗る というあたり、秀逸なイベントだと思いました。
体温下がるわこんなん。

その後のモードレッドルートの流れの集大成ともいえるようなイベントです。

で、悪戯し合った後にモードレッドがアルの顔をハンカチで拭ってくれる場面も面白い。
「怒った?」と訊いてくるあたりがまた……。でもアルは怒らない。
やり返して、お互いに笑い合って、それでおしまい。
モードレッドの裏切りへの対処法も暗示されているところが丁寧だと思いました。

彼女はこのとき、モードレッドのことを信じきっているからこそ、
祭りの場で顔に泥を塗る悪戯の裏を読んで猜疑心をふくらませることなく、
笑って許せたのだな、と思いました。
つまりこのルートでモードレッドとの信頼関係を深めるにあたって
最も警戒すべきなのは、根拠のない疑念と猜疑心 と示されている。
これはマーリンの台詞によっても暗示されていますね。

アルがモードレッドを信じること。
この重要性を暗示していて、良いシナリオでした。

モードレッドの口説き方はまるで詰め将棋のようです。
彼のアプローチに対し、正直言って心ときめくよりも微妙に怖くなってしまった。
マカロンを食べてるときの、「他の男のものにならない」という約束とか、
付き合ってないよね?と突っ込まずにはいられない。

どうひいき目に見てもこの時点のモードレッドはいいとこお友だちなので、怖い。
約束が重い。
もうがっつり固められてる……。退路がなくなってきてる……。

これ、アルがモードレッドにほんのり好意を持ってるからいいようなもの、
そうでなかったらひたすら怖いだけなのですが、モードレッドは
自分に好意を持ってない女の子にこんなことを言うほど間抜けでもないのが憎い。
モードレッドは、アルが自分にほのかな好意を持っていることを理解しています。
そのうえで落としにかかっている。それも全力で。

モードレッドはアルを観察していて、アルが落ちそうかどうか冷静に見極めている描写があります。
(ダンスシーンが全員分に挟まれるところなど)

ここでモードレッドが「脈なし」と感じると、そのまま引いてしまって
「恋のアドバイスをして応援する頼れる優しい仲間」ポジションへと
なめらかに移動する。この嗅覚の鋭さ、抜け目のなさが割と好きです。

ところで、プリアサでは他人に聞かれたらやばい話を中庭とかで
安易に話しすぎじゃないかと思います。これ前にも言ったっけ。
騎士なのに人の気配に気づかないし、もうちょっと秘密のお話は
こそこそ話したほうがいい。その努力ぐらいはしてほしい。
要するにアルが通りがかって相手の事情を盗み聞きによって知るパターンが多すぎる。
もうちょっと他のやり方を考えてほしい。

ウェールズとの和平条約のための結婚イベントは、
モルゴースさまが正論で追い詰めてくるところはゾクゾクしました。
アルの理想を考えると、モルゴースさまに理があるぶん、
彼女の甘さを的確に突いてきたなあと思いました。
ベッタベタなのですが、恋の切なさを引き立たせる王道イベントとしては
やはり盛り上がりますね。
王としての職責、叶えたい理想、それに伴う現実、そして恋愛感情。
いろいろなものにがんじがらめになるアルが描かれていました。

処刑前に兵士たちが祈りを捧げる礼拝堂でのモードレッドとのイベントは
最高にロマンチックで、ものすごく甘くてときめく。
恋が最高潮に盛り上がってからの展開にもわくわくしました。
処刑前に兵士たちが祈りを捧げる礼拝堂 での睦言から
死刑宣告の如く急転直下で一変するモードレッドがとても良い。
あれほど甘かったからこそ、モードレッドの裏切りがより輝く。

あと、このルートではケイ兄さんとの和解イベントが挟まれているのもおいしい。
どう見てもガラハッドとモードレッドは贔屓されているので、
他のキャラがやや気の毒になりました。

モードレッドを信じるべきなのかそうでないのか、
アルは迷いながらも話は進んでいきます。

このルートで、モードレッドは一度、故郷と実家のために覚悟を決めて選択する。
そのために覚悟をもってアルへの愛を切り捨てます。
切り捨てられると信じて、当初の目的を果たそうとする。
それを受けてアルがどうするのかで分岐するのは納得感がありました。
モードレッドはこういう生き方をせざるを得なかった人で、それを受け入れられるのか、
という部分で愛を運命に試される展開。こういうものを求めていたので楽しかったです。

アルが覚悟を決めて、湖でピクニックをするシーンは印象的でした。
モードレッドが覚悟を決めたように、アルもまた覚悟を決めていて、
そこにモードレッドが心を強く動かされるのは非常によく理解できました。
あと、咄嗟の立ち絵やスチルの演出などでモードレッドがアルに本気で惚れているのが
伺えるのも良かったです。ごちゃごちゃテキストで語らなかったのがいいし、
ゲームという媒体をよく活かしていたと思います。
モードレッドがアルへの愛を切り捨てるにあたって、あれこれ言い訳しなかったのもいい。

