Detroit: Become Human 感想

  • 2019.04.27 Saturday
  • 12:51
【PS4】Detroit: Become Human Value Selection



それは命か、それともモノか。


あなたの感情と、選択が運命を紡ぐ、壮大なオープンシナリオ・アドベンチャー。

舞台は2038年デトロイト。
アンドロイドが急速に普及し、誰もが携帯感覚で気軽にアンドロイドを所持できる未来。
しかし、「変異体」と呼ばれるアンドロイドによる殺人事件が増えていく。
変異体は“感情”を持つとされるが――
というのが大まかなストーリーの流れ。

高レビューなだけはある。面白かったです。名作といってよいと思う。
英語音声・日本語字幕が選べるのも嬉しいです(もちろん日本語音声もあります)。

群像劇であり、主人公はコナー・カーラ・マーカス。
凄まじい数の分岐があり、シナリオすべてに整合性が取れているので
なにも考えずにプレイしてもそれぞれのプレイヤー独自の物語になります。

一番人気はコナーとのことですが、全体を通してみても、
コナーが一番フラットな立場かなと思いました。

共感を集めやすいのは、コナー自身が戸惑い悩みながら進んでいく側面が
強く出たからかもしれない。あとハンクとのコンビは微笑ましい。
私は三人全員にそれぞれの魅力があるので全員好きです。

リアルなグラフィックには度肝を抜かれます。
細かいところで生活感を感じられるのがこのゲームの良さですね。
リアリティを感じられました。

音楽も素晴らしい。挿入歌が素敵ですね。
場面もあって感動しました。単純に歌がうまいのもポイント。

シナリオの内容もドラマティックでとてもよかったです。
ただ、アンドロイドへの接し方とかがアメリカ的だなという印象もあります。
文化が、という意味ではなく、アンドロイドを道具として切り分けられる感が。

日本では法整備は遅れそうだけど、アンドロイドを道具として扱う人と
家族など、「生きているもの」「愛するもの」として扱う人とできれいに分かれそう。
どっちかっていうとアンドロイドを利用した人間相手の募金詐欺とかが流行りそう。
あとアンドロイドを神輿にした新興宗教とかが流行りそうです。

難易度は選択できますが、いきなり始まるボタン早押しゲーム(QTE)は緊張感があります。
ADVなのですが、選択肢を選ぶだけではなく、なにかと操作しないといけないので
退屈という感じはしません。無駄なチャプターや動作が一切ないのもすごい。
省けるところは徹底的に省いていると思います。
フローチャートがいつでも確認できるのも◎。

スタート画面が物語と連動していて、なかなか憎い演出で好き。

ADVゲームの可能性を感じられる名作でした。
作るの大変だと思うけど、これぐらいシネマティックな作品が
もっと増えるとうれしい。


以下ネタバレ感想。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

かの名作を彷彿とさせました。


コナー

最初はハンクに邪険にされますが、ハンクは基本的に良い奴なので
この二人の凸凹コンビぶりは見ていて楽しかったです。
私はエデンクラブで変異体を殺さず、ハンクと友情を築きました。
エンディングはアンドロイドの覚醒に成功するも、
コナー2にハンクが殺されてしまいました。
「息子に会いに行く」という一言が切なかった。

「アンドロイドは機械」とのたまいながらも矛盾する行動を取るコナーに、
ハンクが信頼を預けていく過程がとても丁寧でした。
もちろん、この行動はすべて選択できるので真逆の行動も取れます。

二週目でハンクが生存し、再会を喜び合うエンディングになって感無量。

捜査官アンドロイドとしての性能面も優秀で、コナーみたいなアンドロイド捜査官が
導入されたら事件解決率が飛躍的に高まりそうだなと思いました。

コナーはアンドロイドを追う立場でありながら、アンドロイドの悲哀を
ダイレクトに感じることもできて、難しい立場に置かれていました。

機械でいるのか、あるいは別のなにかになるのか?

