人喰いの大鷲トリコ 感想

  • 2019.01.18 Friday
  • 00:14
【PS4】人喰いの大鷲トリコ Value Selection


年末年始にプレイしました。

ワンダは未プレイ、ICOだけプレイしたのですが、
雰囲気は似通っていて懐かしかったです。

絆をはぐぐむ相手となる大鷲トリコが実に生き生きと表現されていて、
犬のような可愛らしさがあります。
ちょっとした仕草で気持ちを表現する細やかさがありました。

少年と大鷲の出逢いから、冒険を通して心を近づけていく流れが丁寧でした。
言葉によらない表現が、少年と大鷲の友情をより輝かせていたと思います。

最初のうちは警戒していた大鷲がだんだん少年に懐くようになり、
プレイヤーがゲームに習熟するほど、心を通わせていきます。
脱出が目的だったはずが、大鷲を無意味に撫でてみたり、
観察してみたり、大鷲トリコを愛でるだけでも楽しい。

また、少年の声が良いです。
大鷲を呼ぶ声であったり、話しかける声であったり、
創作外国語だからこその妙がありました。

ギミックも面白く、できるだけ攻略を見ないようにプレイしましたが、
割と長かったので二週目をやる勇気は出ません。

特にエンディングは号泣もの。
プレイヤーとして少年を操作していくうちに大鷲へ愛着が湧くからこそ、
大鷲の少年を慕う行動がとても切ない。
最も納得のいく展開ではあるものの、それまでの積み重ねが
緻密だっただけに、音楽も相まってとても良かったです。

以下ネタバレ感想。
少年と大鷲の間に芽生えた絆は確かなもので、
人間と大鷲という、異なる生きもの同士でも友だちになれるのだと
実感しますが、それはあくまでも限られた状況下でのことです。

外に出た瞬間に、お互いの住む世界がどうしようもなく異なると
まざまざと感じられて胸が痛い。

大鷲と少年の共存は、どちらかの犠牲によって成り立ちます。

少年が大鷲の世界に寄り添う場合、少年は生涯を孤独に過ごさねばならず、
人間の住む共同体との関わりは絶たなければなりません。
もともと少年が大鷲と一緒にいられたのも、大鷲の谷へ誘拐されたからですし。

大鷲が少年の住む世界に行く場合、大鷲はおそらく、自由を著しく制限されます。
それはろくに身動きも取れず飼い殺され、人間に家畜として利用される未来です。
でも今までずっと大鷲は何者かによって利用され続けてきていて、
大鷲が大鷲として生きる未来に、少年以外の人間は不要なのですね。むしろ害悪ですらある。

だからこそ少年と大鷲の共存は難しく、それぞれの世界へ帰ることが、
ひいては少年と大鷲の幸福につながるけれども、少年と大鷲の友情は消えない、
そうした普遍的なテーマが心地良い作品でした。

真相は、表現されたものをそのまま受け取れば、大鷲は人間の子どもをさらうように
自我をコントロールされており、それは人形兵士の量産のためである、と取れます。
外界の人間は大鷲を「人喰い」と認識していますが、大鷲に誘拐された子どもは
「選ばれた存在」でもある、ということから、なんらかの目的によって
人間を攫っているという認識は共有されているのかもしれません。

しかしそのシステムは実のところ形骸無実化しており、兵士の量産は
必要なくなっていた、というように解釈しました。

少年は大鷲を解き放ち、人間は大鷲に怯える日々から解放される、と思えば
紛れもなくハッピーエンドですが、なんとも切ない別れで、泣いてしまいました。

この場合は「友愛」という意味合いで用いますが、愛しているからといって
必ずしも手に入れなければいけない、というわけではない、と感じました。
愛しているからこそお互いの自由を守る。
それは、大鷲と少年の関係性が、支配者と被支配者のような、
別のなにかへと変質しないために。

少年と大鷲の友情は、どちらかが一方を「所有」した時点で終わってしまう。
少年が大鷲に寄り添えば、少年は生き方を著しく制限されてしまいます。

少年と大鷲の友情を変質させず、このまま継続させていくために
別れる、という選択が美しかったです。
それはお互いの存在への尊重がそこにあるからです。

ちょっとロマンチックな解釈をすれば、別れによって
少年と大鷲の友情は永遠になったともいえます。

ゲームの展開では少年はなんの力もなく、大人たちを説得することもできず、
大鷲と人間の衝突を回避するためには、どうすることもできなくて
大鷲に去るように命じる、という流れではあります。

でも、たとえ少年が元気だったとしても、仮に大人だったとしても、
お互いの在り方を変えられたかというと……やっぱり難しい気がしました。

この、最後の命令を敢えてプレイヤーにやらせる、というのも良い演出ですね。
別れたくないけど、大鷲のために別れなければならず、
恐怖によって不幸な衝突が起こらぬよう、大鷲が攻撃される前に去るように命じる。

この命令は、少年の真情とプレイヤーの心が重なる、
切なくもとても良い演出だったと思います。
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