礼拝堂での一夜を想いながら、そこにあるはずのない愛の幻影を求めて
アルが礼拝堂に向かったら、思いがけずそこで、失ったはずの愛に出くわす、
あの一連の場面もとても綺麗で良かったですね。
ほとんど台詞がなく、スチルだけで語られる場面なのですがスチルだけで充分ですし、
あの一枚絵だけでモードレッドのアルへの愛を確信できるところが憎い。

そして、いろいろあってアルは誘拐されます。
外に兵士が迫ってるのに、モードレッドの父は話長えなって思いました。
なんやかんやでモードレッドの疑いは晴れて解け、
モードレッドがアルを本当に好きになっていたことも分かるのですが、
王道でありながらも燃える展開でした。
いつもならここでいきなり打ち切り最終回になるのですが、
贔屓されているだけあってモードレッドの話はまだ続きます。
まだ続いたことに感動しました。

打ち切りじゃなかった!!!


ここで、なんというか、モードレッドはどうあっても「裏切りの騎士」
なってしまうのだなあと思って、彼を取り巻く因果にしみじみしました。

モードレッドがアルの愛を取れば実家と父を裏切ることになり、
実家と父を選べばアルの愛や円卓の信頼を裏切ることになり。
裏切ることでしか生きられない。
その哀しさがモードレッドを際立たせていたと思います。

だから、どちらも裏切りたくないから彼はのらりくらりとかわして
中間点でぼんやりするしかなかったわけです。

モードレッドが裏切りたくないと思えば思うほど、
モードレッドは裏切り者になってしまう。

そういう因果の中に彼は生きていて、本当にどうしようもなくて
見ていて切なくなりました。

エンディングは綺麗に終わって良かったです。

でも、モードレッドは不思議ですね。
故郷レンドガルドも、父も、円卓も、アルの信頼も、アルへの愛も、
挙句の果てには自分の心まで裏切っているにも関わらず、
彼は同時にいろんなものを捨てられない人でもあります。
なにも裏切りたくないからずるずる優柔不断にやってしまう。
いつかどうにかなると信じて。

だから諸国遍歴の旅に出たいと願い出てみたり、
モードレッドなりに裏切りを回避しようとするのが余計に辛い。
でもうまくいかない。アルはモードレッドへ信頼を寄せてしまうから。
モードレッドはその信頼を裏切らなければならないのに、
こう、器用なくせに動けば動くほどドツボにはまる立場にいるところが
嫌いになれないというか、なんとなく肩入れしたくなってしまいます。

結末として、いろいろ裏切ったけどアルへの愛はとうとう裏切れなかった、
アルを大切に想う気持ちだけは、というラストは美しかったです。

また、モードレッドが選択によって、要するに切り捨てるものを選ぶことにより
裏切り者ではなくなる、というのが面白い。

エンディングでは幸せそうで、素直に祝福する気持ちになれました。

父や実家にとってモードレッドは裏切り者になることを選択したけれど、
その覚悟によってアルの、愛する人の英雄にもなれたわけです。

なにかを選んだら、なにかを失うけれど、代わりになにかを手に入れる。
それがたとえ自分の望んだものではなかったとしても。

そうした世の理が描かれていて、好感を持ったルートでした。

モードレッドは決して手に入ることのない(存在しない)愛を求めるがゆえに
故郷レンドガルドや父に忠実であろうとして、
そのために真に自分を愛する者を裏切ろうとするのだけど、
心からの愛情と信頼はモードレッドを裏切らず、
だからこそモードレッドは失った愛を手放すことができた。

モードレッドはアルの愛を利用しておきながら、実のところ、
自分自身が父や実家への愛を利用されている立場でもある。
自分がこれまでずっとされてきたことだからこそ、
愛するアルにやってしまう、その業になんともいえない気持ちにさせられました。

そういうシナリオ展開が、王道ではあるのですが、王道であるがゆえの輝きが際立っていました。


バッドエンドでは、モードレッドは最後まで裏切り者のままで死んでしまいます。
パウンドケーキの遺言は切ない。
あのときさんざん強がってたくせに、美味いなあと思いながら
パウンドケーキ食ってたんだなこいつ、というのもあるし、
あんなに悪ぶっておきながら、アルへの気持ちを押し殺していたのが分かって胸が痛む。

総じてモードレッドルートは完成度が高いと思いました。
でも、なぜスイカ割りをするか=二人きりになりたいから という方程式は解せぬ。
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