氷の涙

  • 2009.06.11 Thursday
  • 03:16



 タヴァロスの王ダーラヤヴァシュは、若き軍の将アルダシールにカラダイン併合を命じた。北方の小国カラダインは、圧倒的な国力を誇る新興国タヴァロスの前に、なすすべもなく呑み込まれる。
 『カラダインの青き薔薇』とその美しさを讃えられた王女リュシアは、ただ一人残された王族として捕虜となる。滅びた国の王族に残された道は、王位継承の道具として利用されるか、さもなくば死か。
 与えられた運命は厳しいものだった。
 そのなかで、リュシアの憎悪は王へは向かわず、自分をあわれみの目で見るアルダシールへと向かう。自分から全てを奪った彼が、婚約者とともに立ち幸せそうに笑っているのが許せなかったのだ。
 それを見抜いた執政官のファルークは、とある提案をもちかけるために彼女のもとを訪れる。

 リュシアの選択する道の先には、何があるのか。

 それは、あなたが確かめてください───。

15禁選択型ビジュアルノベル。乙女ゲー、と言えなくもないですが全体的に甘さ控えめなので、限りなく一般ゲームに近い乙女ゲーです。私は萌えました。キャラ絵などはありますが、本編中にはCGはありません。エロはありませんが、情の揺れ具合といった大人の恋愛を楽しみたい方にオススメです。以下ネタバレ感想。


リュシア
美しい容姿であることが物語にとって必要不可欠なのが印象的でした。いや乙女ゲー的には「そうでなきゃ男共が群がらないから」で片付くんですけど、リュシアの場合はその美貌を盾に憎い仇であるアルダシールを陥れるのに使おうとすることで、なるほど美人じゃなきゃダメだなと深く納得。そうなってしまったのも故国を滅ぼされて、という非常に重い事情があるのでやるせません。とはいえ、根っからの悪女ではないリュシアは良心と罪悪感と憎悪の合間で揺れ動きまくり、見ていてハラハラしてしまいました。
でも結局は、許すことも、悪女になりきることも出来なくて……という人間らしい弱さを持つリュシアについつい感情移入してしまいます。
憎しみの矛先がアルダシールに向かうのも分かるんですよね。哀れまれるっていうのはすごい侮辱だし、誇り高く生きていた人間ほど耐え難いはず。いっそ王のように開き直って「お前今度からオレの妃ね」みたいにしてくれれば感情を片付けやすいのに、無駄に同情されると頭に来るっていうのは心情的によく分かります。アズールのルートで幸せそうにしてて良かったですが、ファルークルートで本懐を遂げるエンドも物悲しくてすごく好きです。

アルダシール
思うに一目惚れですよね、この男。でもリュシアは絶世の美貌の持ち主だから致し方ないというか。シーリーンが可哀想というか。アルダシールの実直さにほだされてしまうリュシアに萌えました。アルダシールは良い奴だけど、その優しさが人を傷つけるタイプですよね……。
個人的にはエラムが好きです。
シーリーンを、作者さんが「乙女ゲー主人公にありそうな子」として設定したと聞いてなるほど、と思いました。明るくて、可愛くて、屈託がなくて、だからこそみんなに好かれてる。リュシアへの好意も本物で、だからこそどのエンディング後のシーリーンは可哀想でした。でも可哀想だけど、仕方がないなという気もします。シーリーンとファルークの間には絶対フラグが立たないところがイイ。シーリーンはエラムと一緒になればいいよ!マジで!

アズール
この「おひいさん」って呼び方と田舎言葉にこれほど萌える日が来ようとは。正直キュンキュンしっぱなしでした。リュシアとしては、一番苦しみの少ないエンディングだったと思います。萌える。初恋が実って良かったね……!!!!
ファルークエンドから分化する「狂気への誘い」(だっけ?)エンドも好きです。アズールの心情を思うと切なくてたまらん。

ファルーク
全ての元凶。しかし、エンディングは余韻が残ってすごく良かったと思います。ここで安易にリュシアとの愛に生きることが出来ないのがファルークなんですよね。何でタヴァロスにそれほど忠誠を誓うのかというエピソードも気になるところですが、そうやって駒のようにリュシアを使おうとして、リュシアに惚れてしまって、でもお互いの信念のために破滅に向かうしかなくて……という流れが物悲しくて好きです。惹かれあってしまうんだけどその果てには破滅しかないという、どうしようもない感に萌えました。本編中に言われていた通り、「ファルークとリュシアはとても似ている」んだと思います。お互いに本質が同じだからこそ、破滅以外の道に進めないという関係性がたまらん。これがアルダシールやアズールだったらリュシアのために全てを捨てることが出来たんだけど、ファルークは出来ない。でもそれが出来ないからこそファルークに惹かれると……おおおおお無限ループ…!
腹黒いいですね腹黒。腹黒の中に滲む情の揺れ具合を堪能させていただきました。良くも悪くも、大人の恋愛ですね。
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