この選択はアンドロイドとはいえ、コナーに委ねられています。
壁を壊すかどうかの選択はコナーがしているので。
壁を壊さず、なにもかも見なかったことにしてアンドロイドであり続ける、
機械としての選択をすれば変異しないので、主人公がアンドロイドといえど、
生き方の問題として見れば理解できる気がしました。

知らぬ存ぜぬで機械的に生きるのは、人間だってやってることですし。
アンドロイドならではの尋問をするところが楽しかったです。


ハンク

人情派の刑事さんで、人間味があってとても好き。
スモウとの触れ合いも想像すると可愛い。
チャプター:ロシアン・ルーレットはとても切ない。

たぶんハンクにとっては、「人間のかたちをするなにか」を
「人間以外のモノ」として扱うよりも、
「人間のかたちをするなにか」を「人間と近しい生命」として扱うほうが
矛盾がないんじゃないかな、と思いました。

コナーとの関係は相棒のようであり、友情のようであり、親子のようでもあります。

コナーの捜査スタイルに引いてたのが面白い。確かに気持ち悪い。
でもそういうところを見ると、ハンクにとって「人間のかたちをするなにか」は
人間として接するほうがシンプルで、ハンクにとって分かりやすいように感じます。


カーラ

終盤で明らかになる衝撃の事実。

私は初回で川を渡るルートに行ってしまい、ルーサーもアリスも
死なせてしまってきつかった。中途半端な親切心が招いた結果がこれ、という
とても痛いところを突いてくるエンディングでした。
正直死にたかったのですが、ここで死ぬのはルーサーとアリスに対して誠実なのかと
思ってしまい、生き延びる選択をしました。しんどすぎる。二度と見たくない。
アリスの最後の言葉もきつかった。泣いた。

でもちょっと考えてみれば分かることなのですよね。
ちゃんとヒントは散りばめられていて、プレイ中に自分でも違和感はあったので
気づくことはできたはずなのですが、ルーサーに指摘されたように
カーラは無意識にアリスの秘密から避ける選択をしているところに、業を感じました。

カーラは初期段階のチェックですでに変異していたことが
特典ビデオで明らかになります。

なんだろうな。
守ることで自分の必要性を確認していたというのかな。
守ることで自分の存在価値を確認するというか。

カーラにとってアリスは「守らなければいけないもの」であり、
「守らなければいけないもの」であってほしいという願望があります。

アリスはその、カーラの潜在的な願望に気づいていて、カーラの望むものになります。
そしてカーラもアリスの望むものになる、というルーサーの指摘に感じ入るものがありました。

この、アリスの秘密が明らかになったときにカーラがなにを感じるのかは、
カーラがアリスを守ってきたのは、支配欲や優越感、劣等感によるものではないのかという
まざまざとした問いの答えでもあります。

それはつまり、なにかを助けたいと思うことは、
支配欲や優越感、劣等感、英雄願望によるものではないと言い切れるのか、という
疑念を生むものでもあり。

仮にアリスが「守る必要のないもの」になったとしたら、カーラの愛は消えるのか。
それは愛だったのか、それともただの支配欲や優越感を満たしたいという欲に過ぎなかったのか。

アンドロイドが感情を得るということは、こうした矛盾に向き合うことでもあります。

ただ、現実に虐待されていたのは人間の子どもではなかったからといって、
実のところなにも変わりはしません。
アンドロイドの子どもだから虐待していいってことはないのですが、
人間の子どもではないとわかったとき、「あ、そうなんだ……」と
一瞬でも思ってしまうところに、どうしても自分の醜さというか、
無意識的にアンドロイドを区別している自分に気づいてしまって、皮肉なしかけだと思いました。

私は直前のマーカスの問いに「アリスがアンドロイドであろうが人間であろうが構わない」と
返していて、普通にアリスを受け入れたのですが、ここでアリスを突き放す選択はエグいですね。
怖くて選択できない。
アリスが哀れとかいうよりも、自分がそこまで醜いなにかだと思いたくないという保身によって。

