精霊の庭 感想

  • 2018.08.08 Wednesday
  • 00:32
茶番nu

こちらはWEB拍手リクエストボックスよりおすすめいただきました。ありがとうございます!

BLファンタジーADV。
精霊が棲むといわれる島で暮らす少年、エディハの物語。

攻略順はキール→レウド。

灰の森とはまた異なった雰囲気で、島独特の習俗や文化が
密接にシナリオが絡み合って、面白かったです。


以下ネタバレ感想。
エディハ

獣の仔のようなまっすぐさを持つエディハ。
彼が双子の姉であるユディマに執着するのは、
実のところ「孤独を感じないため」であり、
「誰かの役に立つ自分であるため」
といった理由なのは、生きる理由がなければ自分が何なのか分からなくなってしまうくらい
孤独だったからで、エディハは心の奥底で孤独をとても恐れています。
それはずっと、女神になるその日までエディハには
ユディマがそばにいた裏返しなのかもしれないと感じました。

本作では「首」というものが象徴的な役割を果たしており、
エディハは最初から最後までユディマの首を取り返すことを目的としています。
首は多くの場合、生き物を群体ではなく個として捉えることを
象徴づけるものでもあり、孤独を恐れ、孤独から逃れることを切実に望みながらも、
「自分以外の他の人々」を、個として本当の意味で認識できていなかった、というのは
面白いなあと思いました。エディハはユディマを求め、ユディマを大切に思ってるけど、
それはユディマへの思いやりというよりは、エディハがユディマの
役に立つ自分であるためでもあります。
要するに、作中で明言されている通り、エディハはユディマを通して
自分の心を護ろうとしている。
キールやレウドとの交流を通して、エディハが少しずつキールまたはレウドを
見つめるようになっていく過程が良かったです。


キール

どこか動物的なエディハと人の心が分からないキールの
でこぼこコンビは、ツッコミ不在で見ていて面白かったです。

キールは享楽主義というか、エピキュリアンみたいな生き方を好む人なので
責任感の真逆に位置する価値観の持ち主です。
だからエディハはキールを「正直なだけ」「言葉を飾るのが嫌い」と評するのですが。

そんなキールが消えたエノーサを追いかけて何年も島へ通い、
エディハを使って「愛」の実験を行う辺り、キールはキールなりに
エノーサという女を重視していたのではないかと思いました。
エノーサに言われた「人の心が分からない」にここまで
ムキになってしまうところからして、図星をつかれたように見えます。
どうでもいい女だったのならここまでこだわる必要ないですし。

そこまでして心というものにムキになり、愛し愛される実験を行ったのも
「自分に分からないことがあるのが悔しかった」からとキールは語るのですが、
人の心が分からない自覚はあったんだなあと感慨深いものがありました。
キールは「穏やかで理知的な彼女が好きだった」ともいいます。
見ている限り、キールがエノーサと合わなくなってしまったのは、
エノーサがキールにたくさんのことを求めるようになったからでもあります。
いえ、当然です。キールが人でなしなだけでエノーサは悪くない。
でも究極的には、エノーサはキールに(一般的に見て)
「誠実な、結婚に対する責任感のある男」を求めてしまったわけで、
それはもうキールではない誰かなのですね。
だってキールは最初から「誠実な責任感のある男」ではないのだし。

とはいえ、エノーサが母になった以上、現実的になるのは当然のことなので、
この不幸なすれ違いが哀れでした。キールではなくエノーサが。
エノーサの遺言に対するキールの反応も、ほんと人でなしなんですけど、
うーんでも、エノーサに打ち明けてほしかったのかな。
一度は懐に入れた女だからこそ、キールが自分を理解していると思っていたエノーサが、
実のところキールを理解しておらず、やがてキールにキールではない別の誰かになるよう求め、
詰ったことに対してキールは少なからず怒ってるのかな、という印象を受けました。

で、エディハとうまくいくのは、エディハはキールに
キールではない誰かになることを求めてないからかな、と解釈しました。

しかし、グッドエンドでエノーサの両親にシュリ(娘)を
預けなきゃいけなくなってる辺りいかにもキールらしくて、
しかもエノーサの両親の判断は的確といわざるをえない。
キールは父親にはまったくもって一欠片も向いてませんが、
「たまに会う楽しいおじさん」には向いてるので。

お互いに「友人」ということにしているけど実質的にはエディハが
恋人になるのも、そうした立ち位置であれば長続きしそうな気がします。
キールみたいな男と付き合ったり結婚したりすると苦労しそう。
同じく奔放で、根なし草みたいな生き方をする人じゃないと難しそう。

キールのエンディングのひとつで、キールをエディハが取り込む
エンディングは興味深かったです。
キールとのバッドエンドはなんらかのかたちでエディハが孤独を感じなくなる
エンディングなのは皮肉ですね。
文字通り二人で一つになるエンド、キールやレウドの人間性を認識しなくなる
(認識できなくなる)エンド。
そこにキールやレウドがいるのに、エディハにはもう、彼らの心がないことが分からない。
自分一人で世界が完結しているエディハの姿が象徴的なエンディングでした。


レウド

キールエンドだとレウドは失踪してしまうので、放っておいても平気な
キールよりもレウドエンドのほうが平和なんじゃないかと思いました。

すごい気になってるのですが、レウドは故郷に婚約者を残していて、
レウドの性格上、まじめなお付き合いをしてたはずなのですね。

で、親しい人はとっくに全員亡くなっていたという真実を知った後は
吹っ切って(吹っ切るしかないのだけど)、エディハへの好意を自覚するのですが、
その辺りの気持ちの折り合いはうまくつけられるものだろうかと不思議に感じました。

レウドも無意識的に真実に気づいていた、という解釈も可能ではありますが。

レウドルートはカイとのやり取りが良かったです。
この二人は共感し合えるなにかがあるのだろうなと思いました。
イゼとカイの由縁が明らかになるのも楽しい。

レウドルートでは、エディハが生きることを望む姿勢が非常に重視され、
エディハが生きたいと願うからこそ、レウドも(首狩りのままとはいえ)
人間らしく生きられるようになるところが良かったです。

キールルートでは「友達」という、いわば張り子の関係性から枠組みを作り、
その中にある相手の個を見つめ、お互いの心の変化に焦点を当てていくように見えました。

対するレウドルートでは己を深く見つめることで自分と相手の違いを知ります。
お互いの望みを叶える過程で、お互いを大切にしたいという気持ちと
相手の願いが矛盾するようになることから、
相手を愛する意味を知る、といった流れだと感じました。

思いがけず人喰いの起源を目の当たりにできたのは嬉しい誤算でした。
人によって異形に作り変えられた人間が、人喰いになる連鎖は業を感じる。

充実したひと時を過ごせたゲームでした。
楽しかったです。
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