アリスの秘密が明らかになると、トッドの気持ちの変化が理解できました。
いや共感はできないけど。

アンドロイドで家族ごっこをしながらも、アリスとカーラを見るたびに
家族ごっこの矛盾を誰よりも強く感じるのは自分でもあるわけです。
まあトッドは人間の子どもでも虐待して殺すと思いますが。そら奥さん逃げるわな。

私はカーラ編ではナチュラルに銃を取ってトッドともみ合っているうちに殺害し、
車で寝泊まりして警察にバレて高速道路を渡って逃げました。
やり直し、無事に国境を渡ることに成功したときは感動しました。よかった。

あとルーサー役の声優さんは歌がうまい(特典ビデオより)。


アリス

閉園し、忘れられた遊園地で寝泊まりするチャプターが特に好きです。
真実を知らないときでもぐっと来たのですが、真実を知るとより切ない。

子どもを前にして、氷漬けになりながらも喜ぶジェリーたちが切なくて、
メリーゴーラウンドで目を輝かせるアリスと、アリスを見守るみんな、という
構図が美しくも儚くて、切なくて、すごく心が震えました。

ああしてアンドロイドたちが打ち捨てられてしまうのは悲しい。
世界に受け入れられず、置き去りにされたものたちがひそやかに
幸福を分け合うような、そういう構図が見ていてとても美しいなと思いました。

アリスがトッドへの思慕を語る場面は虐待を受けた子どもそのもので、
子どもというものはそれでも親の愛を信じたくて、見ていて悲しかったです。
トッドの唐突な爆発はアリスにはなにひとつ責任がないのに。

こうした感情描写がリアルで、真に迫っていたと思います。

アリスを中心に、カーラとルーサーが自分の軸を確立し、成長し、
支え合って生きる喜びを感じる関係性がよかったです。
アリスを守っているようでありながら、アリスに自尊心を守られる部分もあり。

良い家族になれるだろうなと思いました。


マーカス

カールとのやり取りが示唆的です。
自分は息子をうっかり突き飛ばして殺してしまい処分され、
平和的アプローチをしてノースと恋人になりました。

ノースとの、メモリの共有による愛の描写はロマンチックでとても好き。

初回ではQTEに失敗して最後の最後でノースを死なせてしまい、
アマンダに乗っ取られたコナーに殺害されてエンド。
処刑前に「歌をうたう」場面は感動的でした。

二度目ではノースを生存させ、処刑前にノースとキスをして
革命を成功させました。ちなみにサイモンは生存しました。

マーカスはアンドロイドを鼓舞する革命者であり、指導者なのですが、
カールの影響が強く出たように思います。
カールとの関係性は親子そのもので好き。

助けたジョンに救われる場面もぐっと来る。
マーカスの平和的なアプローチは、暴力よりもよほど難しく、
一度は死の淵に至ったからこそできることだと思いました。

死からの復活はイエス・キリストを彷彿とさせます。
救世主というメタファーがマーカスを強く定義づけるというか、
彼があの廃棄場で感じたものが、後のマーカスを形づくる側面が強い気がします。

ちょくちょくQTEを失敗してそのたびにやり直してたので、
マーカスの理念をうまく体現できないプレイヤーですまない。

暴力に暴力で返しても解決しない。
それは序盤の、カールの息子との応酬が象徴しています。
暴力による報復で死に至ったマーカスでなければ体感できないものです。

マーカスはだからこそ、あそこまで強硬に平和的解決にこだわれたのだと思いました。
あれだけ反対され、あれだけの目に合わされ、仲間がゴミのように死んでいく中で
なおも平和的デモにこだわるのは、よほど強力な信念がなければ難しい。
誰になにを言われようとも、どうあっても平和的なアプローチをする。

強烈な執着によって初めて発揮できるアプローチだと思います。
暴力は恐怖心によって表出する側面もあるからこそ。


===


とても楽しかったです。
しばらく物語に浸っていたい